今,心理学の学術誌でより重要視されていることとは?

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こんにちは!
心理学研究員の原です。

今回は今,心理学の学術誌でさらに重視されるようになったことを書きたいと思います。
なお,学術誌をジャーナルと呼ぶ人が多いですが,ここでは学術誌で統一します。

心理学の二大学術誌と言われているのは心理学研究と教育心理学研究です。
最近では,発達心理学研究の充実によりこれも含めて三大学術誌とも呼ばれるようになってきました。これらはインパクトファクターが高いです。他にも,パーソナリティ研究や家族心理学研究もインパクトファクターが高く位置づけされています。心理学系論文のインパクトファクターについては,検索すると出てくるので気になる方は探してみてください。

心理学の学術誌には分野によって重視されるところが異なります。
心理学研究は理論ベースの研究でないと採択されるのは難しいですし,教育心理学は理論だけではなく,実践が重視されます。発達心理学は少し粗い内容でもインパクトが重要視される傾向があります。どれもレベルが高く,私は心理学研究はアクセプト(採択)されましたが,発達心理学研究は2度チャレンジしましたが,いずれもリジェクト(不採択)でした。

様々な特徴を持つ学術誌ですが,共通して重要視される点があります。
それは,倫理的配慮です。

倫理的配慮とは,対象者が実験や質問紙などで不利益を被らないことを指します。多くの大学院には倫理審査委員会というのが設置されており,それに通っていないと倫理的配慮が考慮されている論文とはみなされず,投稿してもリジェクトになります。
心理学の大きな学会の学術誌をみてみると2020年~2023年にかけてさらに倫理的配慮が厳しくなっている傾向があるので今後,論文を学術誌に投稿するのであれば倫理審査委員会の審査をクリアする必要があります。

このように厳しくなっている一方で,倫理審査委員会が設置されていない大学院も多々あります。私が在籍していた大学院は修士課程入学時には倫理審査委員会がありませんでしたが,博士課程3年のときに設置されました。

では,倫理審査委員会がない大学院に在籍している学生はどうすればいいのでしょうか?倫理審査委員会ほど厳しくはないのですが,研究倫理について一通り学べる方法があります。それは,日本学術振興会の研究倫理eラーニングを受けることです。私は研究倫理eラーニングを受けて修了しました。

論文を投稿するときには,倫理的配慮の箇所で「当時,在籍している大学院に倫理審査委員会がなかったため日本学術振興会が行っている研究倫理eラーニングを受講し,修了した。」と述べることで査読者には理解してもらい,無事に採択された経験があります。反対に,このことだけでは倫理的配慮がされていないと査読者からの指摘があり,リジェクトになった経験もあります。理解が得られるかどうかはそのときの運によりますね。

この他にも,「心理学論文の作成にあたり,日本心理学会のガイドラインに基づき研究計画を立て対象者に負担がかかりすぎないように考慮して調査は行われた。」などの表現も散見されます。日本心理学会のガイドラインも役立ちます

倫理審査委員会がない大学院に在籍している場合には,①日本学術振興会の研究倫理eラーニングを受講し修了すること,②日本心理学会のガイドラインを確認してそれに基づくことの2点の対策をすることで理解が得られる場合があります。しかし,倫理審査委員会よりも弱いのであくまで「理解が得られる場合がある」という点に留意する必要があると思います。

アメリカの心理学の倫理審査はとても厳しいですが,日本もようやく厳しくなってきたという印象を受けます。倫理的配慮はとても大切なので,研究実施の際には必ずこの点も考えた上で行いましょう!

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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