学生時代から、中学受験・高校受験・大学受験といろいろな受験生を見てきました。
その中で「中学受験」はやはり特殊だなと痛感します。
「中学受験」を専門塾に通わずに家庭の勉強で挑戦しようという方も最近は増えています。
そんな「家庭勉強からの中学受験」を目指す保護者の方に知っておいてほしいことがあります。
それは
「解けない問題があっても完璧を目指さないこと」
テストをやって「解けない問題がある」という状態に、親子ともども精神的に耐えられるかどうかというのが、中学受験の勉強を持続していく上で大きな鍵になっています。
まず、
小学校で行われているテストは、基本的に「満点がとれるテスト」です。
学習内容を理解しているかどうか確認するためのテストなので、理解できていれば満点をとることは可能です。
でも
中学受験向けの問題集などを解いたときには、「できない問題」が結構でてきます。
このときに、教えている側として禁句なのは
「なんでできないの?」
子どもも自分で思ってます。言っちゃダメ。
そもそも、中学受験の問題は「正解してもらうための問題作り」ではなく、
「間違えてもらうための問題作り」をしています。
だから、いろんなところに「ワナ」が仕掛けられています。
ここで落ち着いて考えてみてください。
だいたい、どこの中学でも合格ラインは7割~6割程度。
8割とれれば、ほぼ合格できるはず。
中学受験をしようかというお子さんであれば、
小学校のテストで70点だったりすると、かなり大事件なのではないでしょうか?
でも、実際に中学受験の専門塾にいた時でも、特に保護者の方から多かったのが、テスト返却後の
「うちの子、こんなに間違えてますが大丈夫ですか?」
という問い合わせでした。
「大丈夫ですよ」と言ってもなかなか分かってもらえないこともあります。
ただ大手の塾のテストの場合、「正答率」というものが出されているので、
この「正答率」を基準に「やり直しする問題」「やり直ししない問題」を分別します。
しかし、家庭勉強でやっている場合、問題集や過去問を解いてもなかなか正答率まではわかりません。
長年、中学受験の専門塾で指導していると、「この時期にこの問題はまだ難しいかな」といったことがわかりますが、なかなか一般の保護者の方には判断がつきにくいかと思います。
この辺が「家庭からの中学受験」の難しさでもあるかなと思います。
高校受験・大学受験になると、学校でも受験を意識したテストが行われますので、「100点が取れる問題」ではなくなってきます。
しかし小学校は「受験を前提としたテスト」は基本的には行いません。
だから、子ども自身も間違えた時の精神的ショックは大きく、
実は「どうしよう」と思っていることが多いのです。
だから保護者の方は、中学受験問題で間違えていても、
すぐに「なんでできないの?」と聞くのはやめてあげてください。
やり方がわかっていても間違える。
それで当たり前。
そんな気持ちで、受験勉強に付き合ってあげてほしいと考えます。