【世界地図】日本大学芸術学部放送学科2015年

記事
学び

(1)問題


作文
「世界地図」(600字)

(2)考え方


作文と小論文との違いは、小論文では自分の意見に必ず理由を添えるのに対して、作文は意見や感想に理由をつけなくてもよい点にある。

作文は小説やエッセイと考えてよい。

小説やエッセイで堅苦しい理屈を書くと興ざめになる。

ポイントは自分の感性で書くというところにある。

切り口がいかに斬新か、表現が独特か、という点が評価の対象になる。

今回のお題「世界地図」はエッセイ調に書いても、世界の国際紛争や平和についての小論文調の文章になりがちだ。

理屈を抑えながらうまく書かねばならない。

腕の見せどころだ。

世界地図.png



 世界地図は現実では

(3)解答例


ない。地球には、国名が描かれていない。人工衛星から地球を見下ろすと、見えるのは青い海と褐色の大地とわずかな緑、そして千切れた雲だけだ。なのに、世界地図には国境が描かれ、場合によっては山脈らしい襞(ひだ)と河川のいびつな曲線が伸びている。この地図を使って、私たちは地理の授業で国名や山脈・河川の名前を覚えさせられる。 結局は、私たちがものごとを理解するということは、ものの名前を暗記することに帰結する。

 しかし、鳥は違う。鳥瞰(ちょうかん)という言葉があるように鳥のように高い視点に立ってものごとを全体的に俯瞰(ふかん)することの謂いだが、鳥の視線は世界地図とは異なる。鳥の頭の中には地名も国境もない。この森には、秋になると甘い果実が成り、この湖は休息にはちょうどいいが、天敵が多い。そして、これから出会いと子育てのために、南の島を目指す。鳥の地図はいつも生きること、快適な旅を続けて無事、目的地に着くための情報が書き込まれている。

 私たちも鳥のように言葉ではなく、そこから生きる糧(かて)を得るためのよすがとして世界地図を眺めてみたいものだ。(598字)

(4)日藝の作文・小論文の書き方



日本大学芸術学部の入試小論文・作文の書き方は特殊だ。

作文と小論文との違いは第2章で指摘した通りだが、

日藝の小論文・作文の共通した書き方のコツは3つある。

今回はそのうちの1つを述べてみたい。

比喩表現を使う。

比喩表現にはいくつか技法があるが、学校で習うのは主に直喩と隠喩(暗喩)だろう。

直喩は「喩(たと)えるもの」と「喩えられるもの」との関係が明らかなもの。

例文としては、以下の通り。

「疾風(はやて)のように現れて 疾風(はやて)のように去ってゆく」

「疾はやきこと風の如く、徐しずかなること林の如く、侵おかし掠かすめること火の如く、動かざること山の如し」

例文で示した通り「~のように」「~の如く」のような言葉を添えて「喩(たと)えるもの」と「喩えられるもの」との関係を表すのが直喩になる。

一方の隠喩(暗喩)の例が以下。

「立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹(ぼたん)、歩く姿は百合(ゆり)の花」

上のフレーズは美人を喩える常套句として有名だ。

これは、あえて「~のような(~のようだ、~のように)」という言葉を略して、表現する技法になる。

日藝以外の大学の入試小論文では、比喩表現を絶対に使ってはいけないわけではないが、論理を重視して評価点が加点、減点される小論文で、比喩表現を使うことはためらわれる。

比喩も広い意味での論理の一種とも言えないわけではない。



しかし、一般的な論理関係と言えば、因果関係(原因・結果)や矛盾・対立、逆説などのロジックを示すものであり、比喩表現を使って減点になることはあっても、加点される可能性は極めて低いと考えられる。

しかし、日藝では芸術を学ぶ。

絵画だけでなく写真や映画といった視覚に訴える芸術は、しばしば比喩といった象徴を用いる場合が多い。

したがって、文章表現の場合でも、優れた比喩表現は評価点となる可能性が高い。

上の解答例にも「鳥のように」という比喩表現を用いている。

日藝の小論文・作文では比喩表現を積極的に使うことを勧めたい。

日藝の小論文・作文を書く上での残りの2つの書き方は、以下の講座で解説しています。

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