#58 ウサギの姫

記事
コラム
過去の話です


当時、AちゃんとBちゃんという友人がいました
Aちゃんは私と同世代
Bちゃんは私たちよりだいぶ年下でした

その頃私は昼夜掛け持ちで仕事をしていて、
Aちゃんはフリーのライター、
Bちゃんは個人的なことをあまり語らないコだったので、
お仕事について深く聞いたことはありませんでした

が、
生活形態なんかを見ていれば、なんとなくわかってきますよね
Bちゃんはいわゆる「泡姫」と呼ばれる職に就いていたんです

ですが私とAちゃんの間でそのことについて話したことはなかったですし、
私たちは二人とも「風俗」に対して偏見もありませんでしたし、
「自分は出来ないなー」ぐらいには思いましたが、
かと言ってBちゃん自身の人柄や性格は好きだったので、
何も問題なく一定の距離を保って仲良くしていました

そんなある日、
Aちゃんから初めて「そのこと」について話を振られました
『まこちゃん、Bちゃんの仕事、気付いてるよね?』
「うん、なんとなくは笑」
『あーやっぱり笑 良かった』

Aちゃんはとても良く出来た女性で、
勿論その日もBちゃんのお仕事内容をDisったりするわけではなく、
もっと別の意味で私に意見を聞いてきてくれたのですが‥

Aちゃん曰く、
泡姫さんだって立派な職業なんだから、
隠す必要ないじゃない?
っていう‥

彼女はそこで必死に働いてお金を得ているんだから、
それを恥じることなんて何もないじゃない?
って

Aちゃんは何事にも理解がありすぎるというのか、
とにかく聡明というのか‥
そして本当に優しい人で、
年下のBちゃんが私たちに気兼ねなく打ち明けてくれるようになるには、
どうしたらいいのかしらね‥みたいな?

そんな話をされました

私も勿論、Aちゃんと同じで、
先に書いたように世の泡姫さんたちには全く偏見はありません
が、「隠していたい」気持ちは理解出来たりするので、
なかなか簡単に答えが出ませんでした


でも確かに、
後になればなるほど、
Aちゃんが言っていたことが良くわかります
恥じる必要なんてないんです

でも、職業を明かさないのは何も「恥じている」という理由だけではないですよね
色々個人的な事情もあるでしょうし、
言いたくないことは誰にだってある
それはお仕事に限ったことではなくて


もう随分昔の話ですし、
時効?かなーと勝手に判断してこの記事を書いていますが、
Bちゃんに関してひとつ、私が感動した後日談があります

彼女、本当に可愛くて人懐っこくて、妹みたいに思っていたんですが、
密かに恋をしていたんですよね
その「お相手」というのは私たちの友達でした
そのカレもまた、絵に描いたような好青年で‥
「誠実」が服を着て歩いているような、
色で例えると「白!」としか言えないような、
私にとっても学ぶべきところのたくさんある、素敵な人でした


Bちゃんはそんなカレに、告白した際、
自身のことを全て話したんです

普通、一番知られたくない相手じゃないですか‥?

私がその経緯を知ったのは、そのカレから相談を受けたからですが、
それを知った時、悲しいような切ないような、不思議な気持ちになりました

ただBちゃんに対して、
あぁこの子は、
自分を恥じているわけではないんだな
ちゃんと自分を認めて、
好きな人に堂々と自分をさらけ出して、
まっすぐ正面からぶつかっていったんだな
って‥
なんか言い方はおかしいかもですが、彼女のことを凄く愛おしく感じました

と同時に、子ウサギみたいな可愛らしい見た目に反して、
凛とした彼女の強さ?を知ったというか、
上手く表現出来ないんですが‥、
カッコイイなって笑
思いました


長ーーーい年月を経て疎遠になってしまったけど、
今どうしているんだろう?

生い立ちからして難しい人生を歩んでいたBちゃん、
幸せでいてくれるといいな‥

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