グループディスカッションの方法論と実践

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ビジネス・マーケティング
グループディスカッションを実施することで、ユーザーの未充足なニーズを引き出すことが出来るようになります。現在はコロナの影響などもあり、オンラインで手軽にZoomで開催することも可能になってきました。以下はその目的からユーザーの集め方、手順、フォーマット作り、記録の取り方まで、私が実践していることを紹介させて頂きます。

グループディスカッションの目的


ユーザーを集めてグループディスカッションをする目的は、商品企画をする上で狙っているターゲット層の顧客がどういう行動をして、どんなことに問題を感じていて、どんなことにニーズがあると感じているか?を把握することにあります。商品企画で必要な事は、事実を元にした課題設定です。開発者が知らない事実を知る事が重要です。

グループディスカッションの醍醐味はディスカッションの中で交わされる会話の中で、ユーザーも忘れているような行動であったり、意識していないけど実はかなり問題だと感じていたりしたことが発見できることです。毎回発見できるわけではありませんが、回を重ねるごとに、少しずつ発見出来ることが多くなってきます。なので、事実をベースに分析をしてみて、その中から本質的なニーズを浮き彫りに出来た時、そのニーズには誰もが知らなかった潜在的なニーズが隠されているかもしれません。

ユーザーの集め方

同じユーザー属性、例えば30代の既婚女性で小学生の子供がいる世帯をターゲットにした場合は、その属性の方々を集めることになります。ある程度同じような価値観を持っていたり、同じような習慣がある人、それが商品企画やブランドのロイヤル顧客層として相応しい人を集めて行くイメージです。

この最初の集客が一番難しかったりします。私自身も失敗を何度も経験しています。スクリーニングアンケートを実施して、想定ターゲットとなるユーザーの属性を決める為の質問が重要になります。この属性を決める為にはペルソナがしっかりと想定されていなければなりません。基本的な情報はさておき、例えば家事グッズを考えるとした場合は、その家事をどれくらいの頻度・時間やっているのか、好きなのか嫌いなのか、邪魔が入ったりするのかどうか。夫は協力的なのかどうか。などの質問を聞いていくことで、ペルソナとして想定していたターゲットに近い人を集めることが出来ます。

UXデザインにおけるSEPIA法

ユーザーをどう分類してスクリーニングするかはかなり悩み所ではありますが、安藤昌也氏の「UXデザインの教科書」を参照すると、例えばユーザーを自己効力感と製品への関与度によって4象限に分類するSEPIA応用法というやり方が紹介されています。

顧客起点マーケティングにおけるロイヤル顧客選定法

西口一希氏の「顧客起点マーケティング」では、ロイヤル顧客を簡単なアンケートで導き出す方法を紹介されています。ブランドを知っている、買った事がある、その頻度を調べることで、自社のブランドのロイヤルユーザー、他社のロイヤルユーザーを導き出す方法です。この手法は単純にユーザーを選定するだけでなく、ユーザーセグメントがどのように移動したのかを定期的にモニタリングすることによって、マーケティング投資効果がどの程度だったのかを検証する方法としても活用が出来るとのことです。

グループディスカッションまでの準備

ユーザーへ質問する内容をあらかじめ想定してフォーマット化しておきましょう。このフォーマットに関しては色々なフォーマットがあるかと思います。私はUXデザインやキーニーズ法などを応用して作りだしたフォーマットを用いて質問内容をグループディスカッションがある度に修正しながらブラッシュアップを図っています。フォーマットに関してはまだまだ粗削りのものです。もう少し完成度が高くなってきたら、詳細をシェアしたいと思います。キーニーズ法では「問題があるけど頻繁にやっているようなこと」を幾つかの感情や分類を分けて質問することで、複層的にユーザー行動を抽出していく手法を取っています。

質問する内容は、具体的に欲しいニーズ周辺で起きている事を浮き彫りにするために、その問題が発生していると想定される場面で、どのような行動をユーザーがしているか?が湧き出てくるような質問が理想的です。小難しい質問をしてユーザーが時が止まったかのように何も返答しなくなったりする場面がありますが、その場合は良い質問ではない可能性があります。ユーザー同士がお互いに共感しあって、「そうそう!私もそれある!」というような反応がポンポン返ってくるような場作りが出来たら成功です。その為の質問をまずは空想で良いので考えましょう。その空想を実施してみて、良かった質問と悪かった質問を後から振り返ってみて、精査していくイメージです。

質問内容が決まったら、タイムラインを書き入れて行きます。私はこのフォーマット創りにMiroを使用しています。いろいろと試しました。Google Slideであったり、Google Spread Sheetなど。グループディスカッション中に議事録を取る係と、行動を抽出する係を分けて、同時並行で複層的に構造的にディスカッション内容をまとめるのに適したツールは今のところMiro以外にありませんでした。

①質問、②タイムライン、③回答を書き込むスペース、④行動を抜き出すスペースを用意しておくだけで、かなり貴重な記録が短時間で取ることが出来ます。さらにその後の分析作業もスムーズに移行ができるのでおススメします。フォーマットに関してはもう少しブラッシュアップが出来たら有料記事にて紹介いたします。日々実践を重ねている段階ですので、もうしばらくお待ちください。

各設問ごとに行動を抽出し、上位ニーズ化まで可能なフォーマットを作り運用をしています。グループディスカッション中にはファシリテーター、議事録係、行動抽出係を決めておけば、ディスカッションが終了した時点で行動まで導き出されて、詳細は議事録が残っているのでそこから参照できるようになっていますので、かなりシステマチックに効率的にディスカッションの記録が取れるようになっています。
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