王子さまの恋みくじ♡(その4) :くまのボンザ

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 王子さまは、『聖杯の5』をじっと眺めて、小さくため息をついた。

「王子さまは、【お見合い】は、お嫌いですか?」

「いや、すごく嫌だというわけではないんだけど、ちょっとぞっとしたんだよね、」

「はあ、、、そうなんですか」

 王子さまがおっしゃるのは、こういうことだった。
 シャンピニオン大臣が自分の娘をお見合いさせようと画策し、そのまねをポルチーニ大臣がまねして、って、ちょっとしたブームになっていったらしい。
 プラナス卿(王子さまの側近の、あの外で待たされている人の名前だそうだ、)がさばききれないくらいの書類を、それぞれの偉い方が偉そうに置いていった。
 それで、お仕事が増えてしまったそうだ。
 いつものお仕事だって大変なのに。

 そして、それらのお見合いをもしも全部、本気でセッティングするとなると、向こう半年は、王子さまのホリディをすべてぶっつぶさねば予定が入れられないくらい、だとか。

「ホリディは、一番たいせつだから」

 ですよね。
 ちなみに王子さまだけでなく、もちろん側近のプラナス卿以下、何名もが休日出勤になるらしいので、ちょっとした災難かもしれない。

「ま、まぁ、ここが最下位でしたからね、そんなブラックな予定になるのなら、おすすめできませんね」

「うん、とりあえず、一人とお見合いしたら、次の人とはお見合いしないわけにはいかなさそうだし、なんとなれば、みんな自分を一番にしてくれって言ってうるさいんだよ。
 だから、いっそ全然やらないってことにしておくよ。運が悪かったってことにして。
 恋みくじでは、最下位で出て良かったかもしれない」

「そうですね、他にもっとお勧めのシチュエーションがありますからね」


 ☆


「さ、次を聞かせてくれたまえ」

「かしこまりました。 第10位は、」

(ドラムロールを想像してね)ドゥルルルルル、ジャーン。

「第10位は【既に出会っている人】です。『剣の4』が正位置で出ました」

「うわぁ、それはめっちゃ気になるな♪、誰のことを言ってくれているんだろう?」
 と、王子さまはちょっと嬉しそうに言った。

「お城の中の人と、お城の外の人と、国外の人と、それから君たちケモノ族と、精霊と妖精とドラゴンと亡霊と、う~ん、範囲的には相当いるね♪」

「幅広いですね、さすが王子さま、、、」

「で、これ、どういう意味の絵なんだい?
 なんか騎士が教会の中で横たわっているけど、まさかお葬式とかじゃないよね?」

「いえいえ。縁起でもない。この騎士は休憩中なんです。
 ざっくり言いますと{恋の中休み}、今はなかなか進展しないっていうイメージでとらえてください」

「へぇぇ、さっきの『聖杯の5』は、立ってうなだれていたけど、こっちは寝ているのか」

「王子さまは、どっちがお好きですか?」

「そりゃ、ホリディ返上して、立ってうなだれているよりは、寝ている方がましだな」
 ぼくもそう思う。

「それと、この騎士さまは寝ているだけなので、良いタイミングが来たら{恋の中休み}が終わって、すなわちワクワクドキドキが始まる♪ってこともありえますから、こちらの方が、意味がまだまだよろしいですからね」

「うん、そういうことは、つまり。
 いずれ、運勢も変わるってことだね」

「そうなんです、タロット占いは生まれ持った運命を占うものではなくて、運勢を占っておりますので。
 お一人おひとりの一期一会の、その時だけのオーダーメイドの占いなんですよ、えっへん(^^)」
 うんちくがうざいのは、お師匠さんの悪いくせだ。

「さ、どんどん行こう、次々~♪」

「かしこまりました。 第9位は、」

(ドラムロールを想像してね)ドゥルルルルル、ジャーン。

「第9位は【趣味を通じて】です。『剣の6』が逆位置で出ました」

「逆位置って? ああ、絵がひっくり返って見えるってことか」

「さようでございます」

「船出だね、船を出している船頭さんがいて、向こう岸に渡るってとこか」

「ええ、そういう絵ですが、なかなか船頭さんがいなくて、出発が遅れるようなイメージを持ってくださいね。{恋がなかなか進展しない}って感じです」

「焦れ焦れの恋もいいと思うけどね」

「そうですね、とんとん拍子より、物思いにふける、月を見て涙するっていうのもよろしいですよね。ですが、ここには水が描かれているので、情緒的過ぎてもいけないようです。
 ちなみに、王子さまのご趣味は?」

「う~ん、乗馬に剣のおけいこ、政治と語学と経済と歴史の勉強、それから視察、槍術、弓矢、狩り、、。
 そうだねぇ、周りにはみごとに男しかいないけどねぇ、、、」

 え?つい変な想像をしてしまった。
 それは、もしかしてかの有名なBL、それで焦れ焦れで進展しない、とか、、? (赤面)・・・

 童話風より、そっち系の話がいいかな?
 いやいや、お世継ぎが必要かと思うので、今回はパスで(笑)。

「11~9位と言っても、さほど悪いカードは出ていないんだねぇ」

「はい、ありがたいことに今回はなかなか良い運勢の鑑定です。
 そして、次こそは王子さまにふさわしいシチュエーションでございます。
 第8位は!」

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 ※ この小説は、あざとくもCM用の童話風の物語です。
 ※ もちろん、フィクション小説です。登場人物、設定全てにおいてでたらめです。
 ※ アマチュアなので手作り感満載ですが、お許しくださいませ。気まぐれ不定期更新します。
 ※ カードの解説は便宜上、お話の筋に寄せていますので、この小説内の解説をうのみにしないでくださいね。
 ※ ちなみに『聖杯の5』には、{政略結婚を受け入れる}というキーワードもあります。
 ※ タイトル『おるすばんにっき:くまのボンザ』から、『王子さまの恋みくじ♡ :くまのボンザ』に変更いたしました。

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