私は特別支援教育士になれなかった。どうしても…。【5分で読めます】

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皆さんは「特別支援教育士」という資格を知っていますか?
これは特別支援教育に携わる人の専門的な知識や技術を保障する資格です。

主には学校の先生,
特に特別支援教育コーディネーターや相談業務に携わる先生方の中に,
この資格をもってらっしゃる方がいます。

特別支援教育士になるためには,お金と時間と労力が必要です。
それはどんな資格でも同じですが,
特別支援教育士は,かなりのコストを突っ込まないと取得できません。
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ここからが,私の話になります。

もう15年以上も前になりますが,
現)国立特別支援教育総合研究所が主催する,
つまり国が主催する1ヵ月間の合宿研修に参加しました。

私はそのとき,特別支援教育を学びたい一心でしたので,
その研修に「行け」と言ってくださった上司には今でも感謝しています。
その研修がなければ私の今はありません。

それぐらいに
特別支援教育とは何か?
発達障害とは何か?
これから自分は何を学び続けていけばよいのか?
その道筋を示してくれたのが,この1ヵ月の合宿研修でした。

毎日毎日,90分×4コマ。朝から晩までみっちり講義。
ときどきグループワークや課題提出等がありました。
現在でも活躍されている特別支援教育業界のトップの先生方が
講師として次々登壇されました。

合宿も半ばを過ぎた頃,
紹介されたのが特別支援教育士という資格でした。
実は,この合宿の講義の半分位の内容が,
資格を取るための講座のコマに転用可能で,
合宿終了時には資格を得るためのポイントを
半分持っている状態になるとのこと。

ではあと半分はどうするか?

もちろん資格を取るつもりがない人は何もしなくてよいわけですが,
私はそのとき,「せっかく勉強したのだから,その証となるものが欲しい」
「特別支援教育士でございますと自慢したい」という強い欲がありました。
ですから,合宿の後,遠く遠く佐渡島から東京まで,
残りの講座を何度も何度も数年かけて受講しに行ったのです。

「勉強しに行くという理由で東京に遊びに行きたい」
という欲もありました。

それでも船賃,新幹線代,ホテル代,
もちろん受講料も含めてかなりの出費です。
これを「自己投資」と自分に言い聞かせ,
かなりのお金と時間と労力を突っ込んでいきました。

東京での受講内容も本当に身になるものばかりでした。
1ヵ月の合宿の内容に,さらに学びを上乗せすることができましたし,
合宿中に講師としてお世話になった先生方にも再会し,
ご挨拶することができ,
改めてモチベーションが高まりました。

そして,いよいよ最終関門の講座を残すのみとなり,
そこに向かう新幹線の中で,
資格取得後のことについて書かれた文章を読んでいた私。
そこで,あることに気づいてしまったのです。
その瞬間の感覚は今でもありありと覚えています。

特別支援教育士になると,何年かはその資格を名乗れるのですが,その資格を持ち続ける=更新するためにはポイントを稼がなければいけません。

ポイントを稼ぐためには,「ポイントが稼げるよ」と指定されている講座を受けたり,講座の受付の手伝いをしたり,学会に論文を提出したり・・・。

自分の著書を出すとポイントが高かったのも覚えています。 

つまり,資格の維持のためにポイントが必要で,
ポイントを稼ぐためには,
さらにお金と時間と労力を捧げなければならないのです。
あるいは資格認定協会のために
タダ働きをしなければいけないということなのです。  

 なんだ,あいつらと一緒じゃないか・・・。

そう,協会のやり口は,
カルト宗教や自己啓発セミナー,マルチ商法と大して変わりはありません。
そこに気づいてしまった私は,一気に冷めてしまったのです。

「特別支援教育士?なんじゃそれ?」と。

新幹線の中で受講キャンセルの電話を入れ,東京で遊んで帰りました。
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現在,特別支援教育士の資格の有無で,
何かの仕事が得られたり,
何か大きな信頼を寄せられたりすることがあるのでしょうか?

私の周りにも資格をお持ちの先生はいらっしゃいますが,
特別支援教育士だからではなく,
その先生が実力のある,良い先生だから
信頼に足ると思っています。

私の体験としては,特別支援教育士よりも
大学院修了の方がずっと食い扶持があります。

蛇足になりますが,
私が何より唖然としたのは,協会のグッズ販売です。
ロゴが入ったネクタイを売り始めたのです。
こんなものを買って喜んでつける人がいるんだろうか?
「私は特別支援教育士です」というアピールを
ネクタイでしたいのでしょうか?
あるいは,ポイントを稼ぐための講座で,
みんなで同じネクタイを締めて仲間意識を感じたいのでしょうか?
まさにカルトです。ゾッとします。

そもそも私には協調性がないのでしょう。
「学校の名前が入ったお揃いのTシャツをみんなで着る」
みたいなノリが大嫌いです。 

インクルーシブ教育とは多様性を重んじるものだと私は考えています。

協会もそうだと思っていたのですが,
どうやら違ったようです。
「お揃いのものをつけて仲間意識を高めましょう」という,
私にとっては受け入れがたいことを,
おそらく善意でやってしまうのですから。  
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まあ,そんなことはわかっています。
華道,茶道,柔道や剣道もしかりです。
習い事や,何かを教えてお金を集める商売は全て同じやり口です。
昔からそれがスタンダードなのです。
カルト宗教や自己啓発セミナー,マルチ商法も似たような方法,
人間の心理を巧に利用した商売をしているわけです。

時間とお金を投入すればランキングが上がる。
ランキングが上がると
それを証明する称号やマーク,衣装やグッズがもらえる。
軍隊の勲章みたいなものですね。

帰属意識や自己顕示欲,
そして「ここまでコストを投入したのだからもう引き返せない」
というコンコルド効果も利用しながら
会員を集め,会費を集め,家元や団体が潤う仕組みを作る。
これは最高のビジネスモデルです。

合宿研修をきっかけに資格取得を目指して勉強した日々は
本当に充実したもので,
学んだ内容は今でも私の知識の太い根幹になっていることは
間違いありません。
ですが,今考えると,国が主催したあの1ヵ月の合宿研修は,
「特別支援教育士を取らせるための宣伝でもあったのかな?」
と,うがった見方までしてしまいます。

巷には星の数ほどの資格が溢れています。
そしてその資格の数だけ,
それを取得させることで儲けている人たちがいます。 
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特別支援教育士の資格も,
なんとかコーディネーター,なんとかサポーターなどという
お金と時間をかければとれてしまう資格と何ら変わりはないのです。

私は,特別支援教育士の資格をもっている先生方を
批判しているのではありません。
立派な先生方もたくさんいらっしゃることは事実です。

資格だけを見て,その人を見ないようではいけないなと
思うだけです。

今回は以上です。
ご気分を悪くされた方がいたらすみません。
議論をする気はありませんので,ご勘弁を。
最後までお読みいただきありがとうございました。 
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