「あのひとはもう、いってしまった」

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「ペンションメッツァ」をNetflixで見て
ふと書いてみようかな、と思った、少し不思議なできごと。
普通に自分語りです。

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<ストーリー>
長野の別荘地、カラマツ林の中の一軒の家の前に、「ペンションメッツァ」と書かれた看板が控えめに立っている。そのペンションの客室は一室のみで、その家に住むテンコ(小林聡美)はひとりでマイペースに暮らしていた。たまにふらりと現われる客はだいたいがひとり客ばかり。そんな客たちと関わっていくうちにテンコ自身も、自分のありように気付き始める。

最近はまったくですが、以前はよく一人旅をしていました。

特に温泉つきのお部屋を好んでいて
気になる旅館があれば、北海道から九州まで行きました。

この時選んだ旅館は、一人旅では温泉つきのお部屋は予約できず
いつもなら条件から外しているのですが
なぜかこの旅館が気になり、お盆の前に行くことに。

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当時私は予期しない妊娠、流産を経験したばかりで
悲しんでいいのか、怒ればいいのかさえも、よくわからなくて
表面的にも、自分で感じる感情も、通常運転でした。

非日常に身を置くことで
無意識に、自分を癒そうとしていたのかもしれません。

到着した旅館は、古いながらも手入れがされていて
どこか懐かしいような、そんな雰囲気でした。

通されたお部屋は、なんの変哲もない一間の和室。
夕食をおいしくいただき、温泉にも入り、眠りにつきました。

私が泊まったお部屋は、宴会場が近かったようで
眠っていてもどこか遠くで、笑い声や話し声が聞こえている状態。

そこへ、紺色の和服を着た柔和な男性が夢にあらわれ
「騒がしくて、大変申し訳ありません…」
と何度も頭を下げてきたのです。

旅館に泊まると、怖い目にあうことはままあるのですが
このようなことは、はじめてでした。

早朝まだ暗いうちに、大浴場に行くのが好きな私は
寝不足でぼーっとしたまま、誰もいない岩風呂に浸かりながら
「あれは誰だったのだろう?ここのご先祖さまかな?」
と考えていました。

怖い目にあったときも、お部屋つきの仲居さんに報告するので
(というか一人旅なので
「こんなことがあったんです!」と誰かに聞いてほしい)
何の気なしに仲居さんに言ったところ、少し顔つきが変わられ
女将さんに伝えると言って、下がられました。

個室で朝食をとっていたとき、女将さんが来られ
夢のことを聞かれたので、改めて男性の特徴などお話しました。

「それは主人です」

昨年急逝されたそうで、ちょうど初盆を迎えられるとのこと。
「見守ってくれているのですね」と女将さんは笑顔で
ご主人様のことを教えてくれました。
「私の夢には出てこないのに…」と少しのお小言とともに。

大学生の娘さんが、旅館のお手伝いをされていて
「お父さん子で、まだ癒えていないので娘には内緒にしておいてほしい」
と言われたのですが、どこからか話が漏れたようで
帰る際に娘さんがご挨拶に来られました。

多くを語る前に、二人して大泣きしていました。

ご家族の温かい想いに触れて
私は、このとき、流産してはじめて泣くことができたのです。

その後、私はこの旅館に訪れていません。
今検索すると、旅館はリノベーションされモダンになっており
あの和室はなくなっていました。

大学生だった娘さんは若女将となって、
女将さんといっしょに旅館を切り盛りされているようです。

この経験をしてから、旅館で似たようなことがあっても、
旅館の方には伝えないようになりました。
嘘ではないし、悪用する気も当然ないですが、
なんとなくご家族の間に、土足で上がり込んでいる気がして。

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