WordPressとJoomla!の違い(建築と建設)

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IT・テクノロジー

自分のHPに上げた記事ですが、Coconalaブログでは外部リンク不可のため、
こちらでも上げてみました。加筆しています。

この記事の趣旨

Coconalaのお客様には色々なアイデアをお持ちで、スタートアップ企業立ち上げを検討されている方も多いと思います。
しかしながら、WEBサービスとなるとコスト面で断念するケースが殆ど。
成功事例を見ると、IT系の人間が立ち上げるものばかりですよね。

記事やサービス紹介のコンテンツのみであれば、WordPressや各種クラウドHP作成サービスで全然足ります。
ただ、ちょっとした会員機能や決済、予約システムなど事業目的の機能を持たせたり、メニュー毎に全く異なるタイプのページにしたいといった場合、一気にハードルが上がります。

建物を建てるといっても色々ありますよね。
建て売りの平均的な家、デザイナーが手掛けた凝った家、雑居ビルから高層ビル、多目的ホールとか。
家やビルに例えると、自分の好みに合った家は建てられるけど、事業用のテナントや自社ビルなんてちょっと無理。。。みたいな状況です。
そんな観点からWordPressとJoomla!の違いを書いています。

WEBサイトの種別

WEBにもいろいろあります。
ブログ、コーポレートサイトのようなシンプルなもの、商品のLP、アーティストの凝ったプロフサイト、
会員制サイト、ECサイト、SNS、WEBベースの経理システムなんかもあります。
自分の手掛けているような、コーポレートサイト+多数テナントサイトみたいな複合体も存在してます。建築、建設の関係と似てますね。

WordPressとJoomla!のWEB全体におけるシェア

WEBサイト構築ツールのシェアは、WordPressがダントツで今年の3月1日時点で40.4%です。
Joomla!は2.1%となっています。2014年頃から3.4%台まで上がりましたが、その後2%台強に落ち着いています。
(2021年1月 Q-Success調べ)

WEBサイトの目的とツール

WordPressは日本語での情報も豊富で、”同じような目的を持った人が”利用しやすいです。
この”同じような目的”という点でWordPressとJoomla!の違いを書いてみようと思います。

WordPress≒建築

WordPressには多様なページ編集機能が標準で備わっています。
直感的な操作で編集可能です。各社が手掛けるテーマも豊富にあり、単純なサイトなら1日あれば立ち上がります。
シンプルなブログやコーポレートサイト制作は家づくり=建築の様相です。とても面白い家も作れます。
ただ、ちょっと建て増しをしたいとか、ページ(部屋)ごとにがらっと中身を変えたい、でも各部屋に共通のパーツを置きたいなんていう場合はどうでしょう。WordPress既存のテーマにある機能の範囲内での対応に限定され、子テーマを編集するにしても、hook内にコードを書いたり、テンプレートの編集(PHP、CSSやJavascript)が必要になってきます。
10年以上実務でWordPressとJoomla!を使用してますが、コンテンツの種別を追加する際にWordPressでPHPの編集が常に発生するのに対して、Joomla!ではほぼありません。
勿論WordPressでECサイトを構築するプラグインもあります。
ただし単独店舗で、楽天のような複数テナントが独立して決済するようなサイトを作る場合は、WordPressの上でカスタマイズするというよりは、WordPress+PHPフレームワークみたいな構造になるかと思います。

Joomla!≒建設

さて、ビル=建設の場合はどうでしょうか。
オフィスビルなんかは、外から見ると割とシンプルですよね。
ただし、各フロアの中は千差万別です。
各フロア共通の設備がありつつ、見た目やレイアウト、機能は各フロアどころか各テナントで自由に変更されています。場合によっては特定の目的に対応したホールとか、お役所、電波塔みたいなものもありますね。

そういった建設で発生するような、共通設備とカスタマイズ、大規模な独自建設物みたいな発想に柔軟に対応できるのがJoomla!です。

また、「予約サイトが作りたい!」みたいな要望に対して、開発技術の高い会社が有償で提供するエクステンション(拡張機能)をインストール&設定するだけで即対応可能なサービス提供の土壌があります。

Joomla!建設には、「オペラ向けのコンサートホールが作りたい」「IKEAみたいな店が作りたい」「大規模商業施設を各地に作りたい」といった要望に対して、対応できる建設会社が多数存在してるというようなものです。

複数テナントに対応したECサイト、ホテル予約システム、CRMシステム、REDMINE(プロジェクト管理)の拡張版などというようなサイトを作るベースが用意されています。

Joomla!でのサイト構築の例
Joomla!で実現できるサイトの例は以前記事で少し紹介しましたので、そちらをご覧ください。


マルチサイト

WordPressが標準で提供している機能の大きな特徴ですね。
1つのWrodPressで複数のサイトが作れて便利です。
ただ、各マルチサイトを統合するための機能が不足しています。
10個のブログサイトを作って、それらサイト全体の記事についてのランキングを表示したり、とあるブログの記事をピックアップして表示したいといったことをするにはPHPで独自実装する必要が出てきます。

Joomla!の拡張機能にはマルチサイト対応させるためのもの(コンポーネント)も用意されてますが、基本的に標準機能だけで事足ります。各メニューごとにテンプレート(WPで言うテーマ)を変えられ、各ブロックについて共通部分とカスタマイズ部分を分けることも容易です。

また、Joomla!では各サイトの管理者向けページを、標準の管理画面ではなく、サイト側に簡単に作ることが可能です。
いわゆるマイページ的なものですね。勿論各ユーザーの権限(契約タイプとか)に応じて、表示させるメニューも変えられます。

比較のまとめ

WordPressとJoomla!は得意分野が異なるということが伝わったでしょうか。
Joomla!の全体的なシェアは2%少々ですが、上記のような規模の大きな要望に対するシェアでいうと、結構な割合を占めていると思います。
冒頭の数字の「世界WEBサイトでのWordPressとJoomla!の割合」は、
「世界における一般住居とビルの割合」みたいな感じですね。
WordPressを使えば何でもできるという印象は、部分的には正解です。
色んな家が建てられます。ただし、ビルを建てるのは難しいです。

WordPress案件での課題

具体的には別途開発視点での記事を書こうと思います。
WordPressを使っての構築案件は多いと思いますが、お客様から何でそんなにコストが高いのかと問われた場合、こういった観点での説明をしてみるのが良いと思います。

場合によってはコア部分はPHPフレームワークかフルスクラッチで開発し、記事部分だけWordPressにするというような、サイトの構造設計の見直しも必要になります。

どこまでWordPressのプラグインで対応するのか、その後のカスタマイズのしやすさはどうかといった点も重要になります。
運用フェーズになって、お客様から相応の保守費用がいただけないといったトラブル回避のためには、初期の段階で運用フェーズの設計を十分加味する必要があります。

それではまた。
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