嬉しさザクザク⑤

記事
コラム
そこは、人通りも多く周辺にはオフイスビルが立ち並ぶ、少し路地を入った所に位置していた。
御崎は、ここに自分の牙城を築こうと決めた。
不動産と契約をして、内装、外装、設備、バイトの募集などを始めた。
行政にも届を出して許可証を得ていた。
工事期間は約ひと月程度で終わった。
今日が開店日だ。
店の前には花を飾った。
御崎は張り切っていた、バイトの店員達にも声を掛けて今日から宜しく頼むと
声を掛け、夕方5時に目出度く開店を迎えたのだ。
道行く人達は工事の段階から何ができるのだろうと興味を持って歩きながら見ていたが、やがて居酒屋だと分かった。
開店の日は開店記念と言う事で定価の半額で全ての料理、飲み物を提供した。
店内は、瞬く間に満員となり外で待つ人まで出て来た。
御崎は椅子を外で待っている人達に提供した。

丸川恵子と御崎良三は、不動産屋で邂逅してから急速に親しくなった。
あの日、不動産の契約が無事にできた事で御崎の心は少し余裕が出ていた。
一緒に不動産屋を出た御崎は、思いを寄せていた一人の女性が図らずも偶然に目の前にいる。
この千載一遇のチャンスを逃したくなかった。
チャンスの神様は後頭部がハゲていると言われている。
前額にだけ髪が生えている。
つまりチャンスが来たら、すかさず掴めと言う格言だ。
後から掴もうと思ってもチャンスの神様は後頭部がハゲているので掴めない。
ドライブに誘った。
恵子は少し躊躇した様子を見せたがOKしたのだった。
街はもう夕暮れの茜色に染まっていた。
良三が行きたい所を聞く前に、わたし箱根の方が好きだわと言った。
車は箱根の方へ向かって走り出した。
それから約一月後、二人は籍を入れた。

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す