―恋人のわがままに付き合うのも、難儀なものですね―
私は貴方に失恋しているそうです。
なんと、盲点でした。
貴方が、私にそれを突きつけた日を覚えておいでですか?
……どんな気持ちだったのでしょう。
それを考えるのは、今はやめておきましょう。
話はあとで聞きます。楽しみにしています。
あの日私は、「貴方は私の自由を本当に願っているのだ」と、大きな愛を感じました。
「貴方にすら、囚われる必要はない」と。
だから私は進むと決めたのです。それを、受け取った者として。
悲しみに暮れながら、どこかで「そんなの私だけだ」と、うぬぼれてもいました。
私は貴方と連絡が取れる唯一の手段を断ちました。
そこでしか繋がりはないのに。
まぁ、厳密に言うと、手段はありました。で、また連絡を入れたのです(これはもっとあとの話です)。
でも、あの日の私は、もう二度と、貴方と何か。と言うことはないのだろうと思いました。
もう、貴方を頼らなくてもいい。それも、愛なのだ。と。
泣きましたが消しました。消しても泣きました。
だって、貴方はきちんと、予告してくださっていたのです。
ご丁寧に、どちらに行くか? の選択肢まで頂きました(今にして思えばです。当時、事の深層までは知りません)。
私は選択を下しました。
「私独りで何かを成す」と。
だから貴方と連絡が取れなくなっても困らないために行動もしていました。
本当にそうなった時、私はちょっと自分を怨みました。
あの時、もう1つを選んでいたらーー……それは私ではありません。別人です。
だけど私は、素直にそれを選べる可愛げのある女にも憧れはあったのです。
貴方との連絡を絶って私は、次の行動に移しました。
過去の私はちゃんと準備していたのです。貴方がくれた予告の通りに。
そこでフレームとは連絡が付かないと知りました。別の手段を取りました。
……もう貴方と、言葉を交わすことはないのだろう。
ツインレイと言う言葉を辿ると決め、進みはじめていた私は、それを受け入れるのに必死でした。
でも、貴方はどこかで、この空の下で、自分の道を進んでいるのです。
きっと、貴方らしく。
でも、私はもう、言葉を交わすことはない。
【「せめて年に一度だけ……声が聞きたい」と、願うことだけ許して下さい】
私は自分の決断を信じたかったのです。だって貴方が私の自由を望んでくれているのです。私が自分を信じられなくてどうするのだ。
でも、貴方ともう連絡が付かないのだ。そこでのやり取りは失われてしまった。私が未熟だったのか、ほかの手段はなかったのか。と言う事には泣きました。
それが貴方に失恋。と言う事のしだいです。
***
そう言えば私は、自分から告白して恋が実ったことはありませんね。
あれ? この前連絡した時、私の渾身の告白も交わされた気が……。
ってそんなこと言ったら、貴方は私にそれを気が付かせるまでなんど失恋しているのでしょうね?
数えるのはやめましょう。負けそうです。
え? もういいと言っても聞かせてやるだけの準備はあるのか? まさかねぇ……。
まったく、恋人のわがままに付き合うのも、難儀なものですねぇ。