AIDMAモデルによる
繁盛するネットショップの作り方
売上を伸ばすための効果的なホームページの表現方法とは?
本稿は、筆者がSBSPressのビジネスインターネットシリーズ 『EコマースSUPERマニュアル』(株式会社バーチカル システム/2000年6月23日発行)に掲載した記事に加筆修正したものです。
第1章 ネットショップにおける基本的なマーケティング理論
■ショップサイトデザインに「目立つ」ことは不要
■ECビジネスで一番重要なのは商品と店の信用
■AIDMA理論を応用してサイトを構築しよう
ネットショップのマーケティングモデルは八百屋さんと同じ
ネットショップなどというと、なにか特別なものと思い身構えてしまう人もいるかもしれない。が最初はそう難しく考える必要はないだろう。なぜなら、ネットショップといっても商売のしくみでいえば、従来のお店と本質的なところではなにも変わらないからだ。
たとえば、どこにでもある八百屋を例にとってみよう。そこでの業務を販売面からみれば図1のように「集客」「販売」「フォローマーケティング」の三つの部分からなることがわかる。このうち、中心となるのはいうまでもなく販売の段階だ。これは客として接する私たちにもおなじみの段階である。
図1
しかし、店でモノを売るには当然ながらまずはお客さまに来てもらう必要がある。これが集客である。さらに新規のお客さまだけを相手にするのでないかぎり、一 度買ってくれたお客さまをリピーターに育てることも必要になる。これがフォローマーケティングといわれるものである。商品を渡す際、「奥さん、今回はおまけしときましたよ」と耳もとでささやくことなどがこれに相当する。
以上は、八百屋を例にとった一般的な商店のケースだが、ネットショップも基本的にはこれと変わらない。すなわち、ネットショップの場合、売り場が現実の「店鋪」からネット上の「ウエブサイト」に変わっただけであり、商売の基本的なしくみはまったく変わっていないのである。
似ているようで異なる店鋪デザインとウエブデザイン
ところで、ウエブサイトが基本的に店舗と同じものであるとすれば、その制作にあたって必要とされるのは、一般にイメージされているようなカタログ制作のノウハウではなく、むしろ店舗設計のノウハウではないかと考えることもできる。理論的にみれば、それはある程度的を射た考え方といえるだろう。しかし、ここで忘れてならないのは、それでも両者の間にはいくつか重要な違いがあることだ。なかでも最大の違いは一般の店舗の場合、「集客」をその目的のひとつとして設計されているという点である。
このことは店舗設計において、とくにその外観デザインにおいてなによりもまず目立つこと—それによって遠くからでも視認しやすく、かつ他店との差別化をはかり最終的に来店を促す—がその大きなデザイン要素となっていることからも理解できるだろう。いっぽうウエブサイトの場合、そのような目立つためのーーつまり集客のためのーーデザインは不要である。というのも至極当たり前のことで、いくらウエブサイトのデザインが目立つようにつくってあったとしても、そこにアクセスする前にそのデザインを見ることはできないからだ。
ここからわかるのは、あるサイトをはじめて訪れる際、そのデザインに魅かれたからというのはありえないということである。そして、この「サイトには集客のためのデザインは不要」という部分が一般の店舗とウエブサイトにおける最大の違いなのである。
AIDMA理論からみたネットショップでの購買プロセス
このあたりを整理するため、ここで別の視点からネットショップをながめてみよう。それは、AIDMA理論による視点である(図2)。マーケティングにおける購買プロセスに関してはいくつかのモデルがあるが、なかでも有名なのがAIDMA理論である。AIDMA理論によれば、消費者はまず広告情報や店頭陳列などによって商品を認知し(Attension)、興味を抱き (Interest)、ついで欲しいという欲求が喚起され(Desire)、さらにそれを記憶し (Memory)、最終的に購入に踏み切る(Action)とされている。
図2