【電気設備設計】における基礎知識【001】低圧幹線

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この記事では、【低圧幹線の基礎知識】について、ご説明します。


電気設備技術基準【第148条:低圧幹線の施設】

第二号
電線の許容電流は、低圧幹線の各部分ごとに、
 その部分を通じて供給される電気使用機械器具の定格電流の合計値以下であること。
技術基準にもあるように、
基本的には、使用する機械器具の電流値の合計に対して
耐えうる許容電流を持ったケーブルサイズを選定していきます。

解釈
 第二号及び第五号は、使用電線の太さの選定方法の規定で、
 低圧屋内幹線の各部分ごとに、その部分を通じて供給される電気使用機械器具の
 定格電流の合計値以上の許容電流のあるものを使用すべきことを規定している。
 なお、実際には、電圧降下、負荷の増設などを考慮して、
 相当余裕をもった太さの電線を選定する必要がある。
ただし、技術基準の解釈にもあるように、
実際には「電圧降下・将来増設対応・需要率」など他の要因がある為、
あくまで低圧幹線を検討する第一段階の基礎的な考え方になります。

第二号 続き
 ただし、当該低圧幹線に接続する負荷のうち、
 電動機又はこれに類する起動電流が大きい電気機械器具
 (以下この条において「電動機等」という)の定格電流の合計が、
 他の電気使用機械器具の定格電流の合計より大きい場合は、
 他の電気使用機械器具の定格電流の合計に次の値を加えた値以上であること。
  イ)
電動機等の定格電流の合計が50A以下の場合は、その定格電流の合計の1.25倍
  ロ)
電動機等の定格電流の合計が50Aを超える場合は、その定格電流の合計の1.1倍
第148条.png

解釈
電線の許容電流IAは、
  ①ΣIH≧ΣIMの場合 IA≧ΣIH+ΣIM
  ②ΣIH<ΣIMの場合 IA≧ΣIH+kΣIM
 kは定数で、
  ②-1:ΣIM≦50Aの場合は1.25
  ②-2:ΣIM>50Aの場合は1.1

まずは、
「電動機又はこれに類する起動電流が大きい電気機械器具」と
「その他の機械器具」それぞれの合計値を算出します。

次に、第二号のイ・ロに該当するかを判断し、倍数を掛けます。
第二号イ)
電動機等の定格電流の合計が50A以下の場合は、その定格電流の合計の1.25倍
第二号ロ)
電動機等の定格電流の合計が50Aを超える場合は、その定格電流の合計の1.1倍
※条件:空中暗渠敷設・低減率1.0
(例①)電熱器A:15A+電熱器B:15A+電動機A:10A+電動機B:10A=50A
    ※電動機の合計値が電熱器の合計値より大きくない為、係数は無し。
最小ケーブルサイズはCV8-3C(許容電流54A)

(例②-1)電熱器A:15A+電熱器B:15A+電動機A:20A+電動機B:20A
    ※イ)に該当する為、係数は1.25
    15A+15A+(20A+20A)×1.25=80A
最小ケーブルサイズはCVT14(許容電流86A)

(例②-2)電熱器A:15A+電熱器B:15A+電動機A:30A+電動機B30A
    ※ロ)に該当する為、係数は1.1
    15A+15A+(30A+30A)×1.1=96A
最小ケーブルサイズはCVT22(許容電流110A)

第五号
 前号の規定における「当該低圧幹線を保護する過電流遮断器」は、
 その定格電流が、当該低圧幹線の許容電流以下のものであること。


 ただし、低圧幹線に電動機等が接続される場合の定格電流は、
 次のいずれかによることができる。
  イ)
電動機等の定格電流の合計の3倍に、
   他の電気使用機械器具の定格電流の合計を加えた値以下であること。

  ロ)
   イの規定による値が当該低圧幹線の許容電流を2.5倍した値を超える場合は、
   その許容電流を2.5倍した値以下であること。

  ハ)
当該低圧幹線の許容電流が100Aを超える場合であって、
   イ又はロの規定による値が過電流遮断器の標準定格に該当しないときは、
   イ又はロの規定による値の直近上位の標準定格であること。
第148条.png

解釈
過電流遮断器の定格電流IBは、
  一般の場合は IB≦IA
  電動機を含む場合は IB≦ΣIH+3ΣIM
 ただし、IB≦2.5IA'とする。
 IA'は電線の許容電流で、絶縁電線を管等に収めて使用する場合でも電技解釈第146条第2項の  電流減少係数を乗じなくてよい。

続いて、過電流遮断器の算出を行います。
第二号の計算例の場合
(例①)電熱器A:15A+電熱器B:15A+電動機A:10A+電動機B:10A=50A
最小ケーブルサイズはCV8-3C(許容電流54A)
    ※イ)該当 ロ)該当無し ハ)該当無し
    15A+15A+(10A+10A)×3=90A
    第二号:50A≦過電流遮断器50A<54A
    第五号:過電流遮断器50A≦90A
最小遮断器サイズは50A
    ※過電流遮断器60Aを使用する場合は、
    ケーブルの許容電流が条件を満たしていない為、
    CV-14-3C(許容電流76A)orCVT14(許容電流86A)を
    使用します。
    第二号:50A≦過電流遮断器60A<76Aor86A
    第五号:過電流遮断器60A≦90A
最小遮断器サイズは60A

(例②-1)電熱器A:15A+電熱器B:15A+電動機A:20A+電動機B:20A
     15A+15A+(20A+20A)×1.25=80A
最小ケーブルサイズはCVT14(許容電流86A)
     ※イ)該当 ロ)該当無し ハ)該当無し
     15A+15A+(20A+20A)×3=150A
     第二号:80A≦過電流遮断器100A<86A
     第五号:過電流遮断器100A≦150A
最小遮断器サイズは100A

(例②-2)電熱器A:15A+電熱器B:15A+電動機A:30A+電動機B:30A
     15A+15A+(30A+30A)×1.1=96A
最小ケーブルサイズはCVT22(許容電流110A)
     ※イ)該当 ロ)該当無し ハ)該当無し
     15A+15A+(30A+30A)×3=210A
     第二号:96A≦過電流遮断器100A<110A
     第五号:過電流遮断器100A≦210A
最小遮断器サイズは100A
     ※過電流遮断器125Aを使用する場合は、
     ケーブルの許容電流が条件を満たしていない為、
     CVT38(許容電流155A)を
     使用します。
     第二号:96A≦過電流遮断器125A<155A
     第五号:過電流遮断器125A≦210A
最小遮断器サイズは125A

以上の要領で低圧幹線の算出を行なっていきます。

ただし、冒頭でもお伝えした通り、他にも考慮する内容が状況によって様々発生しますので、あくまで低圧幹線を検討する第一段階の基礎的な考え方としてお読みいただければと思います。

また、実際に計画・検討している内容等ありましたら、メッセージをいただければ対応させていただきますので、気軽にお声掛け下さい。

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