今回は人種差別についてです。
まぁ、今前も差別については取り上げてきましたが、なかなかそれが具体化されるのは難しいと思います。
なぜなら、差別はほぼ無意識なので。
ですが、今回は交渉金額を使った実験を紹介します。
お金になれば、統計的に差別があるのかないのか明確になると思いませんか。
人種や性別によって交渉価格は変わるのか?
イェールロースクールのイアン・アイレスたちは、人種や性別が異なるお客を新車ディーラーに送り込み、新車購入の交渉をさせた。
具体的には、新車ディーラーでの300を超えるペア観察して、ディーラーが同一のスクリプト化(マニュアルみたいなもの)された交渉戦略をした。
その結果、黒人または女性のテスト購入者よりも白人男性の方にに大幅に低い価格を提示したことが明らかになった。
ただ、これって統計的差別によるものなのかはわからないようです。
1つは、嗜好に基づく差別で黒人と交渉をすること自体を嫌がり、高い見返りがなければ交渉したくないという考えが働いたかもしれないということ。
次に考えられるのは謝った推定に基づく統計的差別というもので、ディーラーが黒人は交渉が下手だという思い込みで高い値段をふっかけてきたというものです。
まぁ、いずれにしても差が出ているのは事実ですよね。
敵意はないけど差別はある!?
シカゴ大学のジョン・リストは、人種、性別、年齢の異なるのお客をスポーツカード市場に送り込み、元大リーガーのケン・グリフィーのカードをカードを買ってもらうようにした。
そして、同時に売り手についても調査した。
つまり、属性が異なる人たちにいくらで同じカードを売ったのかを比較することが目的だった。
参加人数は1100人以上でデータが収集された。
その結果、最も良い扱いを受けたのは白人男性で、最終的に提示される価格も一番安かった。
また、研究者はスポーツカードを売買している人たちを研究室に入れ、嗜好に基づく差別を観察しやすいさまざまな状況を設定し、偏見を示す人がいたとしても誰にも個人が特定できないようなやり方でいくつか実験を行った。
その結果、マイノリティ(黒人や女性)に対する敵意を示す証拠は全く確認できなかった。
ところが、マイノリティは欲しいカードは高い値段を払う、あるいは売りたいカードは安い値段で売るという予測に基づく統計的差別はあった。
全体的なデータは、観察された差別が異常によるものではなく、統計的な差別はあったことがわかった。
ちょっと一言
多分誰もが最初から差別しようという意識はないですが、無意識に白人には好意的になり、黒人には厳しい態度で臨んでしまっているのかなという印象でした。
これがまた、差別のやっかいなところですよね。
浮き彫りになりませんし、これが明らかな差別ですっていう証拠も出せませんし。
しかも、無意識なので。
でも、まぁ僕は身体障害者なので、黒人とは同じでないにしろ何となくわかります。
ただ、こんなことを言ったところで誰も理解してくれないことも経験上わかっています。
さらに、もう5年以上も心理学を勉強してきて思ったのが経験と学問(科学)が結構一致するなということでした。
そういう意味では、一人の人が何か考えて言うより知識の方がよっぽど味方になってくれると今では自負しています。
ですので、今ではもうそういう差別みたいなことがあったとしても、言いたいことが言えるので大丈夫になりました。
「差別はいけない」と言いますが、それはなくなりません。
それは無意識なので。
そして、それはアメリカだろうが日本だろうがどこにでもあります。
献
Race and Gender Discrimination in Bargaining for a New Car
The Nature and Extent of Discrimination in the Marketplace: Evidence From the Field