鑑定依頼を請け負う中で、「うちの家は旺山旺向(おうざんおうこう)だから吉格の家ですよね」、あるいは「上山下水に該当していそうで心配です」といった声をちょうだいすることがしばしばあります。
ですが、この話は単なる誤解ですので少し書いておきます。
はじめに、玄空飛星派風水において「旺山旺向(おうざんおうこう)」とは、その元運において最大吉の「旺気(おうきの)」向星が物件の前方に、旺気の山星が物件の後方に位置しているチャートのことを呼ぶものです。
たとえば上のチャートは第8運の未山丑向(つまり北東向きの家です)のチャートですが、8運における最大吉の向星8が物件前方の北東方位に、山星8が物件後方の南西方位に配置していることがわかると思います。(図は南が上側ですよ)
つまりこのチャートで建物前方である北東の向星8の方位に玄関が、主寝室が山星8の南西側に配置された建物はまさに8運の旺気を最大限に活かした旺山旺向の家と呼ぶにふさわしいものです。
ですが、この物件を九運に入った今となってはこの物件をどう考えるかというと、8はすでに8運が過ぎ去って凶星として考えるもので、好ましい星ではありません。
(ただし8はもともと吉星だとする考えがあり、そこまで悪くはならないのじゃないか?という考え方も存在するには存在します。ですがあくまで「そこまでは悪くならないだろう」というだけの話であって、永遠に吉星というものは玄空飛星派風水には存在しません)
ですから今となってはこの住宅を旺山旺向だから好ましい家だとは呼べないということです。反吟とか太極とかにも諸々の心配はありますし・・・そもそも論として、未向きの家なら中国風水きっての大凶とされる「四金殺」への注意は必須の物件です。
処置のできない種類の四金殺に該当しているならそもそも目も当てられません。(四金殺は対処不能な大劫煞(だいごうさつ)と呼ばれるタイプのものが存在し、それは日本語の市販本に記載はありません。大劫煞でない四金殺でも現実的に対処できない場合は多々ありますが・・・。)
同じ話は上山下水(じょうざんかすい、じょうざんげすい)チャートにも言えることです。
上山下水チャートとは、「その元運において最大吉の旺気の山星が物件の前方に、旺気の向星が物件の後方に位置しているチャート」を指します。
一例を挙げると下の7運の巽山乾向(つまり北西向きの家です)のチャートは上山下水に該当します。
このチャートでは第7運における最大吉の旺気山星7が物件前方の北西方位に、向星7は物件後方の南東側に配置されるものですが、みてみると2024年現在第九運における最大吉の旺気の向星9は物件の前方に配置されているものです。
ですからこのチャートについては9運に入った今としては非常に使いやすいもので、たとえば玄関が向星9の方位に入っているならば8運の未山丑向とは比べようのない好ましい状態と考えてよいと思います。(むろんそれだけですべて決まるわけではありませんが)
そうした考え方をするのが玄空飛星派の風水理論です。
ですから「旺山旺向は吉格、上山下水は凶格」だなんていう話は単なる誤解です。
この種の話はたとえば父母三般卦や七星打劫といったもろもろの特殊各局にも通用する話で、そのチャートだから好ましい!というほど単純なものではありません。
そうしたものについてはもろもろの「適用条件」が存在しますし、玄空飛星派においては「永遠の良い運気の家は存在しない」というのは大原則の話ですのでご注意くださいね。
それではこの記事はここまでです。ここまで読んでいただきありがとうございました。