「小説の技法」Lesson13 第一課題の解説⑤「起」とは?

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 今日は、起承転結のイメージ作りから始めてみたいと思います。起承転結、起承転結、うるさいなぁと思われる方、小説を書く上で、すーーーーーごく、重要なことなんです。しっかり理解して下さい。この創作論につきまして、いろいろ論議がありました。折衷案として、私、もうちょっと、わかりやすく説明するように心がけます。よろしくお願い致します。

 まず、「起」、ことの発端ですね。怪談話の場合、主人公の女性がアパートに来る場面です。例えば、大学に入るため、学生街にアパートを借りた。築二十年だという。程度のことがわかればいいのです。一行で終わる記述です。

 でも、私は、持論として、エンターテイメントでは場面(シーン)性を重視します。

 読者を掴むためには、場面で始めるべきだと思います。怪談です。薄気味の悪いエピソードを「起」から盛ってみて下さい。場面として、1しか割合はありません。ただ、救急車が一瞬霊柩車に見えるとか、カラスの大群が飛び立つとか、不吉なイメージです。その方が、ただ、引っ越したよりも、効果的であると思います。昔のホラー映画でも、そういう不気味なシーンってあるじゃないですか。電話が鳴って切れるとか、鏡に何か映る気がするとか、さわっとしたシーンです。文字数にして、100字とちょっとですね。

 私は、今、ここで、思い付いたことを打っているだけなので、エピソードとして最適だと推しているわけではありません。ご自分のカラーに合った、怪談にふさわしいオープニングを書いてみて下さい。ここ、フラッシュバック的なシーンで開始しようとする人がいますが。1000字しかないんです。時間軸を移動するより、私なら、一直線に進むほうを取ります。

 同様に、台詞で開始しようとする人がいます。よく考えて使いましょう。1000字です。会話から始まれば、誰との会話かにもよりますが、明らかに「起」が長くなります。そして、登場人物が増えるということを念頭に起きましょう。独り言なら、まぁ、それはそれ。ただ、お母さんや近所の人との会話。大家との会話。描写なしだと、読者は情報不足で飽きます。加えて、受け答えをするんでしょう? 100字とちょっとで、会話を含んだ印象的な場面、組み上がりますか? 私の力量では、NOです。1000字怪談ですから、会話は原則一行です。100字とちょっとで、どんな会話劇ができるか、考えて下さい。

「お母さんは、このアパート気に入ちゃった」
「そう?」
 母は喜んでいる。だが、私はあの窓から見詰めている女の人影が嫌だった。長い髪をしてなんだかかんだかで、ちらと書いただけで「起」の文字数を振り切ること間違いなしです。臨機応変に定番を使いましょう。悔しいかもしれませんが、1000字の起承転結の「起」の割合って、そんなものです。感覚として覚えて下さい。あまり書けません。

 はい、皆様、自習ノートの「起」について、各自で書き直してみて下さい。            
                             続く~。

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