【機胡録(水滸伝+α)制作メモ 004】公孫勝

記事
コラム
※補足1:生成画像は全てDALL-E(Ver.4o)を利用している。
※補足2:メモ情報は百度百科及び中国の関連文献等を整理したものである。
※補足3:主要な固有名詞は日本訓読みと中国拼音を各箇所に当てている。

-------------------------
『水滸伝(水滸伝/shuǐ hǔ zhuàn)』の概要とあらすじ:中国の明王朝の時代に編纂された、宋王朝の時代を題材とした歴史エンターテイメント物語。政治腐敗によって疲弊した社会の中で、様々な才能・良識・美徳を有する英傑たちが数奇な運命に導かれながら続々と梁山泊(りょうざんぱく/liáng shān bó:山東省西部)に結集。この集団が各地の勢力と対峙しながら、やがて宋江(そうこう/sòng jiāng)を指導者とした108名の頭目を主軸とする数万人規模の勢力へと成長。宋王朝との衝突後に招安(しょうあん/zhāo ān:罪の帳消しと王朝軍への帰属)を受けた後、国内の反乱分子や国外の異民族の制圧に繰り出す。『水滸伝』は一種の悲劇性を帯びた物語として幕を閉じる。物語が爆発的な人気を博した事から、別の作者による様々な続編も製作された。例えば、『水滸後伝(すいここうでん/shuǐ hǔ hòu zhuàn)』は梁山泊軍の生存者に焦点を当てた快刀乱麻の活劇を、『蕩寇志(とうこうし/dàng kòu zhì)』は朝廷側に焦点を当てた梁山泊軍壊滅の悲劇を描いた。
-------------------------

公孫勝(こうそんしょう/gōng sūn shèng)
water_004b.jpg

<三元論に基づく個性判定>
19番  **強い生存欲求**、**とても強い知的欲求**、**弱い存在欲求** - **「理論派の探求者」** - 理論的な思考を重視し、独自の研究を深めていくことに専念する。

<概要>
公孫勝(こうそんしょう/gōng sūn shèng)、あだ名は「入雲龍(にゅううんりゅう/rù yún lóng)」、道号は「一清(いっせい/yī qīng)」、出身は蓟州(けいしゅう/jì zhōu)」。幼い頃から槍棒を好んで習い、二仙山で"紫虚観"と評される羅真人(らしんがん/luó zhēn rén)に従事した後は道術を本格的に修めた。これにより彼は梁山泊勢力の加入前段階において、風雨を呼び、雲を駆ける術を扱えるようになっている。家には老母がひとりいたが、彼は長年雲遊を続けていた。晁盖(ちょうがい/cháo gài)と出会った後は呉用(ごよう/wú yòng)らと七人と義兄弟の契りを結び、共に生辰綱(北京大名府が民から巻き上げた不義の賄賂)の強奪計画を成功に導く。その後、晁蓋らと共に梁山泊勢力へ加入。梁山泊勢力が拡大する中で、老母に会いに故郷に戻って一時的に離脱。高唐州における戦いが行われている最中、戴宗(たいそう/dài zōng)に請われる形で梁山泊勢力に復帰。梁山泊の大集結時には第四位の序列を有し、奇抜な術を操る道士として機密軍師を務めた。最終的には方臘(ほうろう/fāng là)の征伐前に蓟州(けいしゅう/jì zhōu)戻る事を決意し、その後は生涯に渡って道術を究めた。

<外見>
身長八尺、道貌堂堂、威風凛凛、奇妙な風貌をしている。……晁盖(ちょうがい/cháo gài)が彼を見た時、頭には二つの鬅松(péngsōng:ばらばらに乱れた様子)の双丫髻(二つにまとめたまげ)、……八字眉に一対の杏子眼、四方口に落腮髭(もじゃもじゃひげ)があった。

<原型>
- 歴史上の宋江(そうこう/sòng jiāng)の反乱の三十六名は、その多くが名前の記載がない。公孫勝(こうそんしょう/gōng sūn shèng)もまた同様であり、その原型となる人物は宋元時代の『大宋宣和遺事』に初めて登場する。この書は『水滸伝』の元となるものであるが、公孫勝(こうそんしょう/gōng sūn shèng)の事跡については独自の描写がなく、とても不明瞭。また『宋江三十六人讃』(『水滸伝』の別の元本)や元雑劇の水滸戯にも公孫勝の名前はない。明代の李開先の『宝剣記』では、彼は世俗の軍官であり、参軍の官に任じられるという場面が描かれている。

- 研究者の中には、『水滸伝』の公孫勝(こうそんしょう/gōng sūn shèng)の形象は小説創作の最終段階(明代嘉靖年間)になって初めて定型化され、それ以前の水滸のバージョンでは『宝剣記』のように世俗の軍官であった可能性があるという。彼が道士の身分を持って梁山泊勢力で第四位という高位に位置する事は、嘉靖年間の道教が社会の中でその地位を向上させていた潮流と関係があるとされている。

