あれが子供のころでよかったと思う。あのころは寂しい会いたいという感情だけで、それを意味のある思考としてまとめることができなかった。だからまだマシだったのだ。あのころの寂しさや悲しさ惨めさを、しっかりとした言葉で組み立ててお城を建ててしまったら、わたしはそこに閉じこもってぬけだせなくなったかもしれない。 (「流浪の月」 凪良ゆう 著 より)