こんにちは。鈴木貴之です。
これは、過去のある出来事についての話です。
「ホームベーカリー」を初めて販売し始めた人がいたのです。
ところが、大多数の顧客は全く興味を示さず、
「へ、家庭用パン焼き機?」、
「それって良いの?」、
「本当に家庭用パン焼き機が必要なの?隣にあるスタイリッシュなコーヒーメーカーの方が良さそうじゃない?」
などと話し、売り上げは全然伸びませんでした。
しかし、一つだけ変更を加えるだけで、そのホームベーカリーは急速に売れ始めました!
一体何をしたのでしょうか?
20%割引セールを行った?
販売スペースを移動した?
商品のメリットを広めるために大規模な広告を出した?
答えをお伝えしましょう。
実は、「商品のラインナップを増やした」のです。
「え?もともと売れていない商品を増やしただけで、なぜ売れたの?」と思うかもしれませんね。
その理由について詳しく説明しましょう。
実は、ただ商品を増やしただけではなく、既存のホームベーカリーに加えて、「より大きくて高価なモデル」を追加したのです。
価格は、元々のものの1.5倍でした。
それが結果として、新しい大型モデルではなく、もともと売っていた小型モデルが急速に売れ始めたのです。
これって不思議じゃないですか?
売れていない商品を増やすだけで、なぜ売れるのか、しかも、商品自体は全く変わっていない。
それなのに、大型モデルを新たに投入しただけで、小型モデルが売れ始めたのはなぜでしょうか?
実は、これには人間の脳の特性が関係しています。
人間の脳は比較を行いながら商品を購入している
人間の脳は、商品を購入する際、無意識に比較を行いながら決定しています。
そして、比較することで、物の価値を判断することができます。
逆に言うと、比較できないと価値を判断することはできません。
だから、今回のケースで言えば、最初はホームベーカリーが1つしかなかったので、比較することができませんでした。
それゆえに人々は、「良いのか悪いのか?」、「お得なのかそれともそうでないのか?」が判断できず、その商品の価値を評価できなかったのです。
しかし、高価なモデルを追加したことで、人々は比較を始めました。
そうすると、「うーん、大型と小型の違いは、自動具材投入機能か。この機能は特に必要ないから、小型の方を選ぶかな」というように、比較によって選びやすくなりました。
その結果、全く売れなかった小型モデルが急激に売れ始めたのです。
比較できる商品を自社にも導入しよう
このように比較の対象となる商品を「おとり商品」と呼ぶことがあります。
例えば、焼肉店での食べ放題メニューが3つに分けられているのを見たことはありませんか?
・食べ放題4980円コース
・食べ放題3980円コース
・食べ放題2980円コース
これらの3つのプライスポイントが用意されていると、人間の脳は中間のものを選びやすいことがわかっています。
これを松竹梅オファーといい、おとり商品のテクニックを用いた販売手法の一つで、「売上単価」を大きく上げるとされています。
このように、人間の脳の特性を巧みに利用することで、無意識に人々にあなたの商品やサービスを「欲しい」と思わせることができます。
そうすれば、積極的に売り込む必要なく、自然に商品が売れる状態を作り出すことができるかもしれません。
もしあなたが自社の商品が売れなくて困っているとしたら、一度一緒に壁打ちをしてみませんか?
思いもよらないアイデアが出てくるかもしれません。^^