【電気設備設計】における基礎知識【003】電圧降下

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この記事では、【電圧降下の基礎知識】について、ご説明します。


内線規程-2016【1310節:電圧降下】

【1310-1:電圧降下】
1 低圧配線中の電圧降下は、幹線及び分岐回路において、
  それぞれ標準電圧の2%以下とすること。
  ただし、電気使用場所内の変圧器により供給される場合の幹線の電圧降下は、
  3%以下とすることができる。〔勧告〕
  注1)引込線取付点から引込口までの部分も幹線に含めて計算すること。
  注2)電気使用場所内に設けた変圧器から供給する場合は、
     その変圧器の二次側端子から主配電盤までの部分も幹線に含める。
  注3)配線方式、負荷電流及び電線太さによる電圧降下の値については、
     「資料1-3-2」参照のこと。
  注4)系統連系型小出力太陽光発電設備からの逆潮流による
     パワーコンディショナから引込線取付点までの電圧降下は、
     【3594節】(系統連系型小出力太陽光発電設備の施設)を参照のこと。
2 供給変圧器の二次側端子(電気事業者から低圧で電気の供給を受けている場合は、
  引込線取付点)から最遠端の負荷に至る電線のこう長が60mを超える場合の電圧降下は、
  前項にかかわらず、負荷電流により計算し【1310-1表】によることができる。〔勧告〕
内線規程にもあるように、
分電盤、動力盤までの一次側幹線と盤以降の二次側配線のそれぞれ電圧降下許容率を2%としています。
ただし、変圧器より盤へ供給される一次側幹線の場合は、電圧降下許容率は3%になります。
また、最遠端までのこう長により、全体の電圧降下許容率が4%~7%に変化します。
しかし、二次側配線の電圧降下許容率に関しては一律2%で考える事が一般的です。
(例1)高圧受電、一次側幹線こう長が200mの場合
    一次側幹線の電圧降下許容率:4%
    二次側配線の電圧降下許容率:2%

(例2)低圧受電、一次側幹線こう長が60mの場合
    一次側幹線の電圧降下許容率:2%
    二次側配線の電圧降下許容率:2%

【1310-1表】こう長が60mを超える場合の電圧降下.png



内線規程-2016【3594節:系統連系型小出力太陽光発電設備の施設】

【3594-3:逆潮流時の電圧降下】
 系統連系型小出力太陽光発電設備からの逆潮流による
 パワーコンディショナから引込線取付点までの電圧降下は、
 標準電圧の計算方法については【資料3-5-7】を参照のこと。
【3594-1図】パワーコンディショナから引込線取付点までの電圧降下.png
図のように太陽光発電設備を取り入れた建物の場合、一般的な計算方法とは異なる為、注意が必要です。

【資料1-3-2:電線最大こう長】

3 電圧降下計算式
  1)集合住宅の幹線など、電線こう長が長く、
    大電流を扱う場合には、以下の計算式により電圧降下値と計算することが望ましい。
電圧降下計算式.png
 2)屋内配線など比較的に電線こう長が短く、
   また、電線が細い場合等、表皮効果や近接効果などによる
   導体抵抗値の増加分やリアクタンス分を無視してもさしつかえない場合は、
   以下の計算式により電圧降下値を計算することができる。
〔備考1〕本表は、銅線使用の場合について示してある。
〔備考2〕本表の各公式は、回路の各外側線又は各相電線の平衡した場合に対するものである。
     また、電線の導電率を97%としている。
簡易電圧降下計算式.png

(例1)高圧受電、単相3線式、
    一次側幹線こう長200m、電気容量50kVA(250A)の場合
    →全体の電圧降下許容率6%、
     二次側配線分を2%とし、一次側幹線の電圧降下許容率は4%
    電圧降下 e=対地電圧100V×電圧降下許容率0.04(4%)
           4V
 電圧降下計算式 e=(17.8×L×I) / (1000×A) を変換し、
         A=(17.8×L×I) / (1000×e)
         A=(17.8×200×250) / (1000×4)
         A=890000 / 4000
         A=222.5 → 250sq

(例2)高圧受電、三相3線式、
    一次側幹線こう長120m、電気容量20kW(57.8A)の場合
    →全体の電圧降下許容率5%、
     二次側配線分を2%とし、一次側幹線の電圧降下許容率は3%
    電圧降下 e=対地電圧200V×電圧降下許容率0.03(3%)
           6V
 電圧降下計算式 e=(30.8×L×I) / (1000×A) を変換し、
         A=(30.8×L×I) / (1000×e)
         A=(30.8×120×57.8) / (1000×6)
         A=213628.8 / 6000
         A=35.6 → 38sq

と、なります。

ただし、簡易電圧降下計算式になりますので、施工方法や周囲環境によるケーブル許容電流値、主幹ブレーカとの保護協調を確認し、採用ケーブルを選定して下さい。

100V-200V単相3線式対地電圧.png
200V三相3線式対地電圧.png
対地電圧については【002】対地電圧の記事でも記載していますので、御覧ください。

また、実際に計画・検討している内容等ありましたら、メッセージをいただければ対応させていただきますので、気軽にお声掛け下さい。

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