3日後のお昼に、王子さまが今度はもっとラフな普段着でお越しになった。小さな喫茶店というのがお気に召したそうで、
「とてもくつろげるよ、ここ」
とおっしゃって、お供は全員、外で待機ということになった。
側近の人は、パネラとぼくが王子さまをたしなめてくれないかなぁ~、自分も一緒に聞きたいな~という目をしていたが、ぼくたちは知らん顔をしていた。
お昼はランチがお得なので、ランチをお出しする。
森のきのことアローザ牧場のハムを使ったクリームパスタ、サラダ(にんじんときゃべつ)、フルーツヨーグルトとミニサイズパンケーキ(チョコとオレンジと生クリーム)セットをチョイスされた。
とーくるーむの個室で、ぼくは王子さまと共に紫の宝珠を操作した。そんなことをしなくてもお店は貸し切り状態だったのだが。
これが、『お人払いをっ!』てやつだよね?
パネラはうさぎだが一応女の子なので、王子さまはぼくを指名してくれていた。それに、ぼくの方が紫の宝珠の扱いになれているのだ。
あとたぶん、ぼくの方が口がかたいと思ったのだと思う(暴露本、もとい、このにっきのことは内緒にしておこう、このにっきを読んだ人がもしもいたら、王子さまにはどうかご内密におねがいします)。
☆
「12の星座ホロスコープは、わかりますか?」
「うん、星占いのやつだね、とりあえず知ってる」
「1年で12の星座を太陽が巡ります。これは運命の輪の形にも通じていますので、ずらっと12枚のカードを楕円形に並べて占います。そして、真ん中に、、、、」
テーブルいっぱいに様々なカードが並ぶと、なかなか壮観なのだ。そして、けっこういいカードが出ているようだ。
王子さまにはどんなお嫁さんがふさわしいのかな?
「つまり、この12枚のシチュエーションの中から、ランキング形式に伝えてくれるわけだね?」
「さようでございます、但しシチュエーションは11項目です。この1枚目は、ご本人さまのこと、そして現在の状況を伝えてくれるので」
「なるほど、じゃ、まずそれを聞こうか」
「おお、さすがでございますね、」
とお師匠さんが嬉しそうに言った。
たいがいのお客様は、結果ばかり早く聞きたがるので、いつも1枚目の解説が後回しになってアドバイスカードと一緒に解説されたりすることが多い。
「うん、まずは『自分自身を把握すること』、これは城の占い師も、いつも言っていることだから。
遠慮なんかはいらないから、サクッと言ってくれ」
「『〇〇の9』正位置ですね。(ネタバレは最後部にあります)
豊かな暮らしを送っておられます。素敵な葡萄の垣根の中の、この鳥は外に飛び立つ力も十分にあります。ここから、今後の自立運・結婚運も良好です、と読むことができます」
「良かった、じゃ、11項目のうち、悪い方から伝えてくれないか?」
「え?」
ぼくもお師匠さんも驚いた。
あらら、どうするんだろう?
お師匠さんは、大吉とか大ハッピーが好きなので、いつも能天気に第一位からお伝えしているのだけど。
「どうせなら、最後に盛り上がりたいじゃないか、カウントダウンだよ、運があまり良くない方の第11位から伝えてほしいな、」
「かしこまりました。 第11位は、」
(ドラムロールがあったと思ってね)ドゥルルルルル、ジャーン。
「第11位は【お見合い】です。『聖杯の5』が正位置で出ました」
「やっぱりね、」
と王子さまが言った。
そうか、とぼくは思った。
王子さまがお城の占い師じゃなくて、わざわざ森のはずれまでお忍びで出かけてきて、無名の占い師{花きゃべつ}に占いをさせた理由が、なんとなくわかったぞ?
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※ この小説は、あざとくもCM用の童話風の物語です。
※ もちろん、フィクション小説です。登場人物、設定全てにおいてでたらめです。
※ アマチュアなので、手作り感満載ですが、お許しくださいませ。気まぐれ不定期更新します。
※ 王子さまのご本人項目。正しくは、『金貨の9』正位置です。カードの解説は便宜上、童話の筋に寄せていますので、この小説内の解説をうのみにしないでくださいね。
※ タイトル『おるすばんにっき:くまのボンザ』から、『王子さまの恋みくじ♡ :くまのボンザ』に変更いたしましたm(__)m。