- また、彼の形象は『三国演義』の諸葛亮の形象を融合させたものである。(『水滸伝』には『三国演義』の人気プロットを引用した形跡が多数見受けられる。)諸葛亮が風雨を呼び、豆を撒いて兵を成す能力を、この公孫勝(こうそんしょう/gōng sūn shèng)が受け継いでいるとする見解もある。『水滸伝』における軍師と言えば呉用(ごよう/wú yòng)であるが、諸葛亮のような仙道的な色彩はなく、極めて現実的で飄逸(世間離れして奇抜な様子)の気は見受けられない。その部分を公孫勝(こうそんしょう/gōng sūn shèng)が担っている。梁山泊勢力が拡大する鍵となる呉用(ごよう/wú yòng)と公孫勝(こうそんしょう/gōng sūn shèng)は、「二人で一人の諸葛亮」になるという見方がある。

<人物の評価>
- 余象斗:彼は師(羅真人)と母への情が非常に厚く、それゆえに宋江を崇拝していても彼らを捨てる事が出来ないと考える。

金聖嘆:彼は中上の人物であり、備員のひとりに過ぎない。古には諸葛亮が風を借りる術を繰り出したが、彼が風を借りる描写はより奇妙なものだ。

王望如:彼が劉唐(りゅうとう/liú táng)と強奪の計画について話し合っている時、不義の財(生辰綱)を取るのは益もないし害もないと言う。強官が民から劫掠し、強盗が官から劫掠(ごうりゃく:脅かして掠め取る事)する。これはただ不義の金が右から左へ流れだだけで、不義に対して適切に報いを与えていると言えるのか疑問である。

陳忱:師に忠義を、母に忠孝を強く感じているはずの彼が、なぜ生辰綱の劫掠計画を首謀したのだろうか。のちに彼は梁山泊勢力に戻る際、師と母にお伺いを立てている。その際の彼の姿を見ると、劫掠計画について師と母に意見を仰がなかったのは不思議である。その時はまだ若く、その後に少し歳を取って徳が身に付いたという事だろうか。

<多彩な結末>
- 百回本続編、陳忱による『水滸後伝』では、公孫勝は紫虚宮の後に庵を築いて隠居し、朱武と共に「炉火を修練し、内丹を参究」するとある。後に奸臣である童貫(どうかん/tóng guàn)に迫害され、再び飲馬川に落ちぶれる。その後は東南アジアに渡り、現地で新しい勢力を打ち立てていた李俊(りしゅん/lǐ jùn)に投奔(とうほん:身を寄せる事)する。最終的に、彼はその暹羅国(タイ/xiān luó guó)で秉一正教通真虚寂大国師となる。

- 70回本続編、俞万春の『蕩寇志』では、公孫勝は汶河渡で陳希真と術の戦いを繰り広げるも、真武訣で鎮圧され、それ以来「五雷天心正法(雷を繰り出す術)」を発動できなくなってしまう。その後、三関を守る際に再び陳希真に翻弄され、乾元鏡で魂魄を捕られた後、静室で身動きが取れなくなる。最終的に范成龍に捕らえられ、京城に押送された後に凌遅(りょうち:非常に残虐な死刑)に処された。

- 程善之の『残水滸』では、彼は北方の戦乱を聞くも、家中の老母の安危を心配し、術を学ぶ樊瑞(はんずい/fán ruì)と共に荊州に帰還。そのまま戻らなかった。姜鴻飛の『水滸中伝』では、彼は宋江(そうこう/sòng jiāng)と共に方臘(ほうろう/fāng là)の平定に尽力した。戦後、朱武(しゅぶ/zhū wǔ)と共に二仙山に戻って術を追究する生活に入った。

<三元論に基づく特殊技能>
DALL·E 2024-05-21 15.13.11 - A detailed line drawing of Gongsun Sheng, a character from 'Water Margin,' using his special skills. Gongsun Sheng is depicted as a wise and mysteriou.jpg
※イメージ画像

### 心術(xīn shù)
#### 幻影の風雷(幻影术)
公孫勝は、他人に風や雷のような幻覚を見せることができる。この技能を使うことで、敵を混乱させたり恐怖を植え付けたりすることが可能である。
- **効果**:
  - **道具性(薄い)**: この心術は、道具に依存せず、主に公孫勝の精神力と集中力によって発動される。
  - **思考性(とても濃い)**: 公孫勝は、詳細な幻覚を作り出すために高い集中力とイメージ力を必要とする。この心術は、敵の注意をそらし、戦局を有利に進めるために使われる。
  - **関係性(中程度)**: 幻影は個々の敵に直接影響を与えるが、集団に対する心理的な影響も持つ。

#### 能力解析(分析术)
公孫勝は、相手が持っている特殊能力を分析し、その本質と弱点を見抜くことができる。この技能は、戦術的な優位性を得るために使用される。

- **効果**:
  - **道具性(なし)**: この心術は、純粋に公孫勝の観察力と洞察力に依存する。
  - **思考性(とても濃い)**: 高度な分析力と知識が求められるため、心術の中でも特に高い知的要求がある。
  - **関係性(中程度)**: 個々の敵の能力を解析するが、その情報をチーム全体に伝えることで、全体の戦術を向上させることができる。

※編集協力:彩文華
※画像:DALL-E
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す