投資脳を鍛える!

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マネー・副業
以前愛読していた「投資の達人」(毎日新聞社刊)という雑誌(現在は休刊)の2007年1月号で、「投資脳を鍛える!」という特集記事が掲載されていました。
その中に"「投資脳」力を測る10の質問"というものがありました。

まあ、当たり前のような質問が10個並んでいて、その回答によって「投資脳」力を測るというものですが、その中で「1年後の20万円よりも、目先の10万円を選ぶ。」という質問がありました。

私はしばらく考えて、目先の10万円を選びました。結果はもちろん×。そんなことは当然であろうことは分かっていながら、それでもあえて目先の10万円を選んでみたのです。

この文章だけでは、実のところ答えは出せません。もちろん、絶対確実に1年後に20万円貰えるという前提なのでしょうが、それが明示されていなかったため、その前提すら疑ってみた訳です。

ただ、この文章を次のように勝手に解釈して、言い換えてみたらどうでしょう。

恰幅のいい紳士が現れて10万円をあなたに渡した後で、「その10万円を貰って帰ってもよいが、もし私にそれを預けたなら1年後には2倍の20万円にして差し上げよう。」と言ったとします。あなたはどうするでしょうか?

その紳士を信じて、1年後の20万円を選ぶという人もいるでしょう。しかし、多くの人は既に受け取っている10万円を選ぶのではないでしょうか。

「投資脳」というテーマを考えると、基本的には人に運用を任せてはいけません。そうであれば、正解は目先の10万円を選ぶということになるはずです。

それでも紳士を信じて10万円を預けた人に対して、1年後にその紳士が約束通り20万円をくれたとします。そして紳士は再び言うのです。

「1年後にその20万円を40万円にしてあげよう。もっとも、私にとっては20万円の運用も50万円の運用も同じことだ。その20万円に30万円を追加することができるなら、1年後には100万円にしてあげよう。」

紳士を信じ切っているあなたは、紳士に50万円を預けることになるでしょう。そして1年後、紳士は当然現れません。あなたは自分の30万円をも失うことになるわけです。

この手の詐欺事件は、比較的ポピュラーです。最初に利益を供与して、さらにそれを増やして見せて自分を信用させてから、一気に仕掛けるのです。結婚詐欺なども、同様のパターンでしょう。

ここで面白いのは、上記の架空の詐欺師は、レバレッジを上手く使っているということです。被害者は、本来であれば2倍にしかならない投資話に、自分の資金をプラスすることで、30万円が100万円になる、すなわち3.3倍になるかのような錯覚を覚えることになります。

もともと0だったお金が20万円になったことで、紳士への信頼と期待が膨らみ、さらには自己資金30万円が3倍以上になるかもしれない、という妄想に支配されるのです。

投資話に絡む多くの詐欺事件が、同様の構図を抱えているのですが、未だにこの手の詐欺に引っ掛かる人は後を絶ちません。

次に、これらの話は詐欺ではないとした場合についても考えてみます。

最初に10万円を受け取って、それを自力で1年で2倍に増やすことは困難でしょう。それを考えると、1年後に20万円を受け取った方が得のような気がするかもしれません。

しかし、20万円を与える側は、なぜ1年待たせるのでしょうか?大金持ちの道楽なら、最初から20万円をくれれば済むことです。

銀行の利息のようなものを考えるなら、当然その背景には投資が介入しています。すなわち、20万円くれるのが1年後である理由は、元々くれる予定だった10万円を運用して、20万円に増やす必要があるのかもしれません。

そのような運用話は、実現性が低いものです。すなわち、詐欺ではないにしても、「投資脳」力が高い人なら、1年後に20万円もらえる可能性は極めて小さいと判断するでしょう。

それならば、自分で10万円を運用した方が、はるかに有益です。ひょっとしたら1年後に2倍以上に増えるかもしれません。何よりも、自分で運用することにより、「投資脳」力を鍛えることができます。それはお金には代え難い利益となるでしょう。

まあ、あまり捻くれたことばかり述べていても、仕方がないかもしれません。もし、1年後に貰う金額が10万5千円だったなら、多くの人は躊躇なく目先の10万円を選ぶことでしょう。
これは、1年後のお金の現在価値を考えれば分かりそうな話です。

しかし、それが20万円になった途端に、判断が分かれることになります。この判断の違いの根拠が金額のみであるということは、冒頭の質問に普遍的な意味はないということになってしまいます。

もしも現状がものすごいインフレで、なおかつ市中金利が高騰していたなら、1年後の20万円を受け取る人は誰もいないに違いありません。

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