個性判定システムと『械胡録(水滸伝+水滸後伝+蕩寇志)』

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コラム
私:2011年製作の中国のドラマシリーズ『水浒传(邦題:水滸伝 All Men Are Brothers)』を簡単に紹介してくれる?

ChatGPT:『水滸伝 All Men Are Brothers』は2011年に製作された中国のテレビドラマで、中国の四大奇書の一つである古典文学『水滸伝』を基にしています。この物語は宋代に実在したかもしれない108人の好漢(義賊)たちが悪政に抗して起こした反乱を描いています。
このドラマは、特にその豪華なキャストと壮大なスケールで知られています。主要人物には梁山泊の好漢たちが登場し、彼らの英雄的な戦いや義に厚い生き様が描かれています。リーダー格の宋江や武芸に秀でた林冲、戦略家の吴用など、個性豊かなキャラクターが多数登場します。
物語は、社会の不正に対して立ち上がる好漢たちの義挙と冒険を追いながら、友情、裏切り、愛、そして正義といった普遍的なテーマを探求しています。視覚的にも魅力的なセットと衣装、迫力のあるアクションシーンが特徴で、中国だけでなく国際的にも高い評価を受けています。

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 ここ1ヶ月半、娯楽物語の最高峰作品のひとつである『水滸伝』に関連する書籍やドラマなどを鑑賞した。日本文化に根付いている『三国志演義』と同じ明王朝の時代に編纂された、宋王朝時代を題材にした架空の歴史ドラマ。(日本の江戸時代に爆発的なヒットをした際には、宋王朝を鎌倉幕府に、登場人物の大半を男性から女性に組み替えた日本版『傾城水滸伝』が生まれている。)作品発表は17世紀初頭だが、作品のオリジナルは民間で楽しまれていた講談(紙芝居のような娯楽)は15世紀頃にある程度の完成に至っていた。
 前回の記事で『ハリー・ポッター』シリーズの「組み分け帽子」を想起する、「人間の本性を本能の欲求程度に基づいて自動的に判定する実用的な論理学(言うなれば「個性判定システム」)」について言及した。個性と才能と人情に溢れる英傑108人を筆頭に、あらゆる登場人物が咲き乱れるこの『水滸伝』は、その「個性判定システム」の試運転を出来る非常に良い題材であると感じた。これまでも『水滸伝』のキャラクターの性格づけを数値化する試みはコーエー社のシミュレーション系コンピューターゲーム作品でも行われていた。今回、私はそれをより自身の三元論に基づいた体系的な思考実験として行ってみたいと考える。
 前回の記事で書いた通り、私は人間の本能を「生存欲求(食欲・休息欲・運動欲)」「知的欲求(道具欲、概念欲、方法欲)」「存在欲求(接触欲・承認欲・帰属欲)」に集約した。この組み合わせによって三大本能(生存欲求・知的欲求・存在欲求)の強弱の程度を自動判定し、その人物の個性を定めるのである。個性を定めれば、自然にその人物に対する言動の適正が生まれ、現実世界の場合は学業・仕事・趣味等の人生の選択に役立つ事になるし、架空世界の場合は登場人物の心理や行動、言葉遣いや態度などの描写や設定の際に役立つ事になる。

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<生存欲求の強度判定>
Q1:食欲はあるか。例えば、あれを食べたい、これを飲みたい、あれを味わいたいという気持ちがよく頭に浮かぶか。「そう思う」は1点、「そうでもないと思う」は0点。
Q2:休息欲はあるか。例えば、どこかの景勝地で休みたい、自宅でゆっくりしたい、ぐっすり寝たいといった気持ちがよく頭に浮かぶか。「そう思う」は1点、「そうでもないと思う」は0点。
Q3:運動欲はあるか。例えば、体を鍛えたい、あの街を散歩をしたい、あそこを走りたいといった気持ちがよく頭に浮かぶか。「そう思う」は1点、「そうでもないと思う」は0点。

