家族信託を利用する際の費用

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家族信託は、認知症などの判断能力が著しく低下した時の財産凍結に効果を発揮します。
そこで、気になる費用について、書きたいと思います。
家族信託を利用する際の費用は、
大きく分けて
契約書の作成費用とコンサルティング費用の二つになります。
内訳は、
①契約に関する費用
・契約書の作成費用
・公正証書の作成の費用
②登記に関する費用
・登記代行手数料(司法書士)
・登録免許税
③その他の費用
・信託監督人に支払う費用
・契約に変更が生じた場合の費用
などです。
家族信託を利用する際には、信託契約の内容をまとめた契約書が必要です。
この契約書の作成費用は、多くの場合で信託財産の評価額によって決定されます。
司法書士さんによって差異がありますが、おおよそ信託財産の評価額に対して、
0.3%~1%程度が信託契約書の作成費用としての目安となります。
まずは、信託する財産の把握が必要となりますので、事前に確認しておきます。
家族信託では、管理運用を委託する対象となる財産のことを信託財産と言います。
代表的な信託財産は、実家や収益不動産、駐車場などの不動産と現金です。
信託財産の評価額の算定方法不動産の場合、信託財産の評価額は市場価格ではなく、
固定資産税を算出する際の基準となる固定資産税評価額が用いられるので注意が必要です。
固定資産税評価額は、土地が市場価格のおよそ6割~7割、新築の家屋の場合は建築費のおよそ5割~7割となります。
契約書の作成費用は、信託財産の評価額(固定資産税評価額)で変わります。
事前に固定資産税の納税通知書に記載のある固定資産税評価額を確認して
概算金額を確認しておきましょう。
現金の場合は額面金額がそのまま評価額となります。
次に公正証書に関する費用です。
公正証書を作成する際には、契約書に記載された財産価格に応じて手数料が必要となります。
日本公証人連合会
法律行為に関する証書作成の基本手数料
目的の価額 手数料
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1000万円以下 17000円
1000万円を超え3000万円以下 23000円
3000万円を超え5000万円以下 29000円
5000万円を超え1億円以下 43000円
1億円を超え3億円以下 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額
※不動産を信託財産にした場合の財産価額は、実勢価格ではなく固定資産税評価額が用いられます。
次に、登記に関する費用ですが、
不動産の信託登記を入れるに司法書士に支払う費用は、所有権移転登記ならびに信託登記で1件あたりおおむね5万円~10万円程度です。
さらに、委託者や受託者、受益者の氏名、住所、信託の目的などを記した信託目録登記で10万円程度の費用がかかります。
なお、信託財産として登記する不動産の数が多ければ、それだけ費用も大きくなります。
信託の登記をすると登録免許税が課税されます。土地と家屋にかかる登録免許税は以下の通りです。
土地 固定資産税評価額の0.3%家屋 固定資産税評価額の0.4%
その他、信託監督人を置く場合の信託監督人に支払う費用は、
管理運営を委託された財産から得られる利益を受け取る受益者が、未成年者であった場合や、高齢により判断能力が低下した場合に、信託事務がきちんと行われているかどうかを受益者が判断することは困難ですので、そんな時、受益者に代わって受託者を監督する者を「信託監督人」といいます。
信託監督人を司法書士さんや弁護士さんに依頼した場合、毎月数万円の費用が必要になります。
必ずしも、信託監督人が必要というわけではありません。
それ以外の費用は、司法書士さんなどに支払うコンサルタント料ですが、
そのコンサルティング費用は家族信託を利用するにあたって、相談者の資産背景やご希望をヒアリングしたうえで、最適な契約内容を提案するために支払われる報酬です。
別途、費用が掛かるケースもあれば、信託契約書の作成費用に含められるケースもあるので、事前に確認しておきましょう。
ここまで、いくつかの項目に分けて説明してきましたが、
では、トータルで、おおよそいくらになるのでしょうか?
当然、信託される財産の規模により、金額は変わるのですが、
一般的なケースでいえば、60万円から100万円くらいではないでしょうか。
このように、家族信託の利用費用は遺言や成年後見制度に比べると、
初期費用が高くなります。
しかし、家族信託の利用効果を考えれば、決して高すぎる金額ではありません。
たとえば、一般的な法定後見制度では利用の際の初期費用はほとんどかかりませんが、毎月数万円のランニングコストが必要になります。
認知症の介護期間は6~7年程度といわれていますので、トータルコストで比較すると、
家族信託のほうが安くなることも。
また法定後見制度の目的は、被後見人の財産の保全が目的となるので、積極的な財産の管理運用は困難で、実家を売却する際にも家庭裁判所の許可が必要です。
費用だけで判断するのではなく、ランニングコストや制度の使い勝手を十分考慮したうえで、家族信託の利用を検討しましょう。
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