嬉しさザクザク⑧

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なけなし全財産の虎の子を、はたいて直感の赴く儘に通販注文のクリックをした。
荷物は五日後に届いた。
本体と付属品、説明書が同梱していた。
made in Chinaなので不安を感じた。
made in China製は買ったその時から修理が必要と言う格言がネット上に書き込まれている。
昭和40年代の家電品、車、その他の機械などmade in Japanの性能は世界一で
その素晴らしい性能を日本人も享受出来ていたが、平成に入る頃からChina製が日本の市場に大量進出して来た。
値段が安いが粗悪品で性能が低い。今迄優れた商品を使って来ていた日本人は今、粗悪品の商品を使う不便を強いられている。
時代が逆行しているように感じる。
物と言うのは段々と進化を遂げるのが常なのに昭和の時代の性能よりも劣った商品made inChinaしかない市場は納得できないと良三は思った。

届いた金属探知機は特に修理の必要も無く正常に機能した。
試しに畳の下にコインを置いて畳の上から探知機を翳すと心地よい電子音が鳴る この下に金属が有る事を教えてくれた。

良三は電車に乗り近くの海水浴場に向かった。季節は夏の終わりで海水浴場には人影は無かった。海の家も閉まっている。

夏の間、盛況を極め若者のエネルギーが迸っていたこの砂浜、今は静かに小さな波が寄せては返すだけだった。
今年の夏、この浜辺でどれだけの恋のカップルができただろう。
若者が大挙して遊びに来る恋の舞台の砂浜。
太陽は蒼穹にギラギラ眩しく輝き、夏風は遠く沖から吹いて来る。
スチールギターハワイアンミュージックが流れて来る
潮風が髪をサラサラとなびかせる。
サーフィンの若者達は波に向かってトライしている。
波の音の心地よさ。
女の子たちの水着姿が華やかだ。
若者の歓声が夏の暑さに拍車をかけている。
恋の季節の真っただ中、最高のひと時。
若者達はパートナーを求めビーチを埋めつくしている。
海の家も繁盛し料理の煙と食欲をそそる匂いが一面に立ち込めている。
そんな盛夏も終わって今は秋風と小さな波の音だけが聞こえる。

陽の光は水平線の下に潜り込みオレンジ色の光が黄昏の時間を輝かせていた。
良三は金属探知機を試すには良いロケーションだと呟いた。
誰もいない。
金属探知機にスイッチを入れた。赤いLEDの点灯と電子音でpowerが入ったと分かる。
良三は興奮を感じた。
夏の間、大勢のお客達が砂浜に落としたであろう、コイン、ネックレス、指輪
その他の貴金属。
これらを一網打尽に獲り盡して金欠病に罹った自分にパワーを注入するのだ。
良三は砂浜をゆっくりと進みだす。
早速金属探知機に反応が有った。
これは、18金の装飾品かもしれないと期待が高まる。

ネット上で金属探知機を実際に砂浜で使っている動画がある。
出て来るものは、釘や錆びた鉄やガラクタでコインはせいぜい10円玉で視聴者の期待を裏切るものだが、実は高額コイン、貴金属などをゲットしている。
しかし、そのまま紹介すると遺失物横領罪で御用となるのでガラクタをゲットしている部分だけに編集してアップしているのだ。


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