※ここまでの生存欲求に関する三つの質問事項の数値結果を合算すると、0〜3点になる。これに基づいて、以下のように定義する。以降も同様。

3点…とても強い生存欲求
2点…強い生存欲求
1点…弱い生存欲求
0点…とても弱い生存欲求

<知的欲求の強度判定>
Q1:道具欲はあるか。例えば、新しい調理器具を使って新しい料理を作る、新しい電子機器によって新しい活動を行う、新しい工具を使って新しい物を作るなど、道具の使い方を学んで出来かった事を出来るようにする活動に興味があるか。「そう思う」は1点、「そうでもないと思う」は0点。(※これまでの記事では「技術欲」という表現をしていたが、より明確な定義を行う為に「道具」という言語を用いる事とした。)
Q2:概念欲はあるか。例えば、歴史を学んで自分なりに人物関係を整理する、語学を学んで自分の知らなかった言語と文化を会得する、時事の話題を学んで社会について思考するなど、思考(概念)を重ねて分からない知識を分かるようにする活動に興味があるか。「そう思う」は1点、「そうでもないと思う」は0点。
Q3:方法欲はあるか。例えば、手続きを調べて自分の事業に関わる助成金などを申請する、自分の予算に応じて商品やサービスを比較する、何らかの問題を特定の人脈を辿って訴えるなど、方法を用いて届かない希望を届くようにする活動に興味があるか。「そう思う」は1点、「そうでもないと思う」は0点。(※この方法欲は少しイメージしにくい質問かもしれない。方法欲は人間が集団や自然環境の中で自分の希望を押し通す為に方法を見つけようとする本能を意味している。「どのような道具や概念があれば、自分の希望が叶うだろうか?」という道筋を立てようとする欲求であり、簡単に言えば「問題解決の欲求」だ。問題があった時にひとまず脇に置いてしばらく放置する人は0点、問題があると真っ先にその解決の為に動くような人は1点、と考えても良いだろう。)

3点…とても強い知的欲求
2点…強い知的欲求
1点…弱い知的欲求
0点…とても弱い知的欲求

<存在欲求の強度判定>
Q1:接触欲はあるか。例えば、動物や植物に触れることに喜びを感じる、人に触れることに拒絶感がない、置かれている商品にとにかく触ることで理解が深まるなど、人や物に触れる事で親しみを感じるような言動に興味があるか。「そう思う」は1点、「そうでもないと思う」は0点。
Q2:承認欲はあるか。例えば、誰かに評価されたり認められる事に無上の喜びを感じる、不特定多数の人々から注目を浴びる事に興奮する、賞与や試験の数値や物品として可視化された自分への賞賛に満足するなど、他者の評価が自分の価値の尺度を定めるような言動に興味があるか。「そう思う」は1点、「そうでもないと思う」は0点。
Q3:帰属欲はあるか。例えば、どこかのグループや組織に属していると落ち着きを感じる、自分が何かをやりたいと思った際に真っ先に協力者を探す、誰かと一緒にいないと落ち着かないなど、仲間意識を伴う隔離空間に安らぎを思せるような言動に興味があるか。「そう思う」は1点、「そうでもないと思う」は0点。

3点…とても強い存在欲求
2点…強い存在欲求
1点…弱い存在欲求
0点…とても弱い存在欲求

※全事項に共通する注意:ここで示している「強弱」は「優劣」ではない。それはこの個性判定システムを適用する対象者の欲求の水準を測る単位に過ぎず、それ以外の意味は存在しない。
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 このように、端的な9つの質問事項の結果に基づき、その点数の合算によって本能の程度を自動的に算出する。これを前回の記事にまとめた「人間の64の本性パターン」に当てはめると、対象者の個性を導き出せるというシステムである。
 64に類型したそれぞれの個性の「特徴」「適正」「拡張性」については、また以後の記事の中で論考をしていこうと思う。

※画像:DALL-E
※補足1:これよりしばらく『水滸伝』の英傑108人を取り上げながら、それぞれの人物に上述の「個性判定システム」を適用し、その人物像を論理学的に捉え直す思考実験を行うものとする。
※補足2:日本に『蕩寇志』(『水滸伝』から派生した有名な続編のひとつ)の翻訳文献が見当たらないようであるから、この機会に『械胡録(水滸伝+水滸後伝+蕩寇志)』と題した作品を編纂してみようと考えている。上述の『水滸伝』に対して適用した「個性判定システム」の結果は、この『械胡録』に応用し、人物描写に現代的な若干の調整を加える際に用いたい。



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