「小説の技法」Lesson26 第二課題解説① 「キャラぶれ」はみっともないからね!

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コラム
 第二課題「やけぼっくい」シチュエーション。いかがお進みでしょうか? 
 Lesson 25では、一人称主人公と作者自身の分離について書きましたが、自分の過去の経験を作品に生かすことを禁止するものではありません。そんなことを言ってしまえば、私は、ただ、無意味に65の職業を書けない女に過ぎなくなります。ただ、自分べったりの感情、特に、恋などという柔らかな心の内を「自分」だと思いながら、写していくことは、絶対に、やめましょう! こんなことを書いているのは世界初かもしれませんが、書いたあなたが後で傷付きます。や・め・な・さ・い・と経験者は語ります。まじ、充電するぞ…。

 で、主人公は自分と近い境遇・思考であってもかまわないのは当然ですが、絶対、自分ではありませんから、ここの距離感をきちんと明確に区別すること! 笑えませんよ。

 とすると、出てくるのが、「キャラぶれ」の問題です。主人公に限ったことでも、一人称に限ったことでも全然ありません。どういう現象かと言えば、登場人物の「人格=キャラクター」が揺れるという話です。あぁ、それ、最初のうち、なりますね、じゃないから。読者はあっさりとわけわかんねーで、本を閉じます。

 注意しなければならないのは、「人格」です。「気分」ではありません。読者は、語り手に感情移入して読み始めます。読者が追いつかないほど、主人公、何、考えているのかわからない作品があります。考えているけど、え、さっきと、違うじゃん、え、なに? どうして? あ、わかるけど、うーん、誰だっけ、あんたって思いながら読書した経験ありませんか?

 当然、登場人物の人格が出来上がらないうちに書いている時に起こります。冒頭から承くらいまでに、大抵、ぐるぐるやられますね。ついていけません。読めません。あれ? あれ?を読者に起こさせてはなりません。どうしてなるかは、実作の経験のある方ならわかると思います。3章から乗ってきて、とか言うでしょ? じゃあ、2章までぶれてるんです。破棄!

 普通、思わないようなことを考えたり、感情の波がおかしかったり、客観的に見ると、変な主人公、冒頭あたりにちょろつきがちです。せめて、キャラクターが固まったら、戻って、書き直して一般に公開して下さい。

 実作先行公開されていますが、添削は自習の人同様できませんので、そうだ、と思ったら、皆さん、御自分の実作で、キャラぶれ推敲を願います。ホテルでチェックインして、エレベーターに乗るまでの間、どんな気持ちでしょうか? 何を見て時をやり過ごすでしょうか? 心情ばかり、書き連ねて、物を見ようとも、聞こうとも、しない人がいますが、読者の耳や目まで潰さないこと。閉塞感に読者はやられます。読者に、なぜ、そのような気分になっているのかわかるように書きましょう。

 だらだら書く必要はなく、描写です。百万回、好きだ、だの、悩むだの、書くよりも、「指先が触れただけで熱くなった」と書く方が、一行で、何がどうしたんだかわかりません?

 とにかく、今回は、描写。特に、わざわざ「奥義①」を開陳した後です。書きたいことは数々ありますが、まず、一人称主人公の人格ぶれから直して行ってみて下さい。
                              以上

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