(ドラムロールを想像してね)ドゥルルルルル、ジャーン。
「そして、次こそは王子さまにふさわしいシチュエーションでございます。
第8位は!
【舞踏会で】です。『聖杯の7』が正位置で出ました」
やった~!
舞踏会と言えば、華やかなパーティ!
いよいよ、王子さまの恋みくじが正統派になってきたぞ!
そう思って、ぼくはわくわくしてきた。
だけど、王子さまは、そこまで嬉しそうじゃなかった。
「舞踏会か。嬉しいな、うん、...ちょっとだけ」
そして、そうっと小さなため息をついた。
「お客さんがたくさん来て、ごちそうがいっぱい出てきますよね?」
「うん、それはそう。
でもさ、ぼくはずっと舞踏室にいなきゃいけないんだよ?
不公平ではいけないと思うからね、ほとんどすべてのお客さまにご挨拶をして、ダンスのお相手もおつとめしなくてはね。
ごちそうをのんびりと楽しむ時間はあまりないかな。ダンスがメインだからね」
「うわぁ」
「それより、このカードは面白い絵だね。
7つの聖杯に様々な物が入っているという、贅沢な絵のカードだね」
「はい、たくさんの素敵なものがあるのですが、まだまだ漠然としたものがたくさんあるという意味です。一つの夢に絞り切れないというイメージですね」
「なるほどね~、舞踏会は、まさに豪華絢爛だからね。
あ、あと、この絵の感じで思い出したんだけど。
これは、忘れ物がかりの召使いが、倉庫で物を探している絵にも見えるねぇ」
「舞踏会には、ちゃんと忘れ物がかりさんがいるんですね」
「うん、きちんとしたおもてなしのためには必要だし、せっかくいらしてくれたお客様のためにもね、安心してリラックスしていただけるように、クロークとは別に、相談窓口みたいになっているんだよ」
「舞踏会では、忘れ物とか多いんですか」
「そうらしい、ダンスしたり、会話したりと忙しいからね。昔は各々の小間使いが個別に色々と執事や城の召使いに問い合わせに来るので、その対応が大変だったとか。
それで、一括して対応できる窓口を作ったらしい。けっこう、落とし物も多いらしいよ」
落とし物!
その手があったじゃないか♪
「あの~、また聞きの話で恐縮ですが。
ぼくは落とし物のおかげでご縁ができたという、異国の王子さまご夫妻のお話を聞いたことがあるんです。それは、まさに【舞踏会で】の出来事でした」
王子さまがにっこりと笑った。
「うん、それはぜひ聞きたいな」
「とある国の舞踏会で、王子さまが一人の女性を気に入るんですけれど。で、名前とかお尋ねしようとするんですが。ちょうど夜中の12時近くになっていたんですよ。
そのお嬢様の門限だったってことなんでしょうか。慌てて帰ろうとするあまり、落とし物をしてダッシュで帰ったらしいんです」
「ああ、ぼくもその話、なんか聞いたことがあるな。たしか、靴を落としていった話じゃない?」
「たしか、そうでした。
なるほど、たしかにこれは皆さまご存じのお話、かと思います」
「ハイヒールの靴を落とした後、痛いだろうに裸足で走る女性とかけっこしたわけだ。
ふだんから、鍛え上げていなければいけない王子さまが追いつかないというのも、ずいぶん情けなくて困りものだねって思って、聞いてた話だ」
「え?
目のつけどころは、そこ、ですか?
ちなみに王子さまなら、かけっこで追いつけますか?
追いつくことが出来れば、だいぶ手間が省けますよね」
「うん、そうだよね、そのためにも僕は日頃から、かけっこの練習はちゃんとしている。
なんとか追いついて、手渡ししてあげる。
え?追いつけない方が、恋が生まれる?
そうかなぁ? そう思う?
だって、さっきも言ったように、ぼくのお城には、ちゃんと《落とし物・忘れ物お問い合わせの専門》の窓口があるんだから。
優秀な、美男美女の召使いたちも常時たくさんいるからね、実際に落とし物を取りに来た人と恋が生まれたりしているそうだよ。
ぼくもやたら踊っているばかりじゃなくて、そういう親切さを売りにする窓口に座っていようかなぁ」
「そうしたら、お客様がたくさん靴やら手袋やらを落としていってくださることでしょう」
と、ぼくはちょっとヨイショしておいた。
「『期限内にちゃんと早く取りに来ないとオークションで売っちゃうよ?』って看板に書いておこうかな」
「はい?」
「舞踏会は、意外とお金がかかるって、大臣が言っていたもの。
それに、めんどくさいのか、捨てていったのか、期限を決めておかないとずっと保管してもらえると思っているみたいで、取りに来てくれない人も多いらしくて」
「なるほどですね、でもいっそ珍しいガラスの靴なら高値がつきそうですね♪」
「普通、そういう価値のあるものは落として行かないし、でも良くもまぁそんな固そうな靴を履いて踊れたよね、お姫様の根性、おそるべし♪」
「そこは魔法ですから。♪
きっと履き心地も良くて脱臭機能付きですよ、脱げた直後も臭くなったりしないんです」
「なぜ、ガラスの靴だけは最後まで魔法が解けなかったのかも、なかなか不思議だよね」
「まぁ、きっとそれもまた魔法ですから!」
「定番の【舞踏会で】が第8位、ということは。
その上にまだ7つもあるんだ、上位に期待しよう♪」
「はい、どんどんカウントダウンしていきましょう」
(ドラムロールを想像してね)ドゥルルルルル、ジャーン。
「そして、第7位は【旅行先で】です。『金貨の4』が正位置で出ました」
今度は、王子さまはとても嬉しそうに身を乗り出した。
「旅行とは、嬉しいな。ぼくも成人したから城からもっとあちこちに出かけたいんだよね。
7位とは微妙な位置だけど、予算を取ってもらえるよう頼んでみる♪」
「そうですね、ぜひそうなさいませ」
「恋が生まれるなら、一石二鳥じゃないですか」
「だけどさ、この絵の、金貨を抱っこしている王様の絵がさ、いかにも気に入らないねぇ」
「王様が、4つの金貨をきちんと保有している、という絵なんです。
ここからはかなり良い意味が続きますよ~(^^)。実際、このカードは、{経済力のある人}と、{結婚につながる安定した結婚}という意味がございますから」
「あのさ、旅だよ、旅先だよ、もうちょっとハプニング感が欲しいよね。
こう、せめていっそ不安定でもいいんだ、リゾート地のひと夏の恋!
なんか、めっちゃ執着心のある、過保護な王様にしか見えないな、この絵。
どこまで旅しても、親や親せきが後ろから抱っこするかのようについてくる、みたいなイメージがさ、」
「いや~、王子さま、とてもカンがよろしいですね。
逆位置で出ますと、たしかに{執着}とか、{頑固}とかの意味もありますが。
もともとは{地に足を着ける}という良い意味のカードなんですよ、お気に召しませんか」
「うん、4枚の金貨を抱っこしている可愛いお姫様の絵だったら、まだ良かったんだけど。
金運アップしそうだし♪
だけどさ。
ちょっとオジサンの王様には、どうしたって萌えない(笑)」
「いや、異国では、おっさんの恋というテーマがどっかんどっかんブームになった事もあったりしたんですがね、」
「いや、僕は出来れば普通にほんわかした恋がしたいなぁ~♪
一応、旅行したい気持ちはあるから、異国に行ったら、そこの王様にはきちんと通行料をけちらず払って、協力をあおぐよ。
でも、おっさんと深く関わらない、のびのびした旅行がいいな~♪
さ、次に期待しよう、次は6位だよね?
ここから、もっとご縁のあるシチュエーションがあるんだよね?」
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※ この小説は、あざとくもCM用の童話風の物語です。
※ もちろん、フィクション小説です。登場人物、設定全てにおいてでたらめです。
※ アマチュアなので手作り感満載ですが、お許しくださいませ。気まぐれ不定期更新します。
※ カードの解説は便宜上、お話の筋に寄せていますので、この小説内の解説をうのみにしないでくださいね。
※
【舞踏会で】は、王子さま専用です。一般の方々には【パーティで】と申し上げておりますのでご了承下さい。婚活パーティー、ご友人の披露宴などが対象となります。
※ タイトル『おるすばんにっき:くまのボンザ』から、『王子さまの恋みくじ♡ :くまのボンザ』に変更いたしました。