40 健康診断で「血圧が高い」と指摘…高血圧になるのはなぜ?

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健康診断で「血圧が高い」と指摘…高血圧になるのはなぜ? 医師が解説


 健康診断などで血圧測定をしたときに「血圧が高い」と指摘されることがあります。
高血圧になると、脳卒中などのリスクが上がると言われていますが、そもそもなぜ高血圧になるのでしょうか。
あんどう内科クリニック(岐阜市)の安藤大樹院長に聞きました。
塩分の過剰摂取に注意



Q.そもそも「高血圧」の基準について、教えてください。例えば、血圧測定でどの程度の数値が出る場合、高血圧と診断されるのでしょうか。
安藤さん「高血圧症は、測定値による明確な診断基準が、2019年発表の『高血圧治療ガイドライン』で決められています。
医療機関で測定する場合、上の血圧(収縮期血圧)が140ミリHg以上、下の血圧(拡張期血圧)が90ミリHg以上、家庭で測定する場合は、上の血圧が135ミリHg以上、下の血圧が85ミリHg以上です。
同ガイドラインでは、『診察室血圧と家庭血圧の間に差がある場合、家庭血圧による診断を優先する』と記載しています。



ただし、この基準を超えたらすぐに高血圧症と診断されるわけではありません。
血圧は常に変動しており、通常は、朝の起床前から徐々に上昇しはじめ、体が活動している昼間は高く、夜間や睡眠中は低くなります。
この血圧の変動は『血圧日内変動』と呼ばれ、主に自律神経によってコントロールされています。


また、精神的・肉体的ストレスが強ければ血圧は高くなりますし、冬は夏よりも高くなる傾向があります。
そのため、評価する血圧は、可能な限り一定の条件で測定されたものでなければなりません」


Q.なぜ高血圧になるのでしょうか。
安藤さん「そもそも血圧とは、心臓から送り出された血流が血管の壁を押す力のことを指します。
われわれの体に流れている血液は、生きていく上で必要不可欠な酸素や栄養素を全身に運ぶ役割を担っていますが、心臓のポンプ機能で血管に圧をかけることで、全身の組織に規則正しく血液が届けられています。


この血圧を変動させる因子として、心臓が1回の収縮で送り出す血液量(心拍出量)、血管のしなやかさ(弾力性)、血液が血管に流れ込む際の末梢(まっしょう)血管の抵抗力(末梢血管抵抗)、体内を循環する血液の量(循環血液量)、血液のサラサラ具合などがあります。


中でも、『心拍出量』と『末梢血管抵抗』の2つが、血圧を決める上で大きな影響力を持っています。
『心拍出量』を増加させる要因は、
(1)塩分の取り過ぎによる循環血液量の増加
(2)心臓自体の障害による収縮力や心拍数の増加―などです。

また『末梢血管抵抗』を増加させる要因も、
(1)塩分の取り過ぎによる血管の壁のむくみ
(2)生活習慣病(高血圧症、糖尿病、脂質異常症など)や肥満、喫煙などによる動脈硬化で血管が狭くなること―などが挙げられます。


また、腎臓や神経などの働きも血圧の調節に関係しています。
腎臓の働きが悪くなると、余分な水分と塩分の排せつがうまくできず、循環血液量が増えて血圧が上がります。
さらに、血圧が上がれば腎臓の負担が増えてますます腎臓が悪くなり、さらに血圧を上げてしまうという悪循環に陥ってしまいます。


自律神経の乱れも血圧に影響を与えます。特に、睡眠不足や精神的ストレスなど過剰な負荷が加わると、脳がストレスをキャッチし、このストレスに対応するために自律神経の一つである『交感神経』の働きが活発になります。
この交感神経は心拍数を上昇させたり、末梢の血管を収縮させたりする働きがあるため、これによって血圧が上がります。
いずれにしても、血圧が上がる最大の原因は塩分の過剰摂取です」



Q.高血圧になった場合、どのような症状が出るのでしょうか。
安藤さん「高血圧になっても、特有の症状はありません。
確かに、血圧の高い状態が続くと頭痛や肩こり、動悸(どうき)などの症状が起こることがありますが、これらは血圧が正常な人でも起こり得ます。
また、驚くほど高い血圧の人でも無症状のケースもあるので、症状だけで高血圧を疑うのは難しく、これが高血圧を放置してしまう原因にもなります。
気付かないうちに体のさまざまな部位で恐ろしい病気が進行してしまうことから、高血圧は『サイレント・キラー(沈黙の殺し屋)』とも呼ばれています。高血圧を放置すると、さまざまな病気を引き起こすので、健診で指摘を受けた場合は医療機関を受診してください」



Q.健康診断で高血圧と診断された場合、どのような治療が必要なのでしょうか。また、日頃の生活でどのようなことに注意すべきなのでしょうか。
安藤さん「『高血圧治療ガイドライン』では、高血圧症の診断を受けた人はもちろん、高血圧症と診断される前の段階(正常高値血圧:120/80ミリHg以上)でも、積極的な治療介入が必要であることが強調されています。
ただし、すぐに薬を飲まなければいけないわけではありません。
脳梗塞などの既往、心房細動、糖尿病、タンパク尿などのリスクの高い病気を持っている人以外は、『生活習慣の修正・非薬物療法』が選択されます。



『生活習慣の修正』のポイントは次の6つです。
(1)食塩制限:1日6グラム未満(日本人平均:男性1日11.0グラム、女性1日9.3グラム、平均1日10.1グラム)

(2)野菜・果物、低脂肪乳製品の積極的摂取、飽和脂肪酸、コレステロールの摂取制限

(3)適正体重の維持:体格指数『BMI(ボディー・マス・インデックス)』が25未満。BMIの計算式は【体重[kg]÷(身長[m]×身長[m])】

(4)運動療法:少しきつめの有酸素運動(速歩など)を毎日30分、または1週間に3時間以上

(5)節酒:エタノール換算で男性1日20~30ミリリットル以下(ビール中瓶1本、日本酒1合、焼酎0.5合程度)、女性1日10~20ミリリットル以下に制限

(6)禁煙
これらは複合的に取り組むことで、血圧を下げる効果が期待できます。
高血圧の診断を受けた人の場合、これらの生活習慣の是正を1カ月続けても改善が認められない場合、薬の使用を検討します」
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