【事業プレゼン支援】プレゼンターの想いをビジュアライゼーションする方法

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若い理学療法士井口さんから「タケボンさんのイメージのビジュアル化の力を借りたい!」と誘われ、当初は調子に乗って気軽に参加したつもりでした。
蓋を開けてみると、毎週金曜日、日をまたいで深夜まで夜な夜な議論をするハードプロジェクト。何せテーマが「より良く死ぬ為の自己実現サービス」です。普通は考えないとんでもないテーマでした。

井口さんとは以前も積水化学さんとのプロジェクトを進めた事がありました。デザイナーとして友人井口さんの想いに寄り添いながら、チームメンバーの考えやアイデアをグラレコで引き出しつつ、提案者の強いビジョン力に僕はなるほど!!を強く感じました。

誰もが目を背けたがる「死」というテーマに対して、どんなアプローチが出来るのか?人の死に際に寄り添い、健康をテーマに理学療法の世界で職能を全うする井口さんは「社会のQOLの向上に役に立つのであれば嬉しい」と言います。
そんな企画に微力ながら参加出来たことを光栄に思いました。
人の死に際に常に寄り添ってきた70代の遺言コンサルタントは的確なアドバイスで示唆を頂け、単刀直入に意見をぶつける栄養士さんは「井口さんの言ってることは理解できない!」と反発。20代の若手敏腕UIデザイナーは若いからと言って甘くみちゃいけない、鋭いツッコミたくさん。

毎回会議は白熱。収拾がつかない状態で、コンセプトはそれぞれの当事者の立場からの意見がぶつかり合いでした。次第に井口さんもイライラが募り、独りで単独で走り始める事もありました。主催者メンターの方々も夜遅くまで参加頂き、事業として成り立たせる為には、どうすれば良いか?をアドバイス。180度軌道修正させられることもありました。

そんな中でも彼はやり切りました。マズローの欲求五段階説を基軸に自己実現欲求を満たす為にどんなアプローチが出来るのか?

かなりの思考と言語化を繰り返しながら、最終着地した理論は明快でした。
年齢関係なく忖度なく話し合える場でした。安全な場だと感じました。このテーマは様々な社会問題、社会課題と密接に結びついていることが分かりました。
一言よりよく死ぬといっても色んな立場、考え方がある。

哲学的な話にも成り得るところを、科学的に客観的な知を用いて、理論で語る井口さんにメンバーがついていけない場面もありました。そこはデザイナータケボンの腕の見せ所。考えや理論の可視化をすることで、みんなの共通認識を創って、前提となるイメージを作っていきながらの調整。この経験は今後様々なプロジェクトで壁にぶち当たった時の糧になります。

プレゼン日。業務や家事でドタバタ、精神的にも色々とあって、
プレゼンには参加出来ませんでしたが、井口さんなら堂々とプレゼンしていたはずです。8分間のプレゼン+質疑応答。質疑応答での回答の自信に満ち溢れている感じは、本番に強い井口さんの経験と思考から裏打ちされた理論が飛び交っていたはずです。

人との出会い、心の繋がり合いが出来るのがオンランプロジェクトの良いところ。最後は彼の祖父の死という一人称のストーリーに心が引きつけられます。デザイナーとして彼の想いをほんの一部ですが、カタチに出来た事を光栄に思いました。

そしてチームメンバーのデザイナー2名の考察には毎回学びを得ました。果たして提案したサービスは本当に顧客ニーズがあるのかどうか?そこを検証しない限りは協力出来ないというスタンスは、あらゆる新規事業に携わっているからこそ、出てくる質問でした。仮説を立てたら、検証する。この当たり前のサイクルを日常化したいと改めて思いました。

クライアントの意図や希望を飛び越えて自分の信念と経験に基づいたライフプレゼンテーションをどのようにデザインしていくのか?僕自身も非常に考えさせられたプロジェクトが終わりましたが、自分には信念と言えるものがどれだけあるのか?何か一つでも自信を持って胸を張って自分が考え抜いたという商品や事業を作り出したいと改めて思いました。

【審査講評】
 本プロジェクトが期待する各種要件を極めて高い次元にて達成されただけでなく、誰しも逃れることのできない「死」に着目された独自の着眼点から包括的なサービスアイディアを構想し、手触り感のあるソリューションとしてご説明頂いたことを大変高く評価させて頂きました。

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