「眼鏡の度数が合わない」と言われるには理由がある話を解説します

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処方交換とは、一度処方した度数が進んだりなじまないといった理由で
交換することですが

ほとんどの理由は
「慣れることができずに度数をもとに戻したり
度数を前後すること」です



もちろん慣れに関しては人それぞれ度合いが違うので

絶対に防げるといったものではありません


交換保証が半年から一年ついている眼鏡屋さんも多いかと思いますので

交換自体が悪いことではないと思います


とはいえ、眼鏡の利益としてはマイナスになることは間違い無いので

「防げるものは防ぎたい」というのが実情だと思います。


そこで今回は「防げる処方交換は防ごう」ということがテーマです



そもそもなぜ処方交換が起こるのか?


考えられることは次の5つの項目です

・明視域を定められていない
・設計をお互い理解していない
・比較ができていない
・するべき測定ができていない
・相手を見れていない



まず

・明視域を定められていない

ですが、問診の時にこの明視域を定められていないと確実に処方交換は起きます

少しの誤差は目の「調節力」を使ってピント調整できるのでなんとかなりますが、これは年齢が高齢になるほど範囲は狭くなっていきます

例えば若い方なら10センチくらいの距離的誤差があったとしてもピント調整できますが、

年配の方や眼内レンズを入れた方だと数センチの誤差も「見えにくい」と感じます



なので、できるだけ明視域を主訴に合わせることが大切となってきます



しかし、この明視域は勉強用の問題集では決まっていますが、

実際のお客さんは漠然と「見えにくい」という表現になるので、

これをどれだけ深掘りする問診ができるか?がポイントです



例えば「遠く」や「近く」の感じ方は人によってさまざまで、

3メートルくらいを「近く」という方もいますし、

10メートルくらいを「遠く」という方もいます



問診の時、どのくらいの「距離」が見えにくいのか?を確認するために「遠く」なら周りの景色で目標をみつけたり、

「近く」なら「何センチくらいの距離」なのか?を明確にする必要があります



問診がざっくりとした「遠く」や「近く」では、それぞれの感じ方によってズレてしまうので、

この「距離」をできるだけ明確にするための「質問」をすることがポイントとなります




次に

・設計をお互い理解していない

これは累進レンズ、ほとんどが中近両用や近々両用でおきる「距離の誤差」です



例えば遠近両用よりも中近両用の方が、「中間」「手元」の視野が広くなるのでおススメしますが、

なんやかんや人は「遠方」もどれだけ見えるのか?を気にします



どれだけ「中近両用は遠方は遠近よりも見えにくくなる」と説明しても

実際に使用したら「少し離れたテレビが見えにくい」と言われてしまいます



このミスマッチを防ぐためには、どれだけ「遠近などの遠方メインの設計」をかけかえてでも

「中近が便利」と思ってもらえるか?が大切です



問診の時に「本当に今の遠近で困っているのか?」

「眼鏡をかけ替えしてでも手元の視野をとりたいのか?」の熱量を確認することがポイントです



また近々両用も、逆加入が−1.00だと歪みを少なくするメリットがありますが、

その反面、ちょっとのけぞったりすると奥行きがなくなります



人は正しい姿勢で長時間キープすることはできないので、

近々両用を処方する場合は多少歪みが増えてでも逆加入-1.50で体験してもらう方がおススメです



遠近両用に比べて中近や近々は処方する数が少ないので、

眼鏡屋や眼科さんが設計の特性を理解していない場合も多いのが処方交換がおこる原因です





次に

・比較ができていない

ですが、

裸眼の時と、前の眼鏡から「どれだけ今回見え方が変わるのか?」を体験してもらっていないことが多いです


人は基本的に「比較」をするので、比較をせずに新しい眼鏡をかけると

良くなった部分はもちろん「悪くなった部分」にも意識がいってしまいます



その時に「以前との比較」ができていないと、「それは聞いていない」「そんなデメリットがあるなら変えなかった」となるので、

必ず変化することで起きるデメリットも比較してみましょう



それを知った上で新しい度数や設計になることで、「これは聞いていたことだから大丈夫だな」となり、

正しく眼鏡を使用してもらえるようになります



次に

・するべき測定ができていない

ですが、実は今回の動画の肝になるかもしれないのがこれです


処方交換が多い人の測定を見た時に

「何でこれやってないの?」ということがものすごくあります

例えば
・裸眼の片眼 両眼視力
・KBでの片眼 両眼視力
・瞳孔間距離チェック
・左右バランス


などです



もちろん予備検査と言われる「利き目チェック」や

「輻輳(ふくそう)」もしておくに越したことはありませんが、

「どれだけ今見えているのか?」を

確認していないことが多いように思いました



これはもうなんていうか、ただの怠慢だとしか言えないですね



「そんなばかな」と思うと思いますが、処方交換が多い人は本当にこれをやらずに

度数だけ上げたり下げたり、

設計を変えたりしているだけなんですよね



だから処方の根拠もないし、「なんでこの度数と設計にしたの?」って聞いても

「お客さんが見えるって言ってた」

と言った返答になっていました



そりゃ処方交換になりますよね



処方交換が多い方からすると

めちゃくちゃ耳が痛い話だとはおもいますが、

あたりまえにやるべきことをやらないから合わないのは起こるべくして起きているだけなんです



次に

・相手を見れていない

ですが、

眼鏡の測定ってお客さんと一緒に決めていくものなんですよ


こちらがいくら知識があって測定データが正しかろうと、お客さんを見れていなければ満足度の高い測定結果にはなりません


相手を見るとは、
この人は何に困っているんだろう?
話し方からせっかち系かな?
心配性かな?
よく理解している人だな



など、相手の性格も観察するのが大切です



例えば、「遠近両用って慣れられるんですか?」と質問する方はとても不安な状態で、決断が怖い心理状態です



僕はこの質問に対して

「今の現状、困っていることが解決できて、便利だなと思えれば脳が慣れていくので大丈夫」と答えますし、

逆に「別に眼鏡外せば手元は見えるし歪みがイヤだなと思うのであれば慣れにくいのでおススメできない」と答えます



人の脳は自分が「良いもの」と思ったものに対しては時間と共に慣れていく傾向にありますが、

他人から「大丈夫」と言われても本人が納得して「決断」しないことには、脳が慣れようとしないのです



ポイントとしては、

お客さん自身が「新しい眼鏡が便利」と思えたかどうか?

自分の意思で「これにする」と決断できたか?

この2点を確認しておくことです




この5つの項目ができるほど処方交換は確実に減ります

どれも大切なので、1つ抜けるだけでも精度が下がります


特に、処方交換は問診と予備検査がざっくりしている時に起こります




座学の勉強会も大切ですが、

そもそもの明視域をどこに設定するのか?を決める問診ができないと意味ないですし、

処方した理由を聞かれて説明できない限り処方交換は減りません




処方交換を減らすために大切なことは、5つの項目をすべて確実に行うことです


この項目のどれかを怠るたびに精度は下がってしまいます。



処方交換が起きる理由は、この5つの項目をバランスよくするだけで確実に減りますが

意外と知られていません


あなたはこの動画を見ることで、処方交換が起きる理由がわかったと思います



あとは実践でどれだけ冷静に測定ができるかです

「必ず確認しなければいけないことは、確実にできるようにする」ことが処方交換を減らす第一歩になります



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