【記憶】日本大学芸術学部放送学科2019年作文

記事
学び

(1)問題


「記憶」

(2)考え方


お題をうまく生かすには、この言葉(「記憶」)を2度使う。
最初と最後に使うと効果的だ。
刺激的な言葉と一緒に使うと、お題の言葉に重みが増す。
今回は、「捏造(ねつぞう)」という言葉を添えて、簡潔な一文から入った。

落下傘.png


(3)解答例


 記憶は捏造される。

 ある本にそう書いてあった。そうすると、あのときの私の記憶も捏造されたものであったのだろうか。

 幼稚園のとき、私はパラシュートをつけて飛行機から飛び降りたことがあります。家も田畑も、ふだん見慣れた光景はそこにはなく、緑や茶色の色彩がパレットの絵の具で描かれたように大地に敷き詰められていて、私は大空に飛び出すと、絵の具の色のひとつになった。

 来月、千葉県に遠足に行く、と母親から聞いて、幼い私は恐怖で震えおののきました。

 千葉の習志野(自衛隊の空挺団がある)で何と、幼稚園児に落下傘の降下訓練をさせるというのです。

 まだ年端のいかない子供になんて危険なことをさせるのか! 私は高所恐怖症なんだ。なんてことをさせる幼稚園だ!

 前日まで行きたくない、明日雨になって遠足が中止になれ。ただひたすら、そう祈っていました。

 残酷なことに翌日は晴れて遠足は無事行われ、私も参加しました。

 何てことはない、遠足というのは、千葉の名産、落花生狩りでした。私は直前までずっと落下傘だと思い込んでいたのでした。

 でも、私の記憶の中には、パラシュートをつけて空を飛んでいる光景が今でもはっきりと焼き付いているのです。

(4)解説


なんてことはない、オチとしては、「落下傘」👉「落花生」の勘違いというものだが。

この文章では、第三段落の

「緑や茶色の色彩がパレットの絵の具で描かれたように大地に敷き詰められていて、私は大空に飛び出すと、絵の具の色のひとつになった。」

という描写に工夫を凝らした。

他愛ない話でも、なるべく表現をがんばれば、日芸では、高い評価をもらえる。

ストーリーよりも表現を重視、というスタンスを崩さないでほしい。

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