石和青果市場という天国

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コラム
今年の夏が終わって風鈴がいらなくなるころに山梨に旅に行きました。

目的はシャインマスカットを中心に旬のぶどうを食べられるだけ食べながら、素敵に古びた温泉宿に泊まるため。山梨はぶどうの収穫量日本一だというから、本場に行けばきっといいことがあるだろうと言うことで胸を踊らせながら山梨へ向かいます。

山々に囲まれた甲府盆地に入るとそこはフルーツ王国こと勝沼で、その名に違わず道々に果樹園の直売所が林立しています。

が、平日であり時間も早いためまだお客さんの姿は見えず、私も一人で旅行をしているものだから入るのがためらわれます。もし「おや、美味しそうな果物が沢山並んでますねぇ」と誘惑に釣られて入ったとして、もし値段がびっくりするほど高くても、きっと笑顔で一生懸命育てたぶどうたちを勧めてくるおばちゃんを無下に断ってその場を後にするなんて出来るはずがありません。ここはチラ見して過ぎ去るが賢明です。

そんなわけで数多ある直売所を横目にまだ薄くセミの鳴き声がひびくフルーツラインを走り、かの有名な石和温泉のメイン通りを横切って郊外のような道を少し行くと、そこにあったのはタイトルにある石和青果市場という建物でした。

見た目は完全に倉庫のような外観ですが一応八百屋ということらしく、外には僕の地元では見られないような単位で旬の果物が売られていたりします。さすがは市場という感じ。

踊る胸そのままに店内(?)に入ると、まずは低めの棚に並べられた果物達がお出迎えをしてくれて、奥を見ればいかにも新鮮そうな野菜たちが薄暗い店内にズラッと並べられています。いかにもスーパーなんかとは違う空気感にワクワクを禁じえませんが、やはり驚いたのはその値段。

さすが本場ということで、目の前に負いてあるプリップリで絵の具の塗ったような黄緑色のシャインマスカットはなんと500円。我が地元では傷物か鮮度落ちしたものくらいしかこんな値段で売られてはいませんが、ここでは新鮮そのもの、生まれたてのようなプリプリシャインがこんな安値で売られているなんて、ここは天国に間違いありません。

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しかもこんなのは序の口で、ちょっと奥に行くと今度はさっきのシャインマスカットと量も質もほとんど変わらないようなものが300円で売られています。
一体ここはどうなっているんでしょうか。これが本場の底力ということなんでしょうか。これまで通り過ぎてきた直売所でも絶対こんな値段で売られてはいなかったはずです。

しかしさすがに気になったので「この値段の違いはなんなんですか?」と店員さんに聞いてみると、「作られてる方、というか農場が違うんです」という非常にシンプルな答えが返ってきて、安さの理由は全くわかりませんでしたが、とりあえず「そうですか」と納得することにしました。

他にも安く色んな果物が売られていたんですがそんなに買うことも出来ない状態なので、ありがたく500円のぶどうと我が道という聞いたこともない赤いぶどう(300円)を購入。石和青果市場への感謝と、山梨県民への少しばかりの嫉妬を感じながら旅を続けたのでした。

その日の夜にこのぶどうを食べてみたところ、安いから味が薄いとか固いだとかいうことは全く無く、噛んだ瞬間にパチっと弾けて甘みがシュワッと広がるとても美味しいシャインマスカットでした。

しかしそれよりも驚いたのは我が道という聞いたこともないぶどうです。果実の大きさはシャインマスカットに負けますが、そのプリッと感と強い甘みはシャインのそれを凌駕していました。赤いぶどうですが巨峰とかのような口に残るような甘さではなく、あっさりとしていてかつシャインマスカットよりも甘いのです。

調べてみるとこの我が道というぶどうはかなり希少な品種らしく、赤い品種では最高級品ということらしく、思わぬところで貴重なものを買うことができたようです。しかもそんなレアなものが300円で売られているとは、石和青果市場はまさしく天国という他ありません。

皆さんもぜひ山梨に行かれた際は行ってみてください。きっと良い買い物ができると思います。
そしてついでに私の出品もよろしくおねがいします。



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