フリー台本・男性1人、女性2人の作品

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女性2人と男性1名、計3名で使えるフリー台本です。
話の中で『優しく話す』『焦る』『嘘のような出来事に驚く』といった感情を表現する物語をおこないたい人向けです。
内容には『名前』が入っていませんが、名前を入れたほうが良いと思ったセリフがあれば、ご自由に改変してご活用ください。

利用時の注意点

再配布や作者を名乗る行為は禁止しています。
音声や効果音付け、セリフの改変はOKとします。
ご使用の際は、本作のリンクと作者(六角 橙)を記していただけますと幸いです。
また、ブログへのコメントもお待ちしております。


あらすじ

主人公(男)とその婚約者は、結婚前夜に主人公の父親から「実はお前たちは兄妹なんだ」と知らされ、証拠として戸籍を示した書類を提示される。二人は婚約者の祖母の部屋へ逃げ込み話し合うことにする。しかしそこには婚約者の母親がいて、祖母が隠した「二人の出生届」をひそかに婚約者に託そうとしていた。主人公の父親に二人は証拠を突きつけ、これからも共に生きていくことを誓いあう。

登場人物

:父親に突然、結婚相手と兄妹と打ち明けられて動揺している
:役所に勤めており、彼の父が示した書類が正式なものであることを理解している
母親:女の母親、二人のために祖母の隠した出生届を持ち出すところだった


本文

男:(息を切らしながら)なあ、他に誰もついてきてないよな?
女:(息を切らしながら)う、うん。待って、鍵をかけるから
男:ありがとう……ここって
女:私のおばあちゃんの部屋。おばあちゃんが、私に鍵を託したの
男:そうなんだ……でもおばあちゃんの部屋なら、家族も鍵を
女:持ってないの。だから、安心して
男:わかった、君を信じるよ
女:ねえ……その、貴方のお父さんの話、本当に信じるの?
男:それは……その
女:私は、信じていない。ううん、信じたくないの
男:俺も同じだよ。でもさ、俺にとっては実の父親から聞いたことなんだよ。嘘だってすぐに決めつけるなんて、できないんだ……どんなに嘘っぽい話でも
女:分かるよ。でもさ、嘘っぽい話じゃなくて、嘘だって思える話でしょ! 私たちがさ、幼馴染みじゃなくてさ、血がつながってる兄妹だなんて!
男:あの書類、本物だったよね
女:…………うん、ムカつくけどね。それにさ、私がよく知ってるって分かってるでしょ?
男:うん。役所でやってる仕事の一つだもんね
女:そう! でもさ、だったらもっと早く言えばいいじゃない! 結婚式の前日まで黙ってる必要ある!?
男:そうだよな……あれ?
女:どうしたの
男:今、奥のほうで何か、動いた気がして
女:まさか。ここ、滅多に人が来ないし……って、お母さん!?
母:ごめんなさい……明日、結婚式でしょう? おばあちゃんが貴女が結婚する時に渡したいって言っていたものを、取りに入っていたの
女:話、全部、聞いちゃったよね?
母:ええ。その、ね
女:う、嘘でしょ? ねえ、嘘だよね。私と彼が、兄妹なんて
母:もちろんよ、兄妹ではないわ。……見て。これが、おばあちゃんがあなたに結婚式のときに渡そうとしていたものよ
女:これは……私の出生届? どうして彼のものも一緒にあるの? 確かに出生届なら、両親が誰かちゃんと書いてあるけど
母:実はね、おばあちゃんがおじいちゃんと結婚するとき、同じ嘘をおじいちゃんのお父さんから言われたそうなの
女:ええっ? その、彼と私が兄妹って嘘?
母:ええ。なんでもその当時、このあたりでは珍しかった恋愛経験だったから、二人の気持ちの強さを確かめるための嘘だったみたいなんだけど……二人はとても悩んで、本当に結婚式を延期しちゃったのよ
男:それは、大変だったでしょう
母:その通り。お金はかかるわ、出席者にお詫びを入れるわでもう大騒動よ。だけど、嘘をついた張本人は一言も謝らなかったんですって!
女:最悪……あれ、まって? そんな大変なことになったなら、なんで彼のお父さんは同じようなことを言ったの?
母:この話が、男性たちの間では武勇伝みたいに広まっているのよ。実際、娘が結婚を考え直してくれるなら、って思って実践する人がちらほらいて。だから、娘ができたらみんなで協力して、出生届をコピーして保存しているの。彼の出生届は彼のお母さんから、貴方たちが結婚を報告した時から預かっているのよ。どちらの家に逃げ込んでもいいようにね。
男:(ため息をつく)自分の父親だけどさ、何ていうか……呆れるよ
女:ねぇ、もしかして……先に結婚した人がどんどん地元から離れているのって
母:間違いなく、この悪習のせいね……だってショックすぎる嘘でしょ? はい、これ見せてさ、何考えてやったのか、とことん聞いてくるといいわ。今頃後悔しているでしょうけどね
男:あー……うちの母さん、めちゃくちゃ怒ってそうだな
女:人騒がせが過ぎるわね……ねえ、あなたは娘が生まれてもしないでよ?
男:もちろん。でも……うーん、一応出生届はコピーしといてくれよ、怖いよ俺
女:ちょっとー、自信持ちなさいよ
母:大丈夫よ、うちの人なんて「絶対そんなことしない!」と言ってこのざまだったから。むしろ、それくらい慎重でいいじゃない。二人とも仲良くね
女:うん……お母さん、明日の式、きっちりやるからね
母:ええ、楽しみにしているわ
男:よし、じゃあうちの親父に突きつけてくるか
女:うん。いこう


お読みいただきありがとうございました。
上記のような内容も含め、1文字1円~より小説を承っております。
よろしくお願いいたします。



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