今回はメンターについてです。
メンターと言えば、個人的な指導者だというイメージの方が強いと思いますが、今回は企業にアドバイスをする専門家たちのことです。
まぁ、コンサルタントみたいなものです。
で、専門家なんだからどういうアイデアが成功するかそうではないかは予測できると思いますよね。
でも、これから起業する人たちはもしかしたらアドバイスをもらわない方が良いかもしれません。
成功する企業をメンターは見分けられるのか?
マサチューセッツ工科大学(MIT)のエリン・スコットたちは、ベンチャー支援サービスを利用している652のデータの使用し、スタートアップに関連するデータを調べた。
この支援サービスは、スタートアップと経験豊富なメンター(専門的な指導者)をひきあわせることを目的に行われた。
そして、メンターに与えられたのは、スタートアップが抱いている様々なアイデアに関連するデータのみだった。
つまり、メンターは起業した人のデータや、その会社で働く人たちに会うことなく、そのアイデアのデータだけで判断しなければならなかった。
その際、研究チームは、製品の商品化に成功したスタートアップの数を調べた。
すると、研究開発に多額のコストがかかる企業の場合には、アイデアに対する評価が高いほど商品化できるチャンスが高いことがわかった。
さらに、研究開発を専門とするメンターは、そうではないメンターに比べて成功率を言い当てられるかどうかも調べた。
対象としたメンターは、研究開発の分野で実際に仕事をした経験がある人、もしくはその分野で博士課程を取得している人に絞った。
その結果、その業界で長く働いていたいたメンターも、大学院で研究を積んだメンターも、研究開発で重視する分野で成功するスタートアップを言い当てることはできなかった。
ちょっと一言
心理学を勉強している方なら、「当たり前でしょ」って思ったかと思います。
つまり、その分野で長くやっているほど、それが正しいとか間違っているとかという概念が形成されてしまうので、結果的に正しい判断ができなくなってしまうのです。
また、専門家に限らず、多くの人は口では言わずとも他人より自分の方ができると思い込んでしまうのです。
それが平均以上効果やダニング=クルーガー効果と呼ばれるバイアス(思い込み)です。
この思い込みから逃れるには常に自分の視点をかえる必要があります。
その方法はクリティカルシンキングと呼ばれるものです。
常に自分の考えなどを批判的に考えて、複数の視点を持つための方法です。
そういう本を読んでおくことで思い込みにハマりにくくなります。
また、どういうバイアスがあるかということを知って意識するだけでもバイアスにかかりにくくなります。
参考文献
Are “Better” Ideas More Likely to
Succeed? An Empirical Analysis of
Startup Evaluation