「小説の技法」Lesson23「秘奥義①」開陳か?

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  神の視点を取らずとも、登場人物の気持ちが手に取るようにわかる書き方がある、と昨日、乗りで予告してしまったので、いやー、書くの? 書けるの? と自問自答しております。

 でも、人称と視点の説明がわかりやすかったとコメントがありましたので、少し、落ち着こう。本当に、人称と視点の説明って面白いものでもないし、難しいです。

 で、この人称に縛られると、相手のことが動作でしか書けない=感情、心理が書けないという問題を生じることはお話しました。それで、BLばっかりやり玉に挙げてしまいますが(若い頃は、私も嵌ったから許して)、恋愛及び性愛の描写において、片側の感情しか書けないあたりから、視点の問題がコミケで無茶苦茶になった過去があります。801の頃。

 それね、冷静になって下さい。両側書こうとするあなたが神様。自分の恋愛においても、自分の思いすらわからないんだなぁ、恋愛って。
では、視点を自分に固定した状態で、相手の感情・心理をどう書くか? 書けます?

 まぁ、簡単なのは、「」の中で語ってもらうでしょ? 相手の台詞でわかるっていう形。
 そう、そんなの当たり前なの。言葉なんて嘘かもしれないし。そう、嘘かもしれないの。
 だから、例えば、こんな描写が思い浮かびますね。

「好きだ!」
 あいつは吐き捨てるように言って、私から目を逸らした。
 まず、この地の文の「比喩で受ける」という方法が考えられます、「吐き捨てるように」。「夢見るように情熱的に」などなど。どんな様子で言ったのかは書けるんです。そこで、この「好きだ!」という台詞がどんな感情をもって言われているかは、読者に印象付けられます。そして、台詞の後、「私から目を逸らした」もあれば、「私を見つめ続けた」「首を振って立ち去った」いろんな地の文での表現の仕方があるんです。

 別に、「あいつも私を好きだった」と規則的には、ズバリ書けなくても、地の文で趣向を凝らせば、もっと、もっと、細やかな感情の揺れを書き込めます。相手にも、はっきりわかっていないもやもや感をもやもやのまま、読者にだけ届けられるということです。伝わるかな? この微妙なニュアンス…。主人公はわからなくても、読者にだけわかるという動作の書き方ってありますね。主人公はスルーすればいいことです。気付かないんです。でも、読者はわかる、そういう趣向は可能です。小説、面白くなってきましたか? 頭、痛いですか? 

 相手の感情・思考は、比喩(直喩:~のように、暗喩:〇〇だ ex.彼女の眼は星空だ)を使ったり、ちょっとした表情、動作の変化を書き込んだりすることで表現可能です(彼女は眉をひそめた。顔を顰めた。彼女の笑顔がパッと輝いた)。ね、わかるんですよ。だから、自分の考えていること、感じていることしか書けないわけでは、絶対に、ないです! その見え隠れする他の登場人物の心情・感情、そこまでコントロールするのが小説の醍醐味です。
 次回から新課題に挑戦します。頑張りましょう!                                 
                          以上

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