ちゃんと考えていれば、普通の設計にはならない

記事
コラム
文系出身であり、他業界の営業職からゼネコンに転職した私が、設計部で得た経験を共有します。
目次
■同世代の設計者から聞いた印象的な言葉
■「ちゃんと考えていれば、普通の設計にはならない」とは
当たり前のことを疑い、常に新規性や特殊性のある解を出すつもりで取組む
建物を設計するための与条件は案件毎に異なる 
■「ちゃんと考える」ためには
考える時間を意識的につくる
仕事に慣れてきたとき、余った時間をどう使うか
紙に自分の考えを書き出す
理想の建築ではなく、理想の社会を考える 
新しいインプットをすると、新しい考えにつながる
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いまは設計部で働いているので、設計士の方々と一緒に仕事をしています。
異業種の営業職出身の私にとって、設計士の考え方は営業職の考え方とはまた違い、デザイナーとしての探究心やこだわりと感じることも多く、日々新たな発見があります。
このような姿勢は今後私がビジネスマンとしてスキルアップするためにも役立つと感じています。
ダメ出しを頂くことも多い毎日ですが、それが日々勉強になっています。
■同世代の設計者から聞いた印象的な言葉
最近同世代の意匠設計者から聞いた言葉のなかで、
私が設計士の方に感じている「仕事に対する姿勢」を表した言葉があります。
「ちゃんと考えていれば、普通の設計にはならない」
同世代の意匠設計者は、設計者になって数年が過ぎて仕事に慣れてきたころ、上司からこの言葉を言われてそうです。
いまでも心に残っていると言っていました。
この言葉の意味分かりますか。
■「ちゃんと考えていれば、普通の設計にはならない」とは
当たり前のことを疑い、常に新規性や特殊性のある解を出すつもりで取組む
「当たり前のことを、当たり前にする」のではなく、「本当に当たり前なのか」疑問を持つということ。
また発注者やエンドユーザーの課題に対する解決策は「当たり前のものでいいのか」常に自問自答すること。
一般解を出すのではなく、常によく考えられた新規性や特殊性のある解を出すつもりで設計していくべきではないか。
そういうつもりで設計していくべきではないのか。
という意味です。
風が吹けば、桶屋が儲かるように
ちゃんと考えれば、普通の設計にはならない
この姿勢は設計だけではなく、すべての仕事に当てはまると思います。
建物を設計するための与条件は案件毎に異なる 
同じように見える土地でも方位や道路付で建てられる建物は異なりますし、地域に法規制もなります。また発注者の理想や予算も様々です。
建物は1点ものなので、設計から施工中に起こる問題もその建物によって違います。
発注者にとって良い建物を作ろうと思えば、限られた期間の中でどれだけベストを尽くしても、ベストを尽くしきれないと思います。
そう考えると建物は既製品とは違い、フルオーダーメイドなので、より良いものを作ろうと思えば唯一無二のオリジナル要素を含む設計になるはずです。
営業出身の私がゼネコンの設計者や施工の方々の仕事を見ていると「ここまでやるのか」ということばかりです。
意匠・構造・設備・施工が多角的な検討を繰り返しながら
設計部内でレビューを繰り返し、仮説に対しては模型を作成したり、ときには大規模な実証実験もしながら建物をつくっていきます。
私からみると、妥協せず工夫を凝らした建物を作っており、考え抜いていると感じていました。
実際、締切直前まで少しでも良いものを作るために試行錯誤を繰り返していると思います。
そんな方々の言う「ちゃんと考えていれば、普通の設計にはならない」
という言葉には重みがあり、非常に高いプロ意識を感じました。
■「ちゃんと考える」ためには
考える時間を意識的につくる
設計の経験を積めば積むほど、経験則を元に、仕事をさばくことができるようになるのも事実です。
経験値を元に、最初よりずっと短い時間でたくさんの設計業務をこなせるようになります。
豊富な経験があることは財産ですが、気づかないうちに考えなくなっていくのかもしれません。
私も時間的な制約を言い訳に過去の経験や前例だけを頼りに仕事をしてしまう部分もあります。
仕事に慣れてきたとき、余った時間をどう使うか
確かに経験や前例に基づく仕事も非常に大事です。
しかし「経験値を活かすことで省略した時間をどう使うか?」も大事になってくると思います。
仕事に慣れるということは、時間的に精神的にも余裕もできる状態とも言えると思います。
日常業務に追われていると、なかなか考えていないことには気づきません。
経験値から省略できた時間を考える時間にも充てることが重要だと感じます。
「考えること」にいかに意識的に使うことが必要だと思います。
紙に自分の考えを書き出す
自分の頭の中を紙に書きだすことで、視覚的にも問題を認識することができます。
設計士の方と仕事をしていると、鉛筆やシャープペンシルを使って、どんどん紙に書き出す場面をよく見かけます。
プロジェクトのスケジュールや問題の構造を紙に書いていくと不思議と考えが深まり、方向性が決まっていきます。
私もこの紙に書き出す作業は習慣になっています。
決して正確に書くことが目的ではなく、全てを書き出すことで考えがどんどん深まっていく感じがします。
これが言語化能力を高めていくことになり、自分にしかできない設計ができるようになるのではないでしょうか。
理想の建築ではなく、理想の社会を考える 
忙しいと細かいことに目がいきがちですが、もっと大枠にある本質的な課題に目を向ける必要があると思います。
目標が目的になってしまっていることに気づかない場合もあります。
新しいインプットをすると、新しい考えにつながる
毎日の同じことの繰返しだけでは、新しい考えは浮かんできません。
新しいことをするためには、新しい価値観の発見や日常からの気づきが大切です。
色々な本から新しい価値観に触れたり、展示会やシンポジウムに参加して新しい情報を収集することがどうしても必要です。
日々何かしら新しいことに取組んだり、情報に触れることが必要になってくると思います。
■「ちゃんと考えれば、普通の設計にはならない」から感じたこと
この言葉の意味について考えるほど、この言葉は好きになってきました。
日々の新しいインプットを継続し、常に新規性や特殊性を出すつもりで考えながら仕事をすれば、変わっていけるぞ、という前向きな気持ちになってきます。
ちゃんと考えれば、普通の設計にはならない
ちゃんと考えれば、普通の人生にはならない・・・・かもしれない。

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