をかののかほ

先日、ポルノグラフィティのライヴに行って来ました。

その日だけを楽しみに生きてきた半年でした。そしてこれからどんなつらいことも、さびしいことも、彼らにもらった勇気を携えて乗り越えていくこれからなのだなあと思っています。

彼らのライヴはこれで２度目ですが、いつも最後の曲が終わった後で、

「きみたちは、最高だよ！だから、誇りを持て！！」

と岡野さんが言います。わたしには、その言葉の意味がはかりかねています。

あんなにきらきらした人たちを見ると、自分がつまらな過ぎて、卑小な現実にげっそりとします。とても、最高だとも、彼らより素敵で、誇らしい自分とも

思えません。だから、この声がけを聞くと急に気分が冷めてしまって、

「何だかしらじらしい。。」

「こんなにたくさんのファンに囲まれて、賞賛されている自分に対して言っているんじゃないのか？実は…わたしたちを鏡にしてさ。。」

と利用された気になって気持ちがめり込みそうになります。

これは自分の観たライヴでも毎回言っていたし、ライヴ映像でも何度も見たので、気まぐれでなく、いつも言う定番の締めの言葉だとわかります。

一昨日のライヴでは、この声で気持ちがシュンとなったらすぐに席を立って、会場が混雑するので、早目に出て帰ろう、と計画していました。

ところが、最後にやっぱりこのお決まりのフレーズも出て、メンバーが手でちょっと制するようなポーズをしたので、「？」と見ていると、マイクを通さない地声で、こう叫ぶのが聞こえました。

「みんなーー！次会う時まで、元気でねーーー！！」

これは、本当に子どもっぽいことばで、何の飾りもないものですが、（よく考えると、５０にもなろうとしているシワシワでたるみきった、小太りのオッサンが言うセリフにしては、いくら童顔でもあまりに幼稚で似つかわしくないのですが）、私はこんなに心を動かされたのは久し振りです。

このライヴの直後に、人生初の手術が待っているのです。

次に会うことがあるかどうか、わからないけれど、その時まで元気でいられるだろうか…。

これはバイロンの詩にある、

「お元気で。もしまた会うことがあるとしたら、その時までお元気で」

という言葉を、太宰治が自身の作品に引用したのと酷似していて、わたしが昔から愛誦していた言葉でもあるので、とてもうれしくて、

きっと元気でいられる、元気で、今より素敵になって、また会いたい

という決意に変わりました。

タイムリーな言葉というのは、心に刺さります。

あとは、やっぱり、好きな人の言葉は、いつもいつだって胸に届きます。

わたしは、言葉を紡ぐ人間として、こういう基本に立ち返る必要性と、常に相手の事を思って発する、それがどんな表現であれ、人を真に思う時こそ、素敵な言葉は生まれるのだと、確信しました。自己満足の言葉では、だめなのです。独り言は、誰も聞いてくれません。価値が無いから。

そんなこんなで、しあわせと、半分不安を抱えている今日なのでした。

大好きな歌詞のいくつか。

「願いは叶うと誰が決めた？笑わせんな！神様だってそんなこと全然言ってなかった」（オレ、天使）

示唆に満ちていますね。願っても、叶わないことはたくさんあります。正直に生きているだけなのに、メッタ打ちにされることもあります。

「音楽や絵画にあるように過ぎてゆく日々一つ一つにささやかな題名を付けて見送ってあげたい」（オー！リバル）

こうして生きている毎日は、平凡でも、特別な物に違いない。１コマずつを、大事にしたい。自分を、もっと愛してあげたい。

好きだなあ、彼らが。周りに誰もファンがいなくて、ちょっとだけ一発屋なバンドなので、あの人は今みたいに言われるのがとても残念です。会場で思わず逆ナンしそうになりました。誰でも良いから、ファンの人と仲良くなりたいなあ、って。どこから湧いて来たんだろうと思うくらい、何万人ものファンが集結しているので、ビッグチャンスだったのですが。ただ、どう見ても２０～３０代くらいの方ばかりなので、声を掛けられませんでした。おじさまを必死で探しましたが、いたと思うと、ぴったり横に女の人がついているので、ああ～～…という感じでした。

実はこの十日くらい後の夕暮れ、最寄駅の閑散とした駅のエレベーターでライブグッズのウインドブレーカーを着こんだ外人風のお姉さんを見かけました。ロゴですぐ気付き、びっくりして２度見、３度見して、よっぽど声を掛けようかと思いましたが、その人の臭い香水と万能感に満ちた強気の目元、鼻で嗤う様な仕草に高飛車な若い傲慢を見てしまい、不愉快だったので飛び退くようにして離れました。やっぱり男の人が良いです。男の人が大好き。男の人といたい。男の人を眺めていたい。男の人と仲良くしたい。男の人に好きになってほしい。男の人に可愛がられたい。男の人に必要とされたい。男の人に私だけ見てほしい。男の人だけ周りにいてほしい。男の人に触れてほしい。世界は男だけで良い。女は私だけで。好きな言葉は紅一点。わたくしこそ、赤。