「小説の技法」Lesson40 第二課題の解説「想像するすること」

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コラム
 しばらく、描写と構成の関係を解くために「プロット」という基礎にまで下りていましたが、課題に復帰します。まず、第三課題の方は、シナリオ化に成功しましたか?

 ここ最近の状況は存じませんが、シナリオライター出身の小説家が輩出していた時期があります。いい悪いをここで論議することが目的ではありません。ただ、どの方も、一様に、筋運びが負担なく上手いという特徴が上げられました。ストーリーが面白く進みます。

 自分の書く小説がぎこちなかったり、なんだか盛り上がりに欠けたり、上手く話しとして成立しないという方、2.3本、シナリオを実作することをお勧めします。前にも説明した通り、200文字原稿用紙、1枚で1分です。60分物を2本程度書いてみるのは、いい勉強になります。それ以上、深入りするもしないも自由です。ただ、自分の短所の確実な解決にはなりますし、一様に、小説を書くことが楽になるとは思います。ご検討ください。

 以上のように、第三課題が完成出来た方は、晴れて、第二課題に戻りましょう。
 懐かしの「やけぼっくい」課題です。これ、恋愛経験の有無が物を言うという気もしますが、作家になりたい以上、避けては通れない問題です。一度、禊を済ませておいた方がいいです。何日か前、WEB小説全体として、性描写についてのレイティングが厳しくなっているというコメントを頂きました。私は、パソコンをしているというと、嫌らしいと直結された時代も知っていますので、現在、安全できれいになったと思うのですが、書くべきか、書かざるべきかという線引きの面で新たに難しい問題が起きているのかもしれません。

 第二課題は、第三課題より、ずっと無味乾燥だと思います。つまらないに近いと思われる方も多いでしょう。でも、それは表面上の歩く行為だけを考えているからです。深いところまで考える方たちは、自分と主人公が被りたくないのに被るという感覚で書きづらいと思います。実在の人をモデルに入れてしまいそうになりますが、やめましょうね。やけに詳しい設定がありました。でも、この詳しい設定があろうと、書きづらいのは書きづらいです。

 といった心理障壁でも難しいですが、純粋に描写ができない、あるいは、加減がわからないということで難しい方たちもいました。でも、加減は、第三課題及び第三課題から派生した形のシナリオの実作で矯正できます。無駄なことは書かない精神でお願い致します。

 そして、相手側の異性の感情の見え隠れを書くこと。手は握っているのか、開いているのか、ポケットか。キーをどうするか。一つ、一つの行動に、本人が意識するかしないかは別にして、感情が反映しているはずです。並んで歩くか、先に一人で行くか。それとも、待っている女性が先に歩き出すか。その時の表情、風情もあります。それを感受することで自分の感情も、それが司る行動も違います。よく考えてみて下さい。

 また、一つ、実作で、気を使って欲しいのは、ホテルを出るという翌朝の描写です。すっきりしているのか、もやもやしているのか、その感情によって、主人公に外の景色はどう見えるのか、風はどう感じられるのか。思いっきり想像してもらいたいと思います。そして、それを自分の文体で、どう表現するのか。小説を書くというのは、想像し、表現するという作業の繰り返しです。                                      
                          以上

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