「ミスらない近々両用の 鉄板加入はどれ?」を解説します

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近々両用は10年以上前から存在するにも関わらず、
世間での認知は「遠近両用」に遠く及ばない印象があります。

その原因の一つとして、「処方する僕たちの理解」が少ないところもあると考えられますね。

例えば
「そもそもテストレンズが置いていない」
「テストレンズの加入度数が1つしかない」
「よくわからないから、とりあえず遠近でいいだろうという考え」
などなどが挙げられます

テストレンズがなければ体験できないのでどうしようもないですけど、無いなりに知識があればなんとかすることはできます。

まずは近々両用の特徴や加入による違いを確認していきましょう。

近々両用は老眼鏡の度数に逆加入と呼ばれる度数をレンズ上部に入れることで、少し先の距離も見えるようにする設計です。

逆加入度数は
−1.00 -1.50 -2.00が一般的で
度数が強くなるほど遠方の距離が
見えやすくなるメリットがある反面、
左右の視野が狭くなるデメリットがあります。

見える視野のイメージは遠近両用を逆さまにした感じで手元が広く、
遠方になるほど狭くなっていきます。

遠近両用は手元の視野がおまけくらいなのに対して、近々両用は遠方の視野がおまけになる感じですね。

比率としては
手元8割遠方2割みたいなイメージです。

奥行きの見え方は加入度数で調整していきます。


では、どのように近々両用の処方をするか?を解説します。


まず近方度数を確定するために、
「1番近い距離でどこまで見たいか?」を問診で確認し、近方度数を決めます。

例えば

S−6.00
の60歳くらいの方をモデルにしてみます。

この方は普段遠近両用と中近両用を併用しながらデスクワークをしていて、
いずれも完全矯正値に加入度数が2.00
入っている眼鏡で作業していました。

遠近でのデスクワークがつらく、
中近にしたことでパソコンの視野が広く見えるようになり、快適になったが
もう少しデスクワークに特化したいと
希望がある設定だとします。


この方の裸眼で見える範囲を出すために
裸眼で見える明視域を出します。

明視域の出し方はこちらの表を参考にすると、100割る6で約16センチが裸眼で見える遠方の距離とわかります。

つまり裸眼で手元は見えるが、パソコンの距離を見るには近づかないといけないということになります。

もし、パソコンだけに焦点を当てるなら
距離を問診で聞き出します。

およそ50センチから70センチぐらいだとわかったので、そのあたりに焦点が来る度数を探します。


それには「調節力」という目の力がどのくらいあるか?に左右されるのですが、
年齢別調節力でおよその数値を覚えておきましょう。

近視で30代くらいまでの若い方は調節力が強いので、日常で近くを見ることにこまらないことがほとんどです。

なので、40代以降の数値に注目し、およそ2.00からそれ以下と覚えておけばOKです。
IMG_6882.jpeg


ちょうどこの表にもあるように、近点距離を目的の距離に合わせるには完全矯正値に右に書いてある調節力の加入度数を当てはめればOKです。

例えばS−6.00の完全矯正値の方が40センチの距離を見たいなら+2.50の加入度数を入れたS−3.50がちょうど合う距離ということですね。

この方のパソコン距離が50センチから70センチということなので、
実際には加入度数1.50くらいを入れたS-4.50がパソコンが楽な距離ということです。


この方が手元を40センチくらいまで見るとして、パソコン距離が50センチから70センチにあるなら、

手元の度数はS-3.50にして逆加入はS−4.50になる−1.00にすればOKとなります。

ちょっとむずかしくなったと思うので、一旦要約すると、

まず
・1番手元の見たい距離を聞く
・パソコンやモニターの距離を聞く
・完全矯正値に加入度数を入れて
1番手元の度数を決める
・逆加入-1.00や-1.50を入れる

となります。

逆加入の距離目安は
-1.00で70センチ
-1.50で100センチ
-2.00で130センチ
くらいです


今回の動画のテーマである
近々両用を提案するなら、逆加入は-1.50がおススメ一択です。

理由は2つありますが
・逆加入-1.00と-1.50では
そこまで左右の歪み差が出ないのに対し
奥行きが出せる

・-2.00は手元の歪みが強くなり近方視野を広くするメリットがなくなるので
そこまで遠方を必要とするなら
中近の設計で考える

というのが理由です。


それでも「距離も近めで見るし、なるべく歪みを少なくしたい」という方もいるでしょう。

ここでポイントとなるのが、
「ずっとその姿勢と距離で見るのか?」
ということです。

人は同じ姿勢をキープするのは疲れるので、少しのけぞったり、姿勢を変えたりします。

実際僕もパソコンを長時間していたら、「伸び」をしたり「のけぞったり」しますからね。

それらを予測すると、やはり逆加入は
-1.50がバランスよく対応できるんですよね。


もし、テストレンズがない場合は
手元の度数を決めたのちに、
逆加入になる予定のテストレンズを仮枠の上から入れて距離感を見てもらいましょう。

「実際にはレンズ上部に
こんな見え方が少し入るだけですが、
奥行きの感じはこんなイメージです」と伝えることはできます。

このように、
明視域と人の行動をプラスして予測することで

より精度の高い眼鏡処方ができます




明視域もあくまで設定イメージ

そこからその方はどのような使い方をするだろうか?と予測し、「こんな使い方しそうじゃないですか?」と確認することで

実際に眼鏡を使用するイメージを持つことができ、明視域から大きく外れることは少なくなっていきます




「実際に使ったらちょっと距離が違った」とよく言われる測定者の方は

この、
「相手がどのように使用するのか?」を意識するといいかもしれませんね
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