【主観で書かない】小論文の疑問に答える第1回

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(1)はじめに


小論文の書き方を解説している参考書などに「主観で書かない」とあります。

この主観の意味がわからずに、悩む受験生が必ずいます。

小論文は「私の考え」を書くのだから、それは必ず主観になってしまうのではないか。

「主観ではなく、客観的に書け」と言われても、それではその「客観」は何かがわからない。

等などの疑問を口にする生徒さんが時折います。

今回はこうした生徒さんの疑問にお答えしましょう。

(2)意見には理由や根拠を添える


初めに「主観」「客観」の関係を整理しましょう。

まず「主観」は「私の考え」です。

わかりやすく書くと「私だけの特殊な考え」ということになります。

たとえば次のような意見を小論文の答案に書いたとします。

「職場でミスを犯した教師を厳しく叱責しないほうがよい」。

これは一読すると次のような反論が次々と起こってきます。

「ミスを犯した者に甘い」

「厳しく叱責しなければ本人のためにならない」

「叱責しないとまた同じミスが起こる」

「ミスをしたものを庇い合う組織はなれ合いになる」

等など。

だから、小論文でなくても「職場で小さなミスを犯した者を厳しく叱責しないほうがよい」という意見を実際に職場で口にすると、「それは君の主観だ」「君はいつもミスをするから、そうやってミスをした者を庇うのだ」と指摘されてしまう。

小論文では、単に意見だけ書くと主観になります。

自分の意見を書くときには、必ず理由や根拠を添えましょう。

たとえば上の意見については、次のような根拠を添えます。

「職場でミスを犯した者を厳しく叱責しないほうがよい。ミスに対してあまり厳しく糾弾するとミスした者がミスを隠すようになる。むしろ、積極的に自分のミスを申告するような職場の環境をつくることによって、職場の人間がそのミスに関わる情報を共有できるようになる。こうすることで職場のミスを防ぐ効果につながる。」

こう書くと、相手(読者)にも自分の意見が伝わり、この意見が「私だけの特殊な考え」でなくなり、複数の読者にも伝わり、「私たちの普遍的な考え」に変わることになるのです。

つまり、客観的に書くとは、次のように書くことを意味します。

①意見の理由や根拠を添えて

②相手(読者)を納得させるように書く

(3)避けなければいけない主観的な表現


「私は将来、睡眠の質を改善するサプリメントの開発に携わりたい。サプリの開発にあたっては、GABAを主成分とする。GABAには眠りの深さなどの睡眠の質の向上に役立つ機能があり、睡眠の質を改善により、集中力がつき、やる気が出る効果をもたらす。」

上の例文では、1か所、主観的な表現があります。

どこが問題であるか、みなさんにはわかりますか。

答えは文章の後半にあります。

GABA(amma-Amino Butyric Acid-γ-アミノ酪酸-の略で、「ギャバ」と呼ばれる)の効果について説明しています。

検討するのは3か所になります。

「眠りの深さなどの睡眠の質の向上」

「集中力がつ(く)」

「やる気が出る」

科学的な文章を書くときには、自分の書いた内容が実験等で検証できるか否か、つまりエビデンスがあるかどうかを考えながら書いてください。

まず「眠りの深さなどの睡眠の質の向上」については、GABAを成分とするサプリメントを活用したグループ(実験群)活用しないグループ(対照群)に分けて、それぞれレム睡眠とノンレム睡眠の時間を計ることでサプリメントの効果を科学的(客観的)に検証することができます。

次に「集中力がつ(く)」については、「間違いさがし」や「脳トレ」などのゲームや作業をさせてみて、実験群と対照群の成績を比較することで、サプリの効果を科学的(客観的)検証できます。

ところが、最後の「やる気が出る」については、そもそも「やる気」が何なのかが科学的にわからない。言い換えると、厳密に定義されていない。

だから、これを検証する実験を考えることができず、効果は科学的(客観的)に検証されないままに終わります。

このような「やる気が出る」というのが、なんとなく気分の問題に還元されることなので、主観的な表現ということになります。

誤解しないでほしいのですが、小論文で「やる気が出る」と書くな、と言いたいのではありません。

文脈によっては「やる気が出る」「やる気を出す」を使う場合もあります。

ですが、科学的な説明をするときに「やる気が出る」はエビデンスに基づかない主観的な表現となるので、このような表現は避けなければなりません。

(4)終わりに


どうですか。

主観と客観の違いがわかりましたか?

OK小論文では、このような小論文の書き方だけでなく考え方も合わせて解説しています。

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