【獣医直伝】いまさら聞けない○○~犬の予防編~

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こんにちは。ペットの予防についてお話ししたいと思います。
日頃診察していると、予防しなくてはいけないものがいくつもあるせいで、頭の中が少しごちゃごちゃしてしまっている飼い主さんに出会います。
そんな方々のために、と思って説明していきます。

1.予防対象動物

まず、動物病院で予防対象になる動物は、犬・猫・フェレットです。犬猫はご存知の方も多いかと思いますが、フェレットも予防対象になります。

2.予防対象疾患

予防できる病気は、基本的には細菌やウイルスによる感染症や、フィラリア・ノミ・ダニなどの寄生虫が中心です。

3.犬の予防

では実際に犬の予防について具体的に書いていきます。犬の予防は大きく分けて3つになります

3-1.狂犬病ワクチン

まず一番有名なのが狂犬病のワクチンです。文字通り、狂犬病の発症を予防するものです。
実は、現在の日本では狂犬病は発生していません。なのになぜ予防しなきゃいけないのか。それは法律で決まっているからです。狂犬病予防法という法律で、犬は年に一回必ず狂犬病ワクチンを接種しなければならないと決められています。
発生がないならいいじゃないかといった声も聞きます。ですが、日本は世界でも数少ない狂犬病清浄国なのです(国内に狂犬病がないということ)。昔は日本にもいたのですが、感染対策によって清浄化されました。そしてなにより、狂犬病にかかると治療法がなく、致死率はほぼ100%です。めちゃくちゃ恐ろしい病気です。なのでそれを防ぐためにワクチンが法律で義務付けられています。犬にとっては必須の予防です。

3-2.混合ワクチン

次はおそらく大多数の人が打っているであろう混合ワクチンです。[混合]というだけあって、何種類かのワクチンが一本の中に入っています。5種混合ワクチンなどとも呼びます。
何種、は犬それぞれによって違います。犬種で違うというよりは、その犬のライフスタイルによります。
種類としては、5種~10種がメジャーです。
種類によって以下の感染症が予防可能になります。
スクリーンショット (123).png
(9種と10種は犬レプトスピラの型(種類)がワクチンのメーカーごとに異なります。)
コアワクチンとは、致死率の高い感染症を防ぐためにすべての犬に接種するように勧告されているワクチンで、ノンコアワクチンは生育環境によって接種を推奨されているワクチンです。
[補足]犬コロナウイルス感染症は、現在世界中で流行している新型コロナウイルスとはまったくの別物です。
種類が多くてややこしいですが、簡単に言ってしまえば、レプトスピラ症のワクチンが入っているかどうかで種類を選べば問題ないです。(数字でいうと、5・6か7以上の二択です。)
レプトスピラ症は細菌の仲間で、特にドブネズミが保有していて、近年では河川などの水辺のレジャーでかかることが多いです。
なので、山のほうのレジャー施設に行くかどうか、田舎によく帰るか、などで判断します。
もちろん、万が一のことを考えて、都心部しか移動しないけどレプトスピラ症のワクチン込みでも問題ないです。
ただ、最近のワクチンは安全性が高く、ワクチンアレルギーは少ないですが、ワクチンの種類が増えるほどワクチンアレルギーのリスクは上がるため、必要最低限の種類でいいかと思います。
ですので、何種のワクチンを打てばいいかは獣医師と相談してみてください。


3-3.フィラリア・ノミ・マダニ

こちらも重要な予防です。1つずつ見ていきましょう。
まずフィラリア。フェラリアでもマラリアでもありません。フィラリアは犬糸状虫のことで、糸みたいな形をした寄生虫の仲間です。
フィラリアは蚊が媒介して、蚊がでてくる季節に予防するので地域によって予防期間は異なります。関東だとおおよそ5月~12月の8か月間です。予防方法は毎月お薬を飲むか首に垂らすか、最近では一回の注射で1年効くものもあります。
冬は蚊がほぼいないため休薬して春先に薬を始める時期には血液検査が必須です。フィラリアに感染していないか確認します。万が一休薬期間にフィラリアに感染していた場合に、薬を飲ませるとフィラリアが体内で死滅してそれをきっかけに犬が死んでしまうことがあるからです。
フィラリアは犬の血管内に寄生して成長するため、やがて心臓に寄生するので、その状態で薬を飲ませるとフィラリアが心臓に詰まり、かなり危険です。
また、フィラリアに感染しているかどうかは、外から見ただけではわからず、咳などの症状が出てきてからでは病気が進行している可能性が高いです。
そして治療法が難しいので、事前に予防しておくに越したことはありません。

次にノミ。イメージがつきやすい方も多いと思います。ノミに寄生されると、皮膚のかゆみや貧血、他の寄生虫(瓜実条虫)をもってきたりすることがあります。草むらや、もしかしたら家の中の布製品にいるかもしれません。野良猫に寄生してしたりなんていうのはあるあるです。なので、意外と普通の散歩だけでも遭遇機会が多いです。ノミは犬の毛をかき分けると見えたりするので、見つけやすいかもしれません。

最後にダニ。ダニの中でも吸血するマダニがメインになります。マダニも皮膚のかゆみや貧血、他の感染症(バベシア症、日本紅斑熱など…)を引き起こします。公園や河川敷、山道などにいます。もし犬にマダニを発見したら、むやみにとらないでください。むやみにとると、ダニの口の部分だけが犬の皮膚に残るため、獣医師に取ってもらうのが理想です。

ノミ・ダニの薬は使用前に検査がいらないので、ホームセンターやインターネットなどで売っていることもあります。ですがあまり安いものは効果が不十分だったり、つけることによって皮膚炎を起こしてしまうこともあるので、僕はおすすめしません。動物病院での購入をお勧めします。

いずれの予防も生活環境によって変わることがあり、予防方法(投薬方法)も様々です。その子によって、決めてあげるのがいいかと思います。

好評であれば、猫編・フェレット編も書こうかと思います。



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