人を以て言を廃せず

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コラム
人を以て言を廃せず
意味)つまらない人の発言であるからといって
   その内容さえ立派で正しいものであれば
   積極的に採用すべきであることをいう。

みなさま こんにちは
ゴールデンウィーク明けで
ヤル気のなさ満開でお仕事やってますか?
私は ヤル気どころか
体の芯から ダルさMAXでお仕事してます

今回の「ひとりごと」は
少々 重めかも知れませんが
この時期になると思い出す出来事があるので
書き殴って行きます

ひと昔」と言っていい程昔の話ですが・・・

中学3年の初夏
近所の駐輪場に置いていた自転車が
忽然と姿を消した時の話

その自転車は 中学3年に上がったお祝いに
祖父から買ってもらった
私の好きなピンクで 
タイヤ、ホイールまでも
可愛くコーティングしてあるもの

その為 結構なお値段だったので
それはそれは大事に
鍵も2重、その上チェーンも付ける程に!
かなり厳重に・・・

のはずが
突如として いなくなってしまったのです

進級のお祝いで貰った物が
5月に無くなる・・・
もう 一大事です

速攻 祖父に連絡する私
半べその私の声に 
慌てて駐輪場に来る祖父
一部始終を説明する私
ずっと慰めてくれる祖父
申し訳ない気持ちと
悔しい気持ちと
怒りの気持ち・・・・

その後 落ち着いた私を車に乗せ
交番へと向かう祖父

交番に到着し
次は当直のおまわりさんへ説明開始
盗難届の書類に記入しながら
説明を聞くおまわりさん
歳の頃は 30代後半かなぁ?
中学の私からすれば「おっさん」でしたが・・・

説明中 また悔しくなり半べその私を
なだめる様に 優しく会話してくれて
自転車の細かい特徴も記載してくれて
こんなに目立つなら見つかるよ!」と
何度も何度も 言ってくれて
(実際 盗難自転車の見つかる確率は50%らしいです)
だんだん私も落ち着いて 会話が出来る状態に

今思い返せば・・・
感情の起伏が激しい状態の中学生を相手に
かなり優しく 
目線を合わせて話してくれた人だったなぁ

そんなこんなで最後に書類を確認する事に
そこで 私は発見したんです
いや、発見しても
黙ってればよかったのかもしれませんが
つい言っちゃったんですよ
「「」の時が違う!」と・・・

おまわりさんにしては・・・
それは偏見か?
字がすごく綺麗で丁寧な書類だったので
余計に目立ってたんですよ!
ホントに細かい事なんですけど
」が・・・

みなさんは知ってましたか?
」と言う字の 上部
」この部分

」では無いんですよ
」なんですよ
離れてるんですよ

ちゃんと成り立ちもあって
」で「」切り分ける
って事で「」なんですよ

会意文字」って言う種類で
名は体を現すじゃないけども
別々の漢字の組み合わせで 
意味に伴った 漢字を作ってる文字なんです

まぁ、自分でも細かいなぁ~と思いますよ
でも 気になっちゃったんですよねぇ
だって もったいないじゃない!
綺麗に仕上げてある書類なのに
漢字の間違い!

それを伝えた途端 おまわりさんは
え?それホント?
「「」じゃない? ホントに「」?」
速攻辞書を手に取り 調べ出す

おお!ホントだ!だ!
冥途の土産に 1つ勉強したなぁ!
かなり上機嫌で 中学生に合わせてくれ
私の指摘にも嫌な顔1つせず
むしろ大笑いしながら
」を1つづつ丁寧に直していく

そんなこんなで
夜の7時に交番に着き
色々 話をして帰る頃には 夜10時

おまわりさんは終始 優しく
常に笑顔で接してくれた
遅くまで引き留めて ごめんね」と
外まで見送ってくれた

祖父も「イイおまわりさんでよかったね」と
盗難届を出した安心感もあったのか
私も笑顔で帰宅した

後日 朝一で家の電話が鳴る
祖父が電話に出て何やら話してる
電話を切ったと思ったら
花!昨日の交番に行くから準備して!」と
ちょっと慌て気味?

交番までの車内で 
自転車見つかったの?」と言う私に
おまわりさんが 亡くなったらしい」と祖父

は?え?
いつ?昨日元気だったのに??
私は少しパニック!

交番に到着
おまわりさんが数人・・・
こんな田舎の交番には似付かわしくない人数

そのうちの2人のおまわりさんに迎えられる
〇〇(苗字)さんですか?
おまわりさんからの質問に

はい この子が昨日 自転車の盗難届を出した花で
 私は付き添いで来てた 祖父です
的な返答する祖父

交番の中には入れないらしく
駐車場での質問応答
盗難届の書類を見せられて
この盗難届 あなたので間違いない?
何時ごろ来て何時ごろ帰ったか覚えてる?
この交番に最後に来たのがあなただから
 ちょっと質問させてね
そんな感じの事を言われた気がします

色々と質問されて 素直に答える
そうこうしてると
わざわざ来てくれてありがとうね
亡くなる前に あなたの盗難届を
 ちゃんと登録してくれてたから 
 見つかったら連絡あるからね

それを聞いた途端に
目のダムが決壊した

細かい詳細は知らないが
噂では 
夜11時前に盗難届登録し
その後 病気を苦に拳銃で自ら・・・・
まぁ、あくまでも噂なので
ホントの事かはわからないが・・・

他人とはいえ
昨日まで元気に対話してた人が
今日はもう居ない
それどころか
冥途の土産」と言ってた彼に
気付いて無かった

いや・・・
そのセリフは聞いていた
確かに 私の記憶には残ってる
なのになぜ 
私は なにも反応しなかったんだろうか

私が もっと大人だったら反応出来ただろうか
私が もっと気が利く人間だったら 
   違う未来があっただろうか

人の最後に立ち会う
立ち会うと言うには ちょっと違うが
子供ながらに 後悔の念が生まれた

祖父は なぜか怒ってた
中学生の子供の相手した日に!
子供が質問責めされる事を考えろ!
そんな感じの事を言ってた気がする

祖父は私の事を思って
怒りを捻出してたんだろうけど
私は 悲しくて仕方なかった

彼は人生の最後に
私の為に盗難届を出してくれた
彼は人生の最後に
私の様な子供の指摘にも
笑顔で対応してくれた

私たちが交番に行った時間は
彼にとって辛い時間だったかもしれない
彼は思い悩んでたかもしれない

そんな時に
彼は おまわりさんとして
任務を遂行し
私たちを笑顔にしてくれた

もちろん 彼の行為は
褒められる事では無い
家族や職場 身内からすると
迷惑極まりないだろうし
責任感が無いなどと取られるかもしれない

でも、少なくとも私は
とても感謝してるし
とても敬意を払える

自転車は行方不明のままだが・・・

そして今の私なら
冥途の土産」の対応が出来る

せめて自転車見つかるまで 生きててよ」と!

自転車は多分一生見つからないと思うから





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