ハウスメーカーと住宅工務店の価格差は20~25%

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ビジネス・マーケティング
1・ハウスメーカーも木造住宅の比率を高めている
 戦後、1960年ころより大量に住宅供給するという意味では、ローコスト規格住宅を工業化して、営業マンを大量採用して、数多くの住宅を全国販売するという意味では、ハウスメーカーの役割はあったでしょうが、契約数が減じている中ではその量産効果はなく役割を終えています。
 今では、ハウスメーカーも自社のオリジナル工業化(プレハブ)構法よりも、木造住宅のほうが利益率が高くなるので木造住宅の比率を高めています。また、木材資源の活用は、世界的にも大きなトレンドとなっているので、ますます、木造住宅志向が高まるものと思われます。

(ハウスメーカーの木造住宅の取り組み)
・セキスイハウスの20年度木造住宅(賃貸除く・戸建て+分譲=7925戸のうちシャーウッド2803戸(35,3%)・鉄骨5122戸(64,6%)
・ダイワハウスの木造住宅/グランウッド・戸数は不明。
・トヨタホームの木造住宅/モクア・ウッドユーホーム。
・セキスイハイムの木造住宅/木の平屋・グランツーユーV
・ミサワホームの木造住宅/MY WOOD
*このように鉄骨メーカーも木造住宅の商品を増やしてきています。

2・ハウスメーカーの住宅はなぜ高いのでしょうか?
 2000年ころより、木造の構造躯体は規格化され、最新鋭装備の大手加工工場で加工されはじめ、ハウスメーカーも分譲住宅会社も住宅工務店も大半が同じような工場で加工されています。材種、部材サイズが同じであれば耐震性、耐久性、品質、価格の格差はほとんどありません。
 それにも拘らず、ハウスメーカーの住宅はなぜ高いのでしょうか?それは、ハウスメーカーの過剰なサービス、大きな本社、広告宣伝、大勢の営業マン、豪華な展示場など、お客様のメリットにならないところにコストをかけすぎているからです。
 ハウスメーカーは、構造体、付属部材、住宅設備機器など支給部材一式の中に本社経費(支給部材費の40~50%/本体価格の15~20%)が上乗せされて供給されています。さらに営業所の経費は(請負金額の30%)なので、住宅本体価格は住宅工務店に比べて、概ね20~25%高くなっています。つまり、ハウスメーカーの合計粗利は45~50%となっています。
なので、ハウスメーカーと同じ販売価格であれば、むしろ、住宅設計の経験豊富な建築士であれば、ほぼ同程度のデザイン、間取り、住宅設備機器で施工すれば、20~25%程度安く作ることが出来ます。もしくは、床面積にすれば10坪程度大きな住まいかグレードの高い住宅をつくることが出来ます。
 つまり、この20~25%が工務店に比べて、ハウスメーカーの住宅価格が高いといわれる所以でもあります。

「欧米には、オリジナルな構造躯体の工業化、住宅設備機器のオリジナル化、支給部材のアッセンブル、現実離れした豪華な展示場の建設、大量の営業マンを雇って全国販売展開しているようなハウスメーカーは存在しません」

3・ハウスメーカーのお客様は、住宅工務店にとっては戦略的にとらえれば、よい競合相手となり勝てるはずです。
 ハウスメーカーとの価格差である、この20~25%の原資を使って、お客様にとって最もふさわしい住宅をハウスメーカーよりも安く提供するか、お客様のご要望を丁寧にお伺いして、ハウスメーカーに負けない個性的な住宅を作ることが出来ます。

・具体的な40坪ミドル仕様の住宅価格の内訳を検証してみます。
(付帯、別途、追加工事、確認申請費用などは含まず)*構造材、住設機器等同じ仕様とします。
 具体的には、
・ハウスメーカーのミドル仕様の本体価格3600万円/平均坪単価90万円(コロナ前比+127%)

・営業、設計士のいる住宅工務店の同2800万円/平均坪単価は70万円(同じく+120%)。
上記のように40坪の住宅でハウスメーカーに比べると800万円以上安く建てることができます。
① ・ハウスメーカー本体価格の内訳
・本体価格:3600万円(40坪×90万円/平均坪単価)の場合
本体価格3600万円のうちハウスメーカーの本社経費、営業所経費の合計は1600万円(45%)です。その内訳:本社経費540万円(15%)+営業所経費+設計料1080万円(30%)です。
・工事原価は、3600-1600=2000万円(55%)この内訳は(構造部材他支給材+住設機器+施工業者発注差益分)

② ・営業、設計士のいる・住宅工務店の内訳
・本体価格:2800万円(40坪×70万円/平均坪単価)の場合
対ハウスメーカーより▼800万円安くできます。
本体価格2800万円のうち住宅工務店の販売施工経費840万円(30%)です。
この内訳:住宅工務店経費+設計料です。
・工事原価は、2800-840=1960万円(70%)この内訳は(構造部材+住設機器+施工業者発注)です。

③ ・社内営業、設計士のいない・工務店の内訳
・本体価格:2600万円(40坪×65万円/平均坪単価)の場合
対ハウスメーカーより▼1000万円安くできます。
本体価格2600万円のうち工務店の施工経費650万円(25%)です。
この内訳:工務店経費+設計料外注です。
・工事原価は、2600-650=2080万円(75%)
この内訳は(構造部材+住設機器+施工業者発注)です。

*つまり、②③のケースではハウスメーカーの広告宣伝費、展示場や営業マン、過剰なサービスなどの販売経費を排除して、お客様にできることはしていただくことによって注文住宅のコストダウンが可能となります。

*それぞれの特徴を選ぶことが大切です。
A・安心と信用を重視するならハウスメーカー
B・個性的な住宅を求めるのであれば、優秀な設計士のいる工務店
ただ、工務店にも得意分野があります。
・耐震性や性能を売りにしている工務店
・デザインを売りにしている工務店
・自然素材を大切にしている工務店
・ローコストを売りにしている工務店
*この選定を間違うとミスマッチでクレームになりやすいので、慎重な選定が必要です。

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