資産カーブのリスク管理

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マネー・副業
株式の売買に対する損切り基準は、日々の株価のボラティリティ(変化率)の標準偏差を元に決定すればよいことを述べてきました。
これは、トレードが有限の時間で行われるためであり、一旦損切って手仕舞ったら、それ以降のトレードはまた新たに行う別個のものと捉えることができます。

一方、資産カーブは投資活動を続ける以上、途切れることなく連続しているものであり、仮に売買を休止したとしても、その休止期間中の資産推移(変化しなくても)もまた資産カーブの一部となります。
私たちは投資活動と完全に決別するまで、生涯に渡ってこの資産カーブと付き合っていかなければなりません。

資産カーブの理想は右肩上がりの直線ですが、実際には全ての活動期間においてこれを維持するのは難しいことです。時には大きくうねったり、小刻みに振動したり、あるいは長期間変化せずにいながら、推移していくことになるでしょう。

また、狭義の資産カーブとしては、ある一連のシステムトレードの結果としてのものがあります。
これは、システムとしての寿命が尽きるまで継続して記録され、ある基準を割り込んだ場合に寿命が尽きたと判断してシステムが停止されます。

今回は、この狭義の資産カーブにおけるリスク管理、すなわちシステムの停止基準について考察します。

まず思い付くのが、株式の売買と同様に日々のボラティリティの標準偏差を基準に決定する方法です。

しかし、これは極めて短期的な指標であり、資産カーブに必ず現れるドローダウンを許容することが出来ません。すなわち、少しでもドローダウンが発生すれば、直ちにシステム停止に陥ってしまいかねません。これでは長期に渡るシステム運用は不可能です。

次に考えられるのは、資産カーブそのものの標準偏差ですが、資産カーブは基本的に右肩上がりを理想とするため、やはり現実的ではありません。
何故ならば、標準偏差は資産カーブの上昇につれて増大していってしまうからです。

一番妥当な基準としては、資産カーブのその回帰直線からの乖離の標準偏差を用いることでしょう。
これは回帰直線の各日付に対応した予測値の、実際の値(資産)からの標準誤差であり、エクセルではSTEYX関数で算出できます。

資産推移がその回帰直線を中心とした正規分布になっていると仮定できれば、資産カーブの標準誤差の3倍をシステム停止の条件とすることができます。
全てのシステムについて確認したわけではありませんが、理想的なシステムでは概ね正規分布に近い資産推移となることが分かっています。

この基準におけるイメージは、資産カーブの回帰直線から標準誤差の3倍分マイナス方向に平行移動した直線を資産カーブが下に抜けたとき、システム停止となるわけです。
なお、ここでは標準誤差の3倍を基準としましたが、よりリスクを低減したい場合は、2倍や2.5倍といった基準とすればよいでしょう。

ちなみに、回帰直線はシステム運用開始時で固定し、時間の経過と共に再計算してはなりません。
ただし、その後の資産カーブが回帰直線から上方に大きく乖離して戻らない場合は、再計算を行うことも考えられるます。しかし、これらは慎重になされるべきでしょう。

いずれにしても、運用するシステムに対しては、通常の株式トレード同様、基準以下の成績になったら直ちにシステム運用を停止(損切り)することが重要であり、ずるずると成績の上がらないシステムにしがみついていると、大きな損失を抱えることになってしまいかねません。

システム停止とシステム休止との違いを曖昧にしてしまうと、損切り後のシステム再開条件などというものに考えを囚われてしまいます。
停止したシステムは使わなければよいだけの話であり、直ちに別システムを投入すれば済む話なのです。

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