不動産投資のキャッシュフローとは?

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マンション経営において、「分析不足」と「知識不足」で投資をされている方が多く、正確なシミュレーションができずに失敗する方がいてらっしゃいます。
投資を始める前に身に着けておきたい、不動産投資の基礎知識である実際のお金の流れをできるだけ分かりやすくお伝えします。

損益計算書は実際のお金の流れではない
損益計算書(P/L)で利益を出しますが、実際のお金の流れではありません。たとえば減価償却は、実際にお金を支払っていませんが、経費計上できますので、販売費及び一般管理費の中に含めることが出来ます。ですので、実際の現金が動いているのではありません。損益計算書(P/L)は、利益を計算し税金を算出するものと考えると良いと思います。
キャッシュフローの流れを把握しよう
実際のお金の流れがわかるのは、キャッシュフローです。不動産投資においてのキャッシュフローをご説明させていただきます。
 総潜在収入(GPI:Gross Potential Incom)
「今の市場で、いくらで貸せるか」という満室想定での年間賃料収入のことです。
空室などは含まずに満室時における収入で数字を出します。
空室が発生しないことや家賃の滞納がないことを前提とした 1年間の家賃収入の総額のことを指しています。
 賃料差異
総潜在収入(GPI)と今賃貸している賃料に出る差が賃料差異です。新築時に契約した賃料が、10年以上経つと賃料は下がることの方が多いと思います。差異が生じている賃借人が退去した時にいくら下落するという賃料が予想でき、将来の収入減を想定ができます。
 空室損失
ずっと満室というわけにはいきませんので、入退去を考慮し、1年間でどれだけ空室によって賃料収入を得られないかという金額です。
雑収入
家賃収入以外で、自動販売機、太陽光発電、コインランドリー、駐車場、、アンテナ設置などに得られる収入です。
実効総収入(EGI:Effective Gross Income)
総潜在収入(GPI)±賃料差異+雑収入から空室損失を引いた額が実効総収入(EGI)です。実効総収入(EGI)が物件の実収入の最大値を示す金額です。
運営費(Opex:Operating expense)
運営に必要な経費(ランニングコスト)です。
管理委託費、光熱費、固定資産税、清掃費用、原状回復の修繕費など日常的にかかる費用です。
営業純利益(NOI:Net Operating Income)
実効総収入(EGI)−運営費(Opex)でこの不動産から得られる収益となります。営業純利益(NOI)は個人の裁量ではなく不動産が稼ぎ出す収益です。NOIを明確にすることで、単年の実質的な収益性を指すNOI利回りを算出できるようになります。
不動産の投資分析では、営業純利益(NOI)を多く用いますのでしっかりと押さえておくこが大切です。
一時金の運用益
この項目はあまり使用することはありませんが、敷金や保証金などを運用して得た利益です。
資本的支出(Capex:Capital expenditure)
大規模修繕、リノベーションの高額な費用が発生した場合など。
純利益(NFC)
借入金返済前の収益=営業純利益(NOI)+一時金の運用益-資本的支出(Capex)。
年間負債支払額(ADS:Annual Debt Service)
借入金の年間支払額。
税引前キャッシュフロー(BTCF:Before Tax Cash Flow)
営業純利益(NFC)-年間負債支払額(ADS)
税金を差し引く前のキャッシュフロー。
税(tax)
税引後キャッシュフロー(ATCF)
税引前キャッシュフロー(BTCF)-税(Tax)
◎実際に金額の流れを見てみましょう。
総潜在収入800万円の場合で、空室損失5%・運営費15%で計算
となります。
キャッシュフローの図をご紹介
 これが不動産のキャッシュフローの流れです。図で表すと下記のようになります。
左側が総潜在収入です。そこからオレンジ色の箱を取り除いていき、最終的にお金がいくら手元に残るのかが、明確化されます。
収益を改善するには何を見る?
この図を見てどこをどう改善すれば良くなるのかが見えてきます。
まず青色部分の総潜在収入(GPI)が同じでも、マイナス(オレンジ色)の空室損失と運営費(Opex)を減らせば営業純利益(NOI)の青色部分の収入部分が大きくなります。
また総潜在収入(GPI)より契約賃料が低い場合は近づけることで営業純利益(NOI)が大きくなります。
また雑収入を増やすことでも収入が増加し営業純利益(NOI)を大きくすることができます。
 こうして貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)だけでなく、実際のお金の流れであるキャッシュフローを確認し、いくら手元にお金が残るのを把握することが大切です。
またキャッシュフローを見える化することによってどこをどう改善していくか不動産投資の適切な判断をしていきましょう。
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