Raspberry PiでWindowsを動かす(その3)[保存版]

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Raspberry PiでWindowsを動かす(その3)[保存版]

Raspberry Pi で Windows を無事に動作させる事に成功しました。この記事は、Raspberry Pi で Windows を動かす方法をまとめてみました。

無事に Windows 10 が動きました!

まず最初の報告ですが、Windows10 が無事に動きました!

あれ!?と思う方もいらっしゃると思います。実は最初の記事は「Windows11」を動かすとタイトルをつけていますが、前回の記事では「Windows」に変わっています。

実は、Windows11 を現時点では動作させていないためにこの様に書いています。

今回、Raspberry Pi に Windows をインストールするために利用しているのが、「WOR Flasher」を利用しています。このツールは、Raspberry Pi に Windows をインストールするための準備をして、マイクロ SD カードにイメージを書き込む物です。このツールを使うと Windows の PC がなくても、Raspberry Pi に Windows を入れる事が可能になります。

このツールは、Windows のイメージを取得するのに、「uupdump」を使っていますが、このサーバーのサイトに指定している Windows11 のイメージが見つからないというエラーが発生してインストール自体ができませんでした。初日に実行した際はエラーにならなかったので、試行錯誤している間にイメージがサーバーから削除された様です。何回か試しましたが、毎回エラーになるため、今回は Windows10 をインストールしました。スクリプトを読んで、別のイメージをダウンロードできるように変更すればインストールできそうですが、今回は時間が限られているので Windows10 で確認を行うことにしました。


実行手順は、GigHub から WOR Flasher を取得して実行して、Windows インストール用のイメージをマイクロ SD カードに書き込みます。

$ git clone htt p s://github.com/Botspot/wor-flasher
$ ~/wor-flasher/install-wor-gui.sh

(*) Raspberry Pi OS 上のホームフォルダで実行します

スクリプトを実行したら

* Windows 10 とインストール先の Raspberry Pi の型
* 使用する言語(今回は「en-us」を選択)
* 書き込み先の指定(今回は、USB3 に接続したマイクロ SD カードで「/dev/sda」を選択)
以上を選択して、「Flash」ボタンをクリックするとインストールが始まります。

この処理は結構時間がかかって 1 時間弱かかりました。 処理が終了したら、一旦 Raspberry Pi OS から Raspberry Pi の電源を落として、Raspberry Pi OS の入ったマイクロ SD カードを取り外して、再び電源を接続します。

起動すると、Windows のインストールが始まってこれも約 1 時間程度かかります。

通常の Windows の初期設定と同じような入力事項を入れて設定を完了すると Windows が利用できるようになります。

制限事項が幾つかあります!

Windows 自体は問題なく動作しますが、幾つか制限事項があります。

標準設定では、利用できるメモリ容量が3 GB に制限されています。
WOR Flasher の Readme ファイルを見ると回避策が書かれています。

ブート画面で「ESC」キーを押して、UEFI セットアップ画面に行って、

Device Manager -> Raspberry Pi Configuration -> Advance Configuration に行って

「Limit RAM to 3GB」の設定を「Disabled」 に変更します。

WiFi が利用できません
Raspberry Pi 4 の場合オンボードに WiFi モジュールが搭載されていますが、デバイスドライバーがサポートされていないために、インターネットなどネットワークに接続するためには LAN ケーブルを接続する必要があります。下にも書いていますが、USB に別の WiFi アダプタを接続しましたが、デバイスドライバーが上手く認識されずに利用できませんでした。

Windows 側でデバイスドラバーが現時点(2021 年 11 月現在)ではサポートされていないのが理由です。将来的にデバイスドライバーがサポートされれば利用できる様になるかもしれません。

インテル向けアプリの制限
ARM 版の Windows ではインテル向けのアプリの実行ができますが、32-bit 向けのアプリに制限されています。 OS 自体は 64-bit 版ですが、64-bit 版のアプリを実行しようとするとエラーになります。

デバイスドライバーの制限
ARM 版の Windows はインテルの CPU 向けのアプリを実行できますが、デバイスドライバーに関しては適用されない様です。Raspberry Pi のオンボードに搭載されている WiFi が利用できないので、USB の WiFi アダプタを利用しようと思い、インテル版の Windows 向けデバイスドライバをインストールしましたが、Raspberry Pi で WiFi アダプタは利用できませんでした。(ASUS ASUS USB-AC53)

デバイスドライバーは 32-bit/64-bit 版共に同じパッケージの様でしたが、実行時にエラーが出なかったので 32-bit 版をインストールしていると思います。インストール自体は完了しましたが、ドライバーとして正しく認識できていない様でした。

実際の使用感は?

幾つか Windows のアプリをインストールして利用した感想は、当初、メモリ容量が3 GB に制限されていた事もあって少し遅く感じましたが、メモリの制限を外したところ、ほぼストレスなく利用できるようになりました。

WinRAR や Google Chrome などインテル向けのアプリ(32-bit 版)をインストールして試しましたが、問題なく動作しています。VSCODE の場合は ARM 版があるので、問題なく利用できます。

NodeJS や Git も問題なくインストールできますので、Web 開発にも十分に対応できます。

安価な Windows デスクトップ機として利用可能です。

今回のインストールでは、最初に「en-us」を選択してインストールしていますが、インストール後に日本語のパッケージをインストールすれば、日本語化が可能です。日本語の表示、入力共に利用できる様になります。 実際に、日本語を最初から選択してのインストールは試していませんが、```

Raspberry Pi で Windows を利用するために必要なのは?

Raspberry Pi で Windowsw を利用するのに必要な物を纏めておきます。

* Raspberry Pi 4 (4GB/8GB)
* 32GB 以上の USB に接続可能なドライブまたは、マイクロ SD などのフラッシュデバイス
* LAN 接続は基本的にケーブル
* キーボード、マウス
* ディスプレー(HDMI 接続)
* マイクロ SD カード(USB デバイスからのブートを有効にするための物、16GB で十分です)
* ソフトウエア:WOR Flasher(GitHub から取得)
* ソフトウエア:Raspberry Pi OS をインストールしたマイクロ SD カード
以上が揃っていれば、Raspberry Pi で Windows を動かすことができます。

インストールやアップデート(Windows Update)は通常のインテルの CPU の PC に比べると時間がかかります。Raspberry Pi へ Windows をインストールするのに必要な時間は概ね 2 時間程度かかります。Windows のアップデートも、大幅な変更(Windows10 の別のリリースへのアップデートなど)は同じ位時間がかかります。

今回は、Windows10 をインストールした後で、21H1 のバージョンにアップデートをしましたがインストールと同じくらいの時間がかかりました。``

まとめ
実際の試行錯誤も含めた、Raspberry Pi 上で Windows を動かす過程についてレポートしてきました。最終的には、当初予定していた、Windows11 ではなく、Windows10 をインストールして、Raspberry Pi 上で動かすことに成功しました。

一応、実用的な性能で Windows 機として利用できることがわかりました。日本語対応も可能です。

当面の大きな問題は 64-bit のアプリ対応と、WiFi 対応です。 WiFi の場合は、USB の WiFi アダプタを利用すれば、デバイスドライバが対応していれば動作する可能性もあるかと思います。今回試した手持ちの WiFi アダプタは上手く動作させることができませんでした。

開発目的の場合には、Linux 系の OS を利用した方が手軽ですし、設定も簡単にできるので便利かなと思いました。
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