ヘミシンクとは左右の耳からちょっとだけ周波数の違う音を聞かせて、脳波を調整するものです。
弦楽器の弦の張りを調整するときに、2本の弦で同じ音を出すようにして調整します。
その時に、音がずれていると音のうなりが生じます。
それで、左右の音をそのまま合成するとどうなるのかというと、
2つの音の平均周波数を2つの音の周波数の差で振幅変調したものになります。※
※(y = 2 sin 2πft ×cos2πf't ただし f=(f1 + f2)/2, f' =( f1 - f2 )/2 )
振幅の変化の周波数は(f1-f2)/2で元の周波数の差の半分になりますが、半周期ごとに正と負になりますから音として耳で聞いた場合などは倍の周波数|f1-f2|で唸っているように聞こえることになります。
そのため、2つの音の平均周波数 f の高さの音がゆっくりと大きくなったり小さくなったりするように聴こえます。
例えば、1000Hzと1004Hzの音を合成すると、4Hzのうなりが生じます。
うんうん、うなりが生じるわけね。だから脳波も4Hzになるのね。と思った方、そんな単純な仕組みではありません。
それなら、もともと左右の耳に、うなりのあるモノラルの音を聞かせればよいではないですか。ちょっと続きを読んでください。
振幅変調の代表はラジオに使われるAMです。
※AMでは、詳しくは以下のように書けます。
C(t)=Ac・cos(ωct+θc) Acを信号S(t)に応じて変化させる
Ac(t)=A[1+ks(t)] ただし A、kは定数である。
ラジオで流れる音声は、搬送波と呼ばれる電波の帯域にシフトします。
音声の周波数は20Hz~20KHzくらいです。
このままでは電波で飛ばすことはできません。
東京でのNHKの(搬送波の)周波数は600KHzくらいですから、音声の周波数が600KHzくらいにシフトするということです。
これによって電波で飛ばすことができます。
すると、1000Hzと1004Hzの音が合わさると、1002Hz付近の音は生じますが、うねりに相当する4Hzの音は実は実在しません。(なお、厳密に言うと、うねりの場合は、上の図で、搬送波が存在しないタイプになります。)
単純に、脳内で、ステレオの音がモノラル化されるとすると4Hzの音は生じないということです。
でも、右耳から1000Hz、左耳から1004Hzの音を聞かせると、脳内で、存在しない4Hzの周波数が合成されるらしいです。
これがヘミシンクの原理です。
人間の脳は不思議ですね。
コウモリが音で、距離を探知するように、左右の耳の位相差を認識する機能が人間にもあるのかもしれません。
自然界では、移動する物体に対してはドップラー効果で周波数がずれます。
つまり、右耳と左耳で聞いている音の周波数が多少ずれていることがあるということです。
それを織り込んで、多少の周波数のずれは、ひとまず同じ音と認識して、その代わりに位相差(=音源が右側にあるか、左側にあるか)として認識してしまうのではないかと思っています。
左右の音で周波数が若干地違うと、どんどん位相がずれていって、音源が右から左に移動しているように聞こえるのではないでしょうか。そしてこの右から左に動くのを感じて、脳内で、右耳と、左耳の差分の周波数の脳波が生まれるのではないかと思っています。
youtubeでヘミシンク音源を見つけました。