でんわうらない第2話

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第2話 米村さんの出産

藤色先生。
あたしよ。
あんた、おばさん相手に占いやってんだって〜
ちょっとあたしの話も聞いて占ってちょうだいよ。

あたしも、まぁまぁおばちゃんだけどさ
あん時の子供がさ。あの子がさ。
あたしのあの人をかっさらってったって話。

あたしは、いいんだって。
あの子が、欲しいって言うなら
なんだってくれてやるよ。

そのくらい子供を愛してるの。

教えようか。知ってるか?
まさか信じてないよね。
出産が痛いなんて話し。

女が何人も子供産んでるの見れば
わかるよね。
子供産み終わったら
もう男いらなくなるってさ。

あれを。。。
なんていうの。。。
絶頂。。。
エクスタシーっての?
そんなもんじゃないよ。

中から
お腹の皮膚を突き抜けるように

子宮の壁を、時に
蹴り上げて。。

骨盤が砕ける音が聞こえる。

あの子が。最愛なるあの子。

火の玉のように
トゲトゲの火の玉のような
子宮を抜け
膣を破って出てくる

止める事はできない。
私の内臓と一緒に
突き破ってくる。

どんな気持ちかわかる?
これがどんな気持ちか?

子宮の中を掻き回し
彼女は、わたしの中で
生きていた。
水の中。

藤色先生。

運命ってなんだろね。 
あたしは。

空気に触れた彼女は
水を吐き出して
呼吸を始める。

ひとつだった肉体が
ふたつにわかれた。

あの子を想うと
涙が出ちゃうのよ。
なんでって、あたしの子だもん!

幸せがわかんないのよ。 
よく聞くじゃない。
虐待された子が親になる話し。
うちのお母さん、
あたしを闇中絶しに行って
2回行って失敗したって。
いつも言ってた。
虐待?んーわからない。

藤色先生。
どう思う?

あたしの思う幸せって、

あの子をお腹に閉じこめて、
旦那に後ろから突いてもらって。
下品だね(笑)
中から外から。

なんて幸せだろうね。

そこでずっと留まりたいね。

たぶん、留まってるね。

あの子と旦那の笑い声が
聞こえるもの。

幸せ。

眠くなってきたよ。





『※某※米村様➤➤➤この度はご鑑定依頼を頂き誠に有難う御座います。
わたくし、のお話からで、❝話しやすく❞、との事柄で有ったので、
まず、わたくしの、好物から……、稚拙、というか、やや曖昧な始まり方で申し訳御座いませんがわたくしは何でも好きです。ええ、米村様の、昔以前より、思って居たこと、は、全部本当で御座います。ーーーこれで、鑑定結果が終わるのは、まあ、事実を申し上げ、明記致した次第ですが、あんまりにも、簡素で寂しいので、改善策を申し上げます。まず、ホームレスになって下さい。出家です。代々、と銘が有る、在る、歴史のある、その過去が、最大のしがらみに成ります。しがらみ、も、味方ですよ。』

『でも、一文無しで、あんた、(笑)、と、読まれたら大いに嗤うでしょう、教会、です。すぐ家出という出家、で、教会に、是非とも助けと救いを求めなければ、貴女の大事な、そうです、あの、方、方、が、もっと他愛の無い嘘をつき、自殺してしまいます。勿論、貴女のせいでは、無い。のです。遺憾に思います。』

『しかし、よく、耐えられましたね。大事だからこそ、ですね。俺も僅かばかり、わかる、ような、……申し訳御座いません。出すぎました。胸が詰まる重いです。思い出、居ます。返事は、要らないです。一度は、俺みたいな、変な奴に、ハッキリと云われた方が、僅かばかりでも、スッキリしたら、と、願って止まない、俺は大いに、我儘です。』

『何か有りましたら、俺の地元の教会に、出過ぎた真似ですが、勝手ながら連絡致しました。体力菖蒲を何時まで続け為さるのですか。まだ、良くはなっても、ご体調に出ています。こんな形で、メール鑑定、大変申し訳御座いませんでした。哲学をもう、ないがしろにしないでくださいね。

追伸:❝➤➤➤やはり、貴女は、素晴らしいですね。感銘を、受けて居りました。❞

藤色』

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