264号・住宅工務店の統廃合について

記事
ビジネス・マーケティング
*経験値からすると、2024年~中小工務店の統廃合が起こりやすくなります。
・2024年問題としては、働き方改革関連法の適用や団塊世代が75歳以上になり、労働人口の減少と技術の進化、工事現場のロボット化やAIの導入が組み合わさることで、労働市場や社会構造に変化がもたらされる可能性があります。
そして、労働時間制限による工期長期化による売上額の減少が顕著になってくるという問題です。中小工務店では、これらのことからますます労働力の確保がむつかしくなる可能性などがあります。
また、25年~建築特例廃止問題などで設計、確認業務対応がむつかしくなりそうです。

・こうしたことから建設物価、住宅価格の上昇により、中小住宅工務店では、建設価格の交渉力、施工力の確保、IT新技術の導入、商品開発力、設計の対応、集客、営業の対応がむつかしくなるからです。

・小規模だから何とかなるだろうと思っていてもなんとかならないという現実が来ます。特に年間、10戸以下の工務店は施工費の上乗せでもしない限り施工できなくなりそうです。結果的に工期の遅延、利益を出せないか、上乗せすると受注できなくなり小規模工務店さんにとっては厳しくなりそうです。
そこで、統合、買収、事業承継の動きが活発になってきそうです。

統合:各会社にはそのまま運営を続けてもらい、意思決定権だけを一社に集約。
買収:M&Aを行う会社を存続させ、傘下に収める。
合併:各会社が無くなって完全に一社となって運営及び意思決定を行う。
*住宅工務店の場合、社長の住宅に対する思いが違うので、統合、合併の成功事例はほとんどありません。なので、買収や事業承継して傘下に収めているケースが多いように思います。

買収、事業承継の目的
メリット
1・専門化と効率化
・専門知識の蓄積や効率の向上が期待でき、質の向上や収益の増加につながる可能性があります。
2・工務店数が減るとコスト競争が緩和される。
・新しい組織が形成される際には、これにより、市場での認知度や信頼度が高まり、新たなビジネス機会が生まれることがあります。
・一つの中小工務店が遭遇するリスクや困難に対処するため、統合することでリスクを分散し、安定性を高めることができます。
3・価格交渉力、施工力の向上
・合併により企業が大きくなると、供給業者や取引先との交渉力、施工力が向上します。また、職人さんの確保がしやすくなるなど有利な条件を得ることができる可能性があります。
4・生産性の向上
・事業規模が大きくなることで、資材の調達や設備の共有などで規模の経済が生まれ、コスト削減が期待できます。
・社員の集約、デジタル化ができます。
・新たな地域や市場に参入しやすくなり、需要の拡大が期待できます。

デメリット
・中小工務店の統合が進むと、地域経済に影響を与える可能性があります。小規模な地域で統合があると、雇用機会が減少し、地域経済が弱体化する可能性があります。
・地元の中小工務店が提供していたような細かな要望に対応できなくなる可能性があります。
・統合により業界が集約されると、市場全体での企業の多様性が減少する可能性があり、これが顧客にとっては選択肢が減る可能性があります。
1・課題と考慮すべき点
統合のむつかしさ
・異なる企業文化や住まいに対する思い、業務プロセスの統合には時間と強力なリーダーショップが必要となります。
・買収の趣旨を十分な賛同を得ていないと、社員の反感、やる気が阻害される可能性があり、これが不安を引き起こす原因となり、ついてくる社員がいなくなることがあります。
2・マーケット変動の影響
・買収によって市場の変動が生じ、それが予測できないリスクをもたらす可能性があります。
3・法的、規制上の問題
・買収は法的な問題や規制上の制約を伴うことがある。これらをクリアする必要があります。

参 考
・住宅工務店、統廃合の歴史
1・1970~1990年。プレハブ住宅メーカーが躍進。半面、町の工務店がハウスメーカーの下請けへ。
2・1990~2010年。中小工務店フランチャイズ系の傘下へ。
3・1995年~阪神淡路大震災の後、ニワカ工務店が増加。
4・2000~2007年。ハウスメーカーの統廃合(殖産、日本電建、クボタ、エス・バイ・エル、ミサワ、トヨタ、パナ、ニッセキハウス、太平住宅、東淀建設など多数)があった。
5・2000年~2012年。ローコスト住宅が主流へ。
6・2012年安倍政権誕生後、徐々に景気回復へ。建築価格徐々に上昇、労働者不足へ。
*経験値からすると、2024年~中小工務店の統廃合が起こりやすくなります。
如何でしょうか。

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