絵描きの時間管理1

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マンガ
「マンガの描き方」を教えるお仕事をさせていただいている時、教えるべきコンテンツがマンガの描き方に関する技術だけではないことを痛感することがよくあります

専門学校の生徒さんを指導する時にもよくあるのが
「描けません」
という問題です
これは技術的に未熟だから描けない、という理由の他に、精神的理由と時間的理由があります
今回は時間的理由についてについての考察を書いてみたいと思います

マンガを描く。絵を描くというのは非常に時間のかかる作業です。専門学校の私の授業では、まず「できるだけ描く時間の確保をしてください」とお願いします。上手であろうと、下手であろうと、作品が仕上がらないことには始まらないからです。

時間確保という問題には2つの観点があります
長時間の確保。ということと
もう一つは、そもそも描く時間をどうやって取るかということです

まず、長時間ということにつきまして、専門学校はほとんどの生徒さんが漫画家になりたいと思って入学していますので、「漫画家になったつもりで描きましょう」ということなのですが、自分がシロウトだった頃の作業時間とプロになった今の作業時間は雲泥の差があるのを知っています。慣れないと、まず「描く」という集中力の必要な作業が続かない方も多くあります

そのために、受験勉強の時にはお勧めできない方法ですが、ながら作業をお勧めしています。人はどうしても本能的に苦しいことを避けて楽を選ぶ生き物です。長時間の集中というのはストレスになります。(マンガを描くのが好きで苦痛じゃないよ。という方も、ネームからトーン貼りまですべての作業がまんべんなく好きというわけではないでしょう)人の脳はそんな時に、このままではストレスで死ぬぞ!休め!という命令を出します。これは遥か昔から人の命を守ってきたシステムですのであらがうことができません。ですから、私は「これをだましてやりましょう」と提案しています。

どうするのかというと、しんどいことと楽しいことをセットにするのです。昔から、きつい労働作業をする人々がそれを紛らわすためなのか、労働の時に歌う歌があったというのを聞きますよね。たたらを踏むときの歌とか。軍隊の訓練の時の歌とかもそれの類のような気がします

歌う…のは無理かもしれませんので、作画の時は必ず軽いアニメや動画を見る、好きな音楽を聴く、ラジオを聴く、または仲間とお喋りしながら、お気に入りの場所で作業する。(それぞれご自分に合う方法を捜しましょう)こんな感じです。うまくいけば脳はまんまと騙されて、「これはしんどいことではないのだ」と思ってくれます。ただ、集中していただけでは3~4時間すると疲れてしまっていた作業が、もっと時間をとっても、さほどこたえなくなってきます。

私の話で恐縮ですが、一番忙しい時は、1日に17時間…くらい机に座ってました。昼間はアシスタントさんとお喋りしたり、ラジオの内容に皆で突っ込みを入れたり、夜はマンガ描き仲間のチャットに入って緩やかに会話しながらずるずる作業をしていました。心身ともに健康に続けられたのはながら作業のおかげだと思っています。(現在の作業のお供はスマホで流すアニメです)

次はもう一つの観点ですが
私の師匠だった小池一夫先生は、「まず1日に1時間机に座るところからはじめなさい」と言われていました。これは我慢して1時間座って描きなさい。ということではないと思っています。1時間。というのはつまり、毎日マンガのための時間を作るところから始めなさいよ。ということです。マンガを好きで描く人にとっては1時間描くことくらい苦行でもなんでもないですからね

学生さん以上に、マンガを描きたいと思っておられる社会人の方などはこれが難しいのではと思います。日々、追われるお仕事、雑用、野暮用で疲れた上で、さあ、マンガを…と、始めるのはかなりのエネルギーが必要です。では、どうするのか。

まず、マンガを描きたい。という気持ちを確認するところからです。ああ、いつか描きたいなあ。と度々思いますか?ああ、今週も描けなかった。と後悔しますか?だったら、それ、絶対やった方がいいことです。こういうことを自己啓発分野の本でよく「第2領域」と表現しています

それをするための方法は数多くいろんな本で語られていますが、その中で私が試してみたことなどを次からご紹介していきたいと思います(続く)